都立篠崎vs都立両国

都立篠崎・神崎皇成　※写真は昨秋のブロック予選より

　途中、雨が降ってくるなかで江戸川区球場では都立篠崎と都立両国の1回戦が行われた。

　先攻の都立篠崎は、四球で出塁した1番・澤田恭輔を二塁に置いたところで、4番・須藤麗桜也がレフトへ先制タイムリーを放つ。4番の仕事を果たす素晴らしいバッティングでチームは勢いに乗ると、3回にも2点を追加して3対0と都立篠崎が主導権を握った。

　4回にも2点を入れて5対0とした都立篠崎は、そのまま5回にも3番・神崎皇成のタイムリーなどで4点を追加して9対0と都立両国を突き放した。3番に座った神崎は、スッと無駄の少ない構えで、予め軸足に重心を乗せた状態でボールを待つ。180センチ70キロと細見な体型ではあるが、鋭く腰を回転させて痛烈な打球を飛ばす。実際にサード強襲ヒットを放つなど、高い能力のあるバッターだ。次戦以降も快音を響かせてくれることを期待したい。

　リードをもらった都立篠崎エース・伊藤輝は身体をかがめながら重心移動をしていくのが特徴的な投手だ。伸びのあるボールを軸にして都立両国打線を封じた。

　投打がかみ合った都立篠崎は、6回にダメ押しとなる1点を入れて勝負あり。10対0の6回コールドで都立両国を下した。

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　6回11安打、10得点と快勝で都立篠崎は初戦突破となった。野木監督は「コロナや天候の影響で6月17日の練習試合が最後でしたし、練習も出来ていなかった」と実戦不足で初戦を迎えていたことを明かした。全体練習ができない期間があったが、選手たちへ特に指示を出していなかったそうだ。それでも各打者がしっかりとバットを振れている印象が強かった。

　その背景には、牛久保先生の存在が関係していた。
　都立篠崎がベスト4進出時に監督を務めていた実績を持つ指導者で、今大会は助監督としてベンチに入っている。その牛久保先生から提案された6種類のティーバッティングで「対応力が身につきました」と佐藤勇樹主将は成長を実感する。

　「片手や逆手でバットをもってティーバッティングをするのですが、これは新チームが始まってすぐ取り組むようにしました。最初は得点力が低かったので、『やってみるか』と提案してもらってから続けています」

　1年間かかったが、その成果が10得点という形で結実した。次戦に向けて野木監督は「まだ強くスイングできますし、タイミングの取り方は課題です」とやるべきことはまだあるようだ。佐藤主将も「次の試合までに仕上げていきたい」とさらなる成長を誓った。

　6回コールドで敗れる結果になった都立両国は、「攻守の歯車がかみ合わなかった」と反省を述べた。新型コロナウイルスの影響で17時までの制限に加えて、他部活との兼ね合いで週2日のグラウンド練習と規制が多かった。「他の都立校も同じなので、言い訳にはしたくありません」と林監督は話すが、練習不足になってしまったのは否めない。

　偏差値も60以上あり、進学校であることから、「勉強で全員が集まれないこともあった」と文武両道しながら練習してきたことを成田広志主将は話す。最初、3年生はマネージャーとの2人だけだったが、のちに3人が新たに仲間に入り、3年生4人を中心に最後の夏を戦い抜いた。コロナによって「思ったように練習できなかった」というが、この経験が成田主将はじめ3年生の今後に活きてほしいと願うばかりだ。

（取材＝田中 裕毅）

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