試合レポート

九州国際大付vs興南

2021.04.28

山本大揮(九州国際大付)、山城京平(興南)と全国レベルの好投手の競演!

九州国際大付vs興南 | 高校野球ドットコム
山本 大揮(九州国際大付)

 4月28日、春季九州大会準決勝第1試合の九州国際大付vs興南との一戦は前評判通り投手戦となった。どの投手も全国レベルの好投手ばかりで、見応えがあった。

 九州国際大付のエース・山本 大揮は、好調時は144キロを計測する本格派右腕。ただ立ち上がり、130キロ前半がほとんど。138キロも稀なぐらい。調子が悪いのではなく、後半勝負のために、7割程度のストレートで勝負をしていた。

「前回の大分舞鶴戦で、完封したとはいえ、終盤にストレートの勢いがなくなっていたので、その反省から前半はストレートを抑え気味にして後半で勝負ができればと思いました」

それができるのは、変化球のレベルが非常に高いことにある。

 左打者への攻めの幅を広げるために、カットボールを習得。ストレートで同じ感覚で腕を振っていく、120キロ後半のカットボールはほぼストレートの軌道で急激に曲がっていく。これが山本が求める「ほぼストレートの軌道で曲がるカットボール」だ。このカットボールを習得したことで、「曲がりが大きいスライダーと比べて死球のリスクが減るので、左打者の内角にも投げられてゴロを打たせやすくなりました」と大きな武器となった。

 そして120キロ前半のスライダーも、手元でぐっと小さく曲がるので、簡単にミートできない。さらにストレートに強い興南打線に対し、カーブを見せてアクセントをつけ、更にチェンジアップを織り交ぜるなど、高校生右腕としてはかなり高度な投球ができる。

 特に警戒していたのは4番野田 愛眞。前日の鹿児島実業戦でサヨナラ3ランを放った強打者相手に第1打席は空振り三振を奪うなど、ポイントを押さえた投球ができていた。7回裏に手元のガンで140キロ、そして9回裏には141キロをマークしギアチェンジに成功。パワフルな興南打線を抑え込んで1失点完投勝利を収めた。フォームのバランスの良さ、ストレート、変化球の質、相手打者の特性、試合状況を読んだ投球センスなど全国トップクラスの好投手だった。ドラフト候補として注目されているが、強豪大学からも引く手あまたの逸材となりそうだ。


九州国際大付vs興南 | 高校野球ドットコム
山城 京平(興南)

 一方、興南の先発・大北 北斗も完成度が高い好投手だった。躍動感あふれる投球フォームから繰り出す直球は130キロ〜135キロ前後だが、回転数の高さを伺わせ、120キロ前半の鋭角に曲がるスライダーの切れ味は抜群。クイックも素早く、フィールディングなど身のこなしが軽快で、次のステージでも十分活躍できる好投手だった。

 そして6回裏二死から登板した2番手・生盛 亜勇太(2年)もかなりの好素材だ。真っ向から振り下ろすストレートは常時135キロ〜138キロ(球場表示で141キロ)、120キロ前半の縦スライダーのキレもよく、2年生としては高レベルの投手であることが伺える。

 その生盛は7回裏、先頭打者に二塁打を打たれて降板。

 マウンドに登ったのは左腕エースの山城 京平だ。その山城は4番・黒田 義信のバントを軽快に処理して、三塁へ封殺。その後も自慢の速球で押し切ると、8回裏にも抑え、2回無失点の好投を見せた。滑らかな体重移動から繰り出すストレートは常時136キロ〜142キロを計測。平均球速138.06キロと、2イニングながらも、高校生左腕としてはトップレベルの平均球速。ほぼストレートではあるが、強打の九州国際大付打線が前に飛ばせない圧のあるストレートだった。興南の左腕としては。島袋 洋奨宮城 大弥に匹敵する逸材だろう。

 フィールディングの動きもよく、クイックも無駄がない。この夏までドラフト候補として追跡される投手になるのではないだろうか。

(取材=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.12

学法石川の好捕手・大栄利哉が交流戦で復帰! 実力は攻守ともに世代トップクラス!身長200センチ右腕を攻略し、完封勝利!

2024.05.12

【春季新潟県大会】プロ注目右腕・茨木佑太が完封!元プロの芝草監督は素材、メンタル面も絶賛!

2024.05.12

プロ注目の200cm右腕・菊地ハルン(千葉学芸)がセンバツ出場校との交流戦でまさかの7失点…夏までの課題は?

2024.05.12

【春季京都大会】センバツベンチ外の西村がサヨナラ打!新戦力の台頭目立つ京都外大西が4強進出

2024.05.12

【奈良】天理が決勝最多18得点で圧勝!13年ぶりに春の頂点に<春季大会>

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在28地区が決定、長野では松商学園がノーシードに

2024.05.07

【鹿児島】神村学園は昨秋4強の鶴丸と初戦で対戦<NHK旗組み合わせ>

2024.05.07

【山陰】益田東と米子松蔭、鳥取城北が石見智翠館と対戦<春季大会組み合わせ>

2024.05.07

【北海道】函館大有斗、武修館などが初戦を突破<春季全道大会支部予選>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>