News

まさに繊細。無失策男・菊池涼介(武蔵工大二出身)が明かしたグラブのこだわり

2020.12.17

まさに繊細。無失策男・菊池涼介(武蔵工大二出身)が明かしたグラブのこだわり | 高校野球ドットコム
広島東洋・菊池涼介 写真提供=ミズノ社

 今や球児が憧れる二塁手といえば、菊池涼介武蔵工大二出身)だ。今年は二塁手として史上初の守備率10割を達成した。そんな菊池はグラブクラフトマンとのリモート対談を行った。菊池が語った内容はプレイヤーとしては必見の内容だった。グラブのこだわりを紹介したい。

 報道陣に配布された資料を見ると、内野手用としては標準的な大きさで、捕球後にすぐにボールを握り直せるように操作性を重視したシンプルな設計と記されている。

 しかし、グラブについて語りだした菊池の話した内容はとても繊細で、ここまでデリケートにグラブを扱っているのかと思わせた。グラブの硬さは「硬すぎず、柔らかすぎず」。そしていかにフィットするか。

 まずグラブの革の材質からこだわる。特に親指に入ったフィット感を大事にしており、このフィット感を維持するために、表革は少し柔らかめの革(キップレザー)を使用、裏革(手のひら部)はソフトな手触りで手にしっくりなじみやすい革(ディアスキン)を使用している。特に親指のフィット感にこだわっており、少しでも曲がる感覚があったりしてしまうなかなか使えない。またグラブの紐が切れた時は、再び紐を入れ直すが新しい紐で締め直すと硬くなってしまい、「使用感」がなくなってしまう。使用感が残るように締め直しを行うなど、親指は最重要ポイントと捉え、設計をしてきた。試行錯誤を重ねても、また使うごとに感触も変わってくる。それにも応えていかないといけない。

 「グラブに違和感があってしまうと、守ることに不安を覚えています。だから守ることができないので、使用はできないんです」とはっきりと語る。守備職人らしいこだわりだが、ミズノのグラブクラフトマンは菊池の要求をクリアし、「ほぼ指のような感覚」というぐらいフィット感のあるグラブを作り上げた。

まさに繊細。無失策男・菊池涼介(武蔵工大二出身)が明かしたグラブのこだわり | 高校野球ドットコム
こだわりのつまった広島東洋・菊池涼介のグラブ 写真提供=ミズノ社

「僕のわがままを聞いてくれて本当にありがたいです。ミズノさんは僕だけではなく、選手たちの色んな思いを形にしていただけるメーカーだと思いますので、使い続けている理由です」と感謝の言葉を述べた。

 菊池の話で驚かされたのはグラブの手入れだ。これは一選手の意見として聞いてもらえばと思う。

「僕はシーズン中で、1つのグラブを使い通してますが、グラブにオイルやグリスを塗ることはありません。柔らかくなったり感覚が変わったりするじゃないですか。それが嫌なんです」

 菊池以外にも捕球面には絶対に塗らないという選手もいれば、もちろん手入れをする選手もいる。ではどうやって高い品質のまま手入れをしているのか。菊池はグラブをはめた時の形を維持したまま、ロッカーなどに保存を行う。曲げたりしてしまうと感覚が変わってしまうためだ。もちろん1個だけで行かない時もある。その場合、菊池は新しいグラブを使うのではなく、スペアにしていた古いグラブを使用する。

 なぜ古いグラブを使用するかといえば、菊池の繊細な感覚をクリアしたアイテムだからだ。

 現在は感染対策をしながら、自主練習を行っている。史上初の無失策に終わった2020年だが、フル出場ができず、Bクラスに終わり、菊池自身は悔しい1年だった。

「良い時よりも、悪い時の記憶がフラッシュバックするんです。そういう気持ちが練習をしないといけない気持ちをかきたてるんですよね。だから僕どうこうより来年は優勝したんです」

 新たなグラブとともに菊池は2018年以来の3年ぶりのセ・リーグ制覇へ向けて攻守で躍動する。

(記事=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.15

【島根】出雲商-三刀屋、大田-益田東など初戦から好カード<地区大会組み合わせ>

2024.05.16

【2024年春季地区大会最新状況】全道大会は出場校決定、関東と東海は18日に開幕

2024.05.16

【秋田】夏のシードをかけた3回戦がスタート、16日は大館鳳鳴などが挑む<春季大会>

2024.05.15

獨協大の新入生に専大松戸の強打の捕手、常総学院のサード、市立船橋のトップバッターが加入! 早くもリーグ戦で活躍中!

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.05.12

学法石川の好捕手・大栄利哉が交流戦で復帰! 実力は攻守ともに世代トップクラス!身長200センチ右腕を攻略し、完封勝利!

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?