試合レポート

東海大菅生vs日大三

2020.11.15

東海大菅生、3投手がつないで被安打2!日大三を下して6年ぶりの秋制覇

東海大菅生vs日大三 | 高校野球ドットコム
6年ぶり3度目の優勝を決めた東海大菅生

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 5000人の観衆が見守る中で行われた秋季都大会の決勝戦は、東海大菅生が投打に持ち味を発揮し、6年ぶり3回目の優勝を決めた。

 日大三はこの試合、打順をかなり変えてきた。準決勝では途中出場の大川智矢を1番に起用し、不動の1番打者であった星憂芽は3番に入った。注目の先発投手は、準決勝で好リリーフをした背番号1の岡村海琉だった。「岡村で行けるところまで、行こうと思いました」と小倉全由監督は言う。

 しかし1回裏東海大菅生は1番・千田光一郎が左前安打で出塁し、2番・福原聖矢が送り、4番・堀町沖永の左前安打であっさり1点を先制した。2回裏には死球の6番・山田聖和を、9番の本田峻也が流してレフトオーバーの二塁打となり、山田が生還した。ここで日大三は、岡村に代えて、この大会好投している宇山翼をマウンドに送った。この大会好調の宇山は、スライダーのキレが良く、東海大菅生打線を翻弄する。

 しかし東海大菅生の先発、左腕の本田は、この試合は抜群の安定感をみせる。また捕手の福原も無駄な球はほとんど投げさせず、テンポのいい投球が続き、4回を終わって日大三は無安打に抑えられる。

 それでも、4回裏東海大菅生の6番・山田のセンター後方への打球を、日大三の中堅手・星が背走し、倒れ込みながら捕球し、宇山を助ける。さらに8番・岩田一真の二塁への強い当たりを、二塁手の齋藤広空がダイブして好捕して、試合の流れが日大三に傾きかける。

 実際5回表、この回先頭の5番・井坪朝陽が四球で出塁すると、6番・鎌田慎也が送り、8番・安田和暉がこの試合、日大三の初安打となるレフト線に二塁打を放ち、井坪が生還した。「宇山を楽にしようと、食らいつきました」と安田が語る執念の適時打だった。

 昨秋の3回戦でこの両校は対戦している。その時は、東海大菅生がリードしたものの、8回に日大三が逆転している。1点差では、勝敗の行方は全く分からない。

 とはいえ、東海大菅生の本田の投球は、1失点は喫しても、ブレることなく安定している。7回表には日大三から三振を2個奪い、この試合の奪三振は7となる。


東海大菅生vs日大三 | 高校野球ドットコム
今大会好投が光った東海大菅生のエース・本田 峻也

 その裏東海大菅生は、8番・岩田の右前安打、9番の本田の打順で代打に岩井大和を送り、岩井の死球で一、二塁。1番・千田の送りバントは失敗したが、2番・福原の右前安打で満塁となる。

 続く3番・小山凌暉の2球目にワイルドピッチがあり東海大菅生は貴重な追加点を挙げる。さらに二、三塁で小山は一ゴロ。ここで思わぬプレーが出る。一塁手の林夢人は本塁に送球しようとしたが躊躇して、腕を止めたけれども球は手から離れて転がり、その間に2人が生還した。小山も小池の左前安打で生還し、この回4点。東海大菅生は、優勝にぐっと近づく。

 先発・本田に代打を出したので、8回表は1年生の鈴木奏成が登板し、安打1本打たれたものの無失点。9回には準決勝でも9回を締めた千田が登板し、四球と失策の走者は出したものの、最後は6番・鎌田を三振に仕留め、優勝を決めた。結局この試合で東海大菅生は3人の投手が登板して、打たれた安打は2本だけという、完璧に近い内容だった。

 この試合、7回まで投げて好投した本田について若林弘泰監督は、「今日はエースとしての意地はみれた」とエースの投球を称えた。この夏の独自大会で、西東京大会に続き、東西決戦にも勝っている。エースの本田や捕手の福原、打線の中心の千田、堀町はその時のメンバーだ。そこに1年生の小山や小池祐吏などが加わった。「3年生がいい財産を作ってくれた。その上に、この優勝がある」と若林監督は言う。2年前も強いだったが、秋は準優勝に終わり、センバツ出場を逃した。そうした悔しさを経験して、東海大菅生はさらに一段階上のチームに成長した。

 一方、敗れた日大三の小倉監督は、「まだまだ力不足を感じました」と語る。それでも、今までのような強力打線はなくても、守りの野球で勝ち進み、伝統校としての引き出しの多さはみせた。ただ、大事なところで失策が出たのは惜しまれる。それでも、こうした悔しさは、伝統校をさらに強くするに違いない。

 コロナ禍に苦しんだこの1年。それでも、様々な制限はあるにしても、最後は観客が入った中で野球をすることができた。この秋、どの学校もチーム作りに苦労していた。その中で、この両校の戦いぶりは、来年はさらに強くなるという期待を抱かせるものだった。コロナの感染は先が読めないが、来年の成長した姿を期待しつつ、秋季大会を戦った各校の健闘を称えたい。

(記事:大島裕史


【先攻:日大三
1番(左)大川 智矢
2番(二)齋藤 広空
3番(中)星 憂芽
4番(一)林 夢人
5番(右)井坪 朝陽
6番(遊)鎌田 慎也
7番(捕)川島 柾之
8番(捕)安田 和輝
9番(投)岡村 海琉
先発・岡村 海琉

【後攻:東海大菅生
1番(中)千田 光一郎
2番(捕)福原 聖矢
3番(右)小山 凌暉
4番(一)堀町 沖永
5番(三)小池 祐吏
6番(左)山田 聖和
7番(二)橋本 唯塔
8番(遊)岩田 一真
9番(投)本田 峻也
先発・本田 峻也

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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