試合レポート

旭川実vs白樺学園

2020.10.05

最速147キロ右腕・田中楓基が9奪三振1失点完投!強敵・白樺学園を破る!

旭川実vs白樺学園 | 高校野球ドットコム
旭川実先発・田中楓基

 甲子園交流試合に出場した白樺学園。支部予選を突破して全道大会まで勝ち進んだが、初戦は実力校・旭川実。北海道を代表するチーム同士の試合は終盤までもつれる展開となった。

 白樺学園は先発にエースで、甲子園も経験した大型右腕・葛西 凌央がマウンドに上がった。身長183センチ体重79キロという体格を活かした角度のあるボールが持ち味。セットポジションから動き出していき、一度上げた足をそのまま真っ直ぐ下ろす形で、軸足にタメを作ってから、前へ移動する。腕は上手く折り畳みながら引き上げてトップの高さまで引き上げてから、振り下ろしていく。

 序盤から安定した投球を続けてきた葛西に対して立ち上がり不安定だったのが、旭川実のエース・田中楓基だ。
 全身のバネ、キレといったところがどれだけ優れているのかわかる躍動感あるフォームが印象的な田中。セットポジションからコンパクトに小さく回すようにテイクバックをとると、体の回転にあわせて腕を鋭く振り抜いていく。

 最速147キロも計測するストレートを軸に、鋭く曲がるスライダーも混ぜたが、立ち上がりは上体が先走り、突っ込み気味のフォーム。結果としてボールがバラつき、制球に苦しんでいた。

 しかし2回辺りからフォームのバランスが整い始めると、ボールも安定し始める。そうすればカウントが整い、低めのスライダーにも手を出してもらえる状況に変わる。結果、尻上がりに田中は調子を上げていった。

 すると打線も田中を援護する。
 5回、先頭の9番・田中が二塁打で得点圏に進むと、2番・小池響のヒットなどで無死満塁。ここで3番・宇佐見瞬大がしぶとく一、二塁間を破るタイムリーで旭川実が先制した。



旭川実vs白樺学園 | 高校野球ドットコム
白樺学園先発・葛西凌央

 リードをもらった田中は7回に白樺学園2番・田中佑季に一死三塁からタイムリーを許すも、後半も安定した投球を見せる。

 そうすると7回、旭川実は5回途中からマウンドに上がった2番手・原田一輝からチャンスを作り、5番・下出将馬らのタイムリーなどで一挙5得点と試合を決定づけた。

 最後はエース・田中がヒットを打たれながらも無失点に抑えてゲームセット。7対1で白樺学園を破った旭川実がベスト8進出を決めた。

 試合後、旭川実・岡本監督は「(田中は)よく頑張ったと思います。初回見た時は『これはやばい』と思いましたが、よく持ち直してくれました」とエースの好投を称賛した。

 9回完投勝利を挙げた田中は立ち直った要因について、「守ってくれている周りの野手に打たせて取ろうと意識を変えて投げました」と語る。冷静さを取り戻したことが勝利に繋がった。次戦の投球も楽しみにしたい。

 一方敗れた白樺学園の戸出監督は「新チームスタートして1か月くらいで練習試合も限られた中でしたが、良い状態で大会に入っていて期待はありました。ただ田中君のワンランクレベルの高い投球に要所で力負けでした」とコメント。また先発した葛西は「下半身が上手く使えずにボールが上ずってしまいました」と反省の一言を残した。

 これで白樺学園は連覇を逃すこととなったが、この敗戦が春、そして夏へとつながることを期待したい。

(取材=田中 裕毅)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.12

学法石川の好捕手・大栄利哉が交流戦で復帰! 実力は攻守ともに世代トップクラス!身長200センチ右腕を攻略し、完封勝利!

2024.05.12

【春季新潟県大会】プロ注目右腕・茨木佑太が完封!元プロの芝草監督は素材、メンタル面も絶賛!

2024.05.12

【春季京都大会】センバツベンチ外の西村がサヨナラ打!新戦力の台頭目立つ京都外大西が4強進出

2024.05.12

プロ注目の200cm右腕・菊地ハルン(千葉学芸)がセンバツ出場校との交流戦でまさかの7失点…夏までの課題は?

2024.05.12

【奈良】天理が決勝最多18得点で圧勝!13年ぶりに春の頂点に<春季大会>

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在28地区が決定、長野では松商学園がノーシードに

2024.05.07

【鹿児島】神村学園は昨秋4強の鶴丸と初戦で対戦<NHK旗組み合わせ>

2024.05.07

【山陰】益田東と米子松蔭、鳥取城北が石見智翠館と対戦<春季大会組み合わせ>

2024.05.07

【北海道】函館大有斗、武修館などが初戦を突破<春季全道大会支部予選>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>