広島は遠藤淳志がチームトップタイの11先発、高卒生え抜きでは前田以来の規定投球回到達を目指す
好投を見せる遠藤淳志(霞ヶ浦出身)
今秋のドラフトへ向けた高校生合同練習会が東日本、西日本それぞれの会場で行われた。
甲子園が中止となったことでアピールの場を失ってしまった選手たちが、プロ野球団のスカウト陣を前に思う存分プレーしたようだ。
そのなかで山下舜平大(福岡大大濠)や内星龍(履正社)に豆田泰志(浦和実)ら投手陣に注目が集まっていた。各球団ともにチームの屋台骨を支えてくれるような先発投手を高卒で獲得することができたら、数年はやりくりが楽になる。
さて、現時点では各球団、生え抜き高卒の先発ローテーション投手は、どれだけ存在しているのだろうか。各球団の今シーズンにおける登板数上位5名を振り返ってみたい。
セ・リーグ5位と苦しんでいる広島の先発登板数上位を見ると、九里亜蓮(亜細亜大)、大瀬良大地(九州共立大)、森下暢仁(明治大)の大卒組に遠藤淳志(霞ヶ浦高)を加えた4人が11回で並んでいる。
すでにエースとしての地位を確立している大瀬良だが、ここまでは5勝4敗、防御率4.41と大瀬良としては物足りない数字が並んでいる。ここ2試合は4回もたずに降板しており、9月5日のDeNA戦では4回途中8失点と大乱調。翌日には登録を抹消されている。すでに今シーズン2回目の登録抹消となり少し心配だ。
一方の九里も3勝4敗、防御率4.31と少しもの足りない。しかし9月8日のヤクルト戦では6回無失点と試合を作り白星を手に入れた。現在はカード頭となる火曜日の先発を任されており、大瀬良不在の間はローテーションの軸としてチームを支えることになりそうだ。
ドラフト1位ルーキーの森下暢仁(明治大)はすでに即戦力として活躍。新人王候補にも挙げられており。チームトップタイとなる6勝(2敗)をマークし、防御率2.39と先発ローテーションの中心となりつつある。
そして遠藤である。遠藤は高卒3年目の有望株。昨シーズンは中継ぎで34試合に登板し防御率3.16と結果をだした。今シーズンから先発ローテーション入りを果たしたばかりだが、そのなかでチームトップの先発回数、そして2勝2敗、防御率3.90の成績は文句ない。
この4人に続くジョンソンは開幕から7連敗と調子が上がらず、現在は登録抹消中だ。本来は先発投手陣の軸となるべき、大瀬良とジョンソンの調子が上がらないことが、低迷のひとつの要因と言えるだろう。
広島のここ数年を見ても、大卒の即戦力候補や外国人投手でローテーションを回してきた。遠藤のような生え抜きの高卒投手が、先発ローテーションに入るのは2015年の前田健太(現ツインズ/PL学園高)以来となる。2010年代で見ても前田以外に生え抜きの高卒選手で規定投球回に到達したのは、大竹寛(現巨人/浦和学院高)ひとりしかいない。
今シーズンの遠藤は前田以来となる規定投球回を目指すことになる。また、二軍では高橋昂也(花咲徳栄高)や山口翔(熊本工高)、アドゥワ誠(松山聖陵高)といった素材も控えている。
大卒即戦力候補だけでなく、高卒の生え抜き選手たちも安定して先発ローテーションに加えることができるだろうか。その起用法が楽しみだ。
【先発登板数上位】
1位(11)九里亜蓮(亜細亜大)
1位(11)大瀬良大地(九州共立大)
1位(11)遠藤淳志(霞ヶ浦高)
1位(11)森下暢仁(明治大)
5位(10)K.ジョンソン(ツインズ)
(記事:勝田聡)