戻ってきた147キロ右腕・藤井翔(東海大菅生)はチームの優勝に貢献できるか
藤井翔
東海大菅生にこの男が帰ってきた。今大会背番号11を付けた藤井翔が準決勝の創価戦で4番手として登板。1回を投げて打者3人をきっちり抑える好投。最速147キロを計測したストレートを軸に、縦横のスライダーやカットボールで打者を圧倒して、復活を感じさせる投球を見せた。
1年生の秋から主力投手として投げていた藤井。持ち味は回転数の多いスピンの利いたストレート。このボールを武器にタレント揃う東海大菅生でも存在感を示していた。だが、2019年の5月に行われた愛知遠征での愛工大名電戦で異変が起きた。
愛工大名電戦の後、肩に違和感を感じた藤井は3か月近く投球ができない状態に。夏の大会は背番号14でベンチに入ったが怪我の影響で投球フォームを崩してしまった。
投球フォームを固めるためにシャドーピッチングなどに取り組む藤井。しかし調子はすぐに上がらずに苦戦を強いられたが、あることに気が付いたことで調子が上向きになった。
「調子が悪い時は力み過ぎていることに気が付いたんです。そこでリリースする瞬間だけ力を入れるようにして、それ以外では脱力することを意識するようにしました」
また、コントロール以上に、全力で投げ込む。腕をしっかりと振っていくことを意識して大会に臨んでいる藤井。こうすることで「ボールに指先が引っ掛かり、ボールを押し込める感覚が得られる」ようになり、藤井が理想としている伸びのあるストレートも投げ込めている。
こうした取り組みを経て、バネのような躍動感ある藤井らしい投球を取り戻した。今大会は中大杉並戦で登板するなど、リリーフとしてチームを支えている。今大会は同級生・新倉寛之や広瀬楽人などの他の投手陣の台頭が著しい東海大菅生。藤井は「練習試合では調子が悪くてみんなにカバーしてもらったので、今日の試合は逆にカバーすることが出来て良かったです」と仲間たちの存在を語っている。
投打ともに今大会も戦力が整う東海大菅生。そこに復調してきた藤井が加われば、さらに戦力は厚くなる。西東京王者まであと1勝。佼成学園との決勝戦では登板があるのか。藤井のピッチングから目が離せない。