Interview

ドラフト候補揃いの石川県に現れた県内最速右腕・川崎翔陽(金沢龍谷)が語る青写真

2020.07.11

 星稜内山壮真遊学館高田竜星、小松大谷の中津大和日本航空石川嘉手苅浩太と、石川の実力校にはドラフト候補と呼ばれる逸材がひしめく。

 その中で、県内トップクラスに入る速球投手がいる。それが川崎翔陽金沢龍谷)だ。昨年の石川大会で今年の石川県の高校生では最速となる148キロをマーク。この夏でブレイクを狙う川崎の歩みを追った。

2年夏に出した148キロから一転。奥川恭伸の「くの字」ステップを取り入れ、不調を乗り越える

ドラフト候補揃いの石川県に現れた県内最速右腕・川崎翔陽(金沢龍谷)が語る青写真 | 高校野球ドットコム
県内最速右腕・川崎翔陽(金沢龍谷)

 愛知県出身の川崎。小学校4年生から野球を始め、中学では愛知港ボーイズに所属。中学3年の時には130キロ台を投げるまでの投手へ成長し、もともと県外志向で、高校では寮生活で自分を鍛えたいという思いがあった川崎は、複数の学校の中から誘いがあった中で、金沢龍谷を選択した。

 高校でより専門的なトレーニングをすることで、1年夏には最速138キロを計測。いきなりの球速アップに「トレーニングをしたことで、中学時代と比べてもフォームに勢いが出て来たことが大きいと思います」と球速アップの要因に語る。

 冬場では、ウエイトトレーニングや、手押し車など器具を使ったトレーニングと基礎的なトレーニングをしっかりと行い、高校2年には球速が140キロ台に到達。順調なスピードアップができるぐらい金沢龍谷のトレーニング環境は川崎に合っていた。

 そして昨夏の3回戦の金沢市工戦で、自己最速の5キロを上回る最速148キロをマークした。川崎は最速が出る予感はしていたという。

「2年生になってから140キロ中盤が出る試合も多くあり、自己最速が出る予感はしていました。ただ148キロが出たときは驚きました」

 こうして順調なステップアップしていたが、2年秋は県大会1回戦で小松に3対13で敗れていた。この時、川崎は「フォームを見失っていた」と語るように絶不調に陥っていた。

 そこで、大会が終わってからは足の上げ方までフォームを見直し、奥川恭伸星稜-東京ヤクルト)の「くの字ステップ」を活用。

 投球練習、キャッチボールでフォームを固めるだけではなく、川崎にとって大きかったことは打撃投手だった。

「打者相手に投げることで、実戦に近い感覚で投げることができますので、最初はなかなかコントロールできないことが多く、苦しかったんですけど、徐々にコントロールできるようになってから、ブルペンにも上がると、良い感覚で投げることができて、コントロールも2年生のときよりも改善できた感じはあります」

 またくの字ステップのフォームを採用したことで、「それほど目一杯投げなくても、フォームに勢いが出てきて、軽い感覚でも140キロ台の速球を投げられるようになった」と語るように、投手としての完成度を高めていった。

[page_break:オフトレーニング期間、自粛期間も意識高く行い、投手として大きくレベルアップ]

オフトレーニング期間、自粛期間も意識高く行い、投手として大きくレベルアップ

 速球が注目される川崎だが、変化球も得意で、スライダー、チェンジアップ、フォーク、ツーシームを投げ分けることができるという。

 オフトレーニング期間ではウエイトトレーニングではなく、食べる量を増やし、さらに睡眠時間も最低8時間摂るように意識し、178センチ85キロまでに増量。

「体重が増えたことで、今までと比べても、それほど力を入れなくても力強いボールを投げられるようになりました」

 手応えをつかみ、今年の飛躍に向けて準備を進めていたが、全国に緊急事態宣言が出たこと。また石川は全国に比べても休校期間が長く、川崎を含めた寮生は帰省をしていた。

 愛知の自宅に戻った川崎は自宅でできるトレーニングや、フォームの感覚を見失わないよう毎日壁当てを行いながら、再開時でもフォームが崩れないよう、調整を続けてきたという。

 こうして意識高く取り組んだことで、復帰してからも「フォームを崩していた秋と比べてもかなり良い感覚で投げられていますし、もしかしたら150キロは行くのではないかと思っています」と夏の大会に向けてしっかりと準備ができている。

 石川県は星稜日本航空石川を筆頭に強豪が多いが、川崎はそんな強敵相手に対し、こんなイメージで打者を打ち取りたいと思っている。

「高めのつり球で思い切りストレートを投げ込んで空振り三振を取りたいです」

 それが出来るために日々の投球練習で実戦を想定して、完成度を高めている。

 2年生まで無我夢中に投げていた時と比べて、今ではどういうふうに抑えればいいのか、具体的なイメージをしながら、投げることができている。

 将来の目標は「プロ野球選手」と掲げた川崎。独自大会優勝を目指すこの夏は「スピード」だけではなく、投手として総合的にレベルアップした姿を見せ、選手としてワンランク上のステージに到達する。

(記事=河嶋宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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