昨夏の宮崎王者・富島はいかにして自粛期間を乗り越えてきたのか
2019年に初めて夏の甲子園の切符を掴んだ富島。一時期は部員不足で大会に出場できなかったこともあったが、2018年の選抜では九州地区の代表校として選出されるなど、近年宮崎県内で実力をつけてきた実力校として注目を集める。
敦賀気比戦でも登板した富井 大輝など、甲子園経験者も残る新チームは秋の県大会を制覇。2年連続で夏の甲子園を目指してオフシーズンも練習を重ねてきたが、新型コロナウイルスで活動が自粛。4月上旬は練習ができる期間もあったが、緊急事態宣言の発表を受けて4月20日頃から再び活動自粛となった。
全体での練習ができない間、富島では選手たちに練習メニューを任せていた。その代わりに濵田 登監督は保護者に向けて選手たちに伝えたいメッセージをメールで送り、選手たちは親を通じて監督とコミュニケーションを図ってきたと小原幸輝部長は振り返る。練習ができない難しい状況の中でも、選手たちとのつながりを保って、再開を待ち続けた。
しかし5月20日に甲子園の中止が決定となり、2年連続で夏の甲子園とはならなかった。当時は2時間の制限付きではあったが、部活動が再開していたため、練習にミーティングを開き、選手たちへ中止になったことを直接伝えることができた。
「中止を受けて多少モチベーションを落とす選手もいたのですが、その時は独自の大会が開催される可能性が出ていましたので、そのことを話に出して、『頑張っていこう』というようなことは伝えました」
富島は開催されることを信じて待ち続けていた。そして15日、宮崎県では正式に県独自の大会が開催されることが決まった。詳細は今後決まる予定となっているが、心の支えが現実となり、現在の練習に対しても高いモチベーションで取り組めていると小原部長は見ている。
現在は少しずつ練習メニューの強度や内容を変えながら、大会に向けて調整をしている富島。練習試合も解禁となり、実際に2020年初めての対外試合をすることが出来た。「まだ試合に慣れていないので、実戦感覚はこれから戻していく感じです」と少しずつではあるが、調整を進めている。
独自大会での優勝を目指し、練習を続ける富島。宮崎の新鋭が再び結果を残し、県内でさらに存在を示す。
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