全国トップクラスの進学校・開成の指揮官が語る、地方大会の重要性
開成・青木監督
昨年、難関国公立大、難関私学に多くの合格者を輩出し、全国トップクラスの進学校として注目される開成(東京)は4、5月の間、オンライン授業が続いたが、6月1日から2週間の分散登校が再開され、練習再開は6月中旬以降となっている。
学校活動再開後も自主練習の期間が続くが、4月の段階で東京都では独自の大会を開催する方向を発表していた。チームを率いる青木秀憲監督は、この決定に勇気をもらっていた。
「高校総体の中止が決まった頃から『いろんなことがあり得るだろう』と思っておりました。そのなかで、私自身はどうにかできないか考えていたところ、独自の大会をやることが発表されて、勇気づけられました。ましてや、様々なことが自粛を余儀なくされていた中での発表でしたので、勇気をもらえました」
東京都では7月18日から独自の大会が開幕することが決まっている。青木監督はこの決定から、さらに勇気をもらって活動再開を待っているが、青木監督は今年に限らず、例年開催されている地方大会の重要性をこう語る。
「甲子園は限られたチーム、限れられた選手しか出場ができない。だからこそ大事な大会でもありますが、多くの選手、学校が甲子園に進めず高校野球を終えるのです。地方大会の開催は多くの選手がこれまで重ねてきた努力の確認の場として必要だと思っていたので、努力の成果がどれくらいなのか。確認してけじめをつけるためにも地域ごとの大会があった方がいいなと考えていました」
現在、自主練習期間中の開成。青木監督は事務連絡、練習方法、選手のモチベーション維持の考え方をまとめた文章を1枚の紙にまとめ、メールで選手に送り、主将だけ電話でやり取りをしている。
「『具体的なやりとりをせず、一方向でもやるべきこと、やれることに徹するんだ』と選手たちには伝えました。いつ試合になってもできる頭、心の準備。試合の注意点とかを今のうちに学校で練習できない間に整理してまとめておいて、試合がいつになっても後れを取らないようにして行きました。練習試合で指摘したこととか、考えないといけないことはあるので、試合が出来なくても復習できる。それを指示で出していました」
干渉をせず、指導者の立場から求めていることを主将に伝え、選手の自主性に委ねるやり方を行ってきた。その成果は全体練習明けに確認するつもりだ。
「練習再開時の選手たちの姿を見て、練習への取り組み方や姿勢を見れば自粛期間をどう過ごしてきたのかが分かると思います。元々、我が校は限られた時間の中で積み上げることを求めてきたチームです。この機会なので、どれくらい上達のためにこだわって練習ができたのか注視したいと思います」
どんな状況下でも、自分の敵は自分なのだ。そんな青木監督はこの大会については例年以上に特別なものになると感じている。
「(情勢的に)例年の大会よりも注目される中で戦うので、より心に残る大会になると思います」
7月18日に開幕する独自大会へ向けて、これからも一歩ずつ積み上げていく。
(記事=田中 裕毅)
関連記事
◆【来春の西東京を引っ張る二刀流・折笠 利矩(日大二)をピックアップ!
◆第647回 徹底した体作りで選手を鍛え上げる日大二(東京) 打撃力の「一点突破」で夏に飛躍を
◆大会直前に敢行した有意義な2試合!日大二vs市立川越の練習試合を徹底レポート!