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「3年生の存在や在り方がチームの鍵」和気閑谷(岡山)は障害者野球チームとの交流も成長の糧に

2020.05.15

「3年生の存在や在り方がチームの鍵」和気閑谷(岡山)は障害者野球チームとの交流も成長の糧に | 高校野球ドットコム
和気閑谷の集合写真 ※写真提供=和気閑谷野球部

 「1年生に何も教えてあげられていない。思い出を作れていない」

 自分の集大成の夏に、1年生のことまで心配できる3年生が全国でどれだけいるだろうか。新型コロナウイルスの影響で、世界は前代未聞の事態が続く。野球界も大会などが軒並み中止・延期となり、高校野球も夏の甲子園の開催が危ぶまれる状況。そして多くの学校が活動自粛となる事態にある。

  岡山県にある和気閑谷もそんな学校の1つ。日本最古の公立校としても知られる和気閑谷は6月1日が活動再開ではあるが、現在は最新ITを活用しながら自主練習をしている。

 「学校でipadを生徒1台に渡しておりまして、そちらを使ってG Suiteと呼ばれるGoogle社のアプリに自主練習の様子を撮影して選手たちにアップもらい、それを見てコメントをしています。また『こんな練習をやっていたぞ』と他の選手にも見せることで刺激を与えあって、チームで動いている感覚を忘れないようにしています」

  練習メニューは選手たちに一任。練習環境の違いもあるが、それぞれが自身の持つ課題に気づき、正面から向き合って取り組む。発見までの過程や可能性を模索する中で成長していくことを願っているのが部長として選手たちに携わる柴谷祐人先生は語る。

 活動再開は6月1日の予定となっているが、そこまで選手たちには会えない。「悔しさが9割あります。けど今回の事態になって『野球が好き。野球がやりたい』という気持ちに気づくことができました。出来る範囲の練習になりますが、その想いをエネルギーに変えて夏があることを信じてやるしかないです」と柴谷先生の想いは強い。

 夏は「3年生の存在や在り方がチームの鍵になる」と最上級生がチームを引っ張るように期待を込めている。そんな中で3年生が口にした一言こそ、冒頭の言葉だ。和気閑谷は障害者野球チーム・岡山桃太郎と交流を持っている。こうした関わり合いの中で、周りのことも見られるように成長を促してきた。その成長が垣間見えた一言だろう。

 「こうした活動を通じて、仲間のありがたさや超えられる壁があることに気づけているんだと思います。ですので、『誰かのために』というモチベーションをプラスにプレーできるか楽しみです」

 今は自分と向き合って日々成長を続けているが、再び和気閑谷がチームとして始動した時にどれだけ仲間のために動けるのか。その成果が見られる舞台が整うことを祈るばかりだ。

(記事=田中裕毅

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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