昨春の選抜出場・大分は「ここからがシーズン」のつもりで、開催を信じて準備を続ける
写真は2019年冬場から
多くのチームが活動自粛を余儀なくされてきたが、少しずつ練習が再開できるようになり、一歩ずつ前へ進んでいる。今回の事態を受けてSNSや最新のITを活用し始めたチームが多くなったが、普段から上手く活用していたのが大分県の強豪・大分だ。
大分と言えば楽天に育成で入団した捕手・江川侑斗などを擁して昨春の選抜に出場した県内屈指の実力校。この夏も注目される学校の1つだが、今回の事態を受けて、5月11日の学校再開までは活動自粛せざるを得ない状況だった。
電話取材で現在の状況を廣瀬茂先生に聞くと。「いつでも再開できるような状態は作ってきました」ときっちりと準備を進めてきたことを語る。
普段から大分では練習メニューや日程、さらにはミーティングの内容までを全員が携帯で見られるようにアプリで管理する習慣があった。さらにはコンディションのチェックも廣瀬先生がメディカルマネージャーという資格を取得していて、病院とトレーナー、選手自身が確認ができる態勢を整えていたおかげもあり、スムーズに対処することができた。
実際のアプリの画面
それだけではなく、チームメイトの自主練習の内容もお互いに共有できるおかげで、ステイホームの状況でもチーム内で自然と刺激を与えあうことができ、緊張感をもって自粛期間を過ごしてきた。きっちりと選手のことを把握しつつ、高い緊張感をもって過ごすことができたが、廣瀬先生はこれからが大事だと考えている。
「今回のような事態は自分たちに決定権がないので、そこを考えるのではなく、出来ることをやっていこうと。ですので、この与えられた時間は冬場が伸びたつもりで過ごしてもらい、ここからがシーズンになったと思って、夏に向けて準備をしてきたつもりです」
大分では5月末に開催予定だった県選手権の中止が決まり、残すは夏の大会のみとなった。大会は無事に開催できるのか、そして大分はどんな夏を過ごすのか。開催できることを祈って、今も出来る調整を続けていく。
記事:田中 裕毅
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