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野村克也氏の本を読んで、野球への取り組み方を考える昭和第一学園

2020.04.24

野村克也氏の本を読んで、野球への取り組み方を考える昭和第一学園 | 高校野球ドットコム
昭和第一学園高校

 全員で集まって練習が出来ない状況が続く中で、各校は不自由さや練習が出来ないもどかしさに耐えながらも、工夫しながらそれぞれの時間を過ごしている。社会人野球で一時代を築いたシダックスでプレーし、監督も務めたことのある田中善則監督が率いる昭和一学園では、田中監督がシダックス時代の恩師でもある故・野村克也氏の本を読むことを推奨している。

 練習そのものは2月29日からストップして、その後は自粛要請や緊急事態宣言が発出されたこともあって休校が続き、3月~4月は部活動禁止。学校そのものは今のところ5月7日からということで予定しているが、部活動としてのスタートは5月中旬くらいからではないかと見ているという。

 そんな状況下で、田中善則監督は、主将の田中壮汰君に電話で連絡を取り、この期間の過ごし方や気持ちの持ち方などを逐次連絡しているという。
田中監督は、「選手たちには、これまでつけてきた『野球ノート』で今までの取り組みを振り返って、これからどのようにしていくのかということを考えなさいということは、一番強く言っている」と言う。

そして、自分の考え方をまとめる意味でも、言葉の大事さを意識していくためにも、恩師野村克也氏の本を読むことで、考えもまとまりやすいし、改めて気づかされることも多いのだという。幸いなことにというか、野村氏に関する本は書籍としては圧倒的な数で刊行されており、ネット市場含めて求めやすい状況にある。

 シダックスで野村氏から野球を学び、その後を受け継いだ田中監督である。「野村さんがどういう意図でこの言葉を発したのか」ということも、田中監督から聞かされれば、より説得力があるというものだ。

もし今、この状況で野村氏が生きていたら野球界に対してどんなメッセージを発信されると思うか、ということを聞いてみた。

「そうですね、『敵は我にあり』ということではないでしょうか。こういう時こそ、自分自身がしっかりしていかなくてはいけません。人間は弱いものです、自分に甘いものです。だからこそ、自分の中に敵があるということです。これは、私自身の戒めでもあると思っていますから、部屋の壁にもこの言葉は貼ってあります」

 田中監督自身も、今回のこの状況の中で、自分自身の野球人生も振り返って見ているという。そして、これから練習が再開されたら、どういうように選手たちと接していったらいいのかということも考えている。

 今季のチームは、昨夏から注目されていた館慎太朗君と風戸佑斗君という投の二本柱がしっかりとしているだけに、期待値も高かった。昨秋は、ブロック代表決定戦で投手戦の末に日体大荏原に屈した悔しさもある。それだけに、冬のトレーニングを越えて成長した姿を披露したかったという思いは大きい。選手たちには、気持ちが折れないようにということを一番気にかけている。

「もう一度(野球を)やれるということは、オレは信じている。だから、改めて、野球がやれるようになった時に、その思いをぶつけられるように準備はしておこう」
 そんなことも、LINEメッセージで呼びかけている。

 そして、投手陣にはどこかで壁当てができる場所を見つけて、準硬式球でもいいから実際に球を投げる感覚は忘れないようにというアドバイスも送っている。また、故障のある選手はこの間に焦らずじっくりと治しておくようにということも指示している。

「苦しいのは、野球界だけではありません。今は、辛抱しかないですけれども、この苦しみが解けたときに、野球ができる喜びをもう一度味わってほしい」

 田中監督は、そんなメッセージを最後に届けてくれた。

記事:手束仁

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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