高速化する箱根駅伝から学べるもの。誰にも追いつけない成長をした者が頂点に立つ
お正月の風物詩・箱根駅伝は青山学院大が2年ぶり5度目の総合優勝を果たした。箱根駅伝に限らず、高校駅伝、ニューイヤー駅伝をはじめ、高速化が顕著になっている。一部ではシューズの進化が挙げられているが、今回、着目したいのは、競技は年々進化しており、そのスピードについていけなければあっという間に置いて行かれるということを知ってほしいということだ。
陸上はタイムで勝負するスポーツなので、進化の様子がはっきりして分かりやすい。
まず過去3年の優勝チームのタイムを見てみよう。
・2018年 青山学院大 10:57:39
・2019年 東海大学 10:52:09
・2020年 青山学院大 10:45:23
なんと12分以上も速くなっている。2018年の優勝タイムは、今年では7位。2018年の2位・東洋大のタイムは11:02:32だったが、今年では10位にも残れないのだ。
改めて陸上界の凄まじい進化を感じる。
一方、野球界でも、着実に進化が感じられる。まず夏の[stadium]甲子園[/stadium]。49校を一通り見てみると、10年前よりも著しく投手の球速も、野手のパワー、スピードも、レベルアップしており、初戦敗退するチームの中でもこんなレベルなの?と驚かされることが多い。中には1回戦~2回戦なのに、10年前であれば甲子園準々決勝並みの試合だなということが多くなってきた。
さらに付け加えると、昨年、韓国で開催された世界大会の各国の進化は驚かされた。どうしても北米、日本、韓国、台湾が中心と感じてしまうが、トップチームが強いオランダはU-18世代が強くなっており、スペインは日本、アメリカに肉薄する戦いを見せた。
国際大会を何年も見ていくと、国際大会で活躍できる選手の基準は出来上がる。しかし2019年の世界大会はそういう基準が壊された大会だった。過去の世界大会は140キロ後半の速球を投げることができれば、だいたいは抑えられた。
しかし2019年の世界大会では150キロ近い速球を投げる投手でもコントロールが甘ければ、軽々と打ち返される。最も衝撃を受けたのは、アメリカvsスペインの試合。アメリカの最速158キロ右腕・アレハンドロ・ロサリオが投じた153キロのストレートをスペインの4番・フアン・ゴンサレスが強振し、レフトへ適時二塁打を放ったワンシーンを見たとき、世界の野球は着実にレベルアップしていると実感した。
このように、トップレベルで活躍できる選手の基準は年々上がっていく。昨年の世界大会の日本投手陣は6位以上のチームの中ではトップとなる防御率1.58、奪三振率13.36を記録したが、9人中、6人がプロ入りし、そのうち4人がドラフト1位というハイレベルな投手陣だった。それぐらいの投手陣ではないと世界で戦えないと示した大会であった。
去年のトップレベルはこれぐらいだから、これぐらいのレベルに達すれば戦えるというのはない。なぜならばネット文化が進化して、上達のメソッドが容易に入るようになり、多くの選手がレベルアップできるようになった。そういった勝負に勝つには、誰にも追いつけないぐらいの成長をしなければ、戦えないのだ。
その成長を追求するのは、非常に苦しい。だから「最後は自分自身との勝負」という言葉が身に染みて感じるのではないだろうか。
正月休みが終わり、練習はじめするチームが多くなると思うが、ぜひどこにも負けない成長を求めて練習に励んでほしい。
(記事=河嶋 宗一)
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