News

まさに死闘!馬場記者が選ぶ、2019夏の甲子園 ベストゲームはこれだ!

2019.12.28

まさに死闘!馬場記者が選ぶ、2019夏の甲子園 ベストゲームはこれだ! | 高校野球ドットコム
奥川泰伸(星稜)※写真は共同通信

 今年も高校野球では数多くの名勝負が生まれた。その中でベストゲームを選ぶとすれば、夏の甲子園3回戦の星稜智辯和歌山だろう。

 星稜は中学で日本一に輝いた奥川恭伸山瀬慎之助のバッテリーを擁する優勝候補。
 智辯和歌山は5季連続で甲子園に出場した黒川史陽東妻純平西川晋太郎といったタレントを揃えており、白熱した好勝負が期待された。

 この試合では先発した奥川が絶好調。4回までパーフェクトに抑え、7奪三振と強打の智辯和歌山を寄せ付けなかった。
 対する智辯和歌山は奥川との投げ合いを直訴した小林樹斗が今大会初先発。1回、2回は得点圏に走者を背負いながらも粘り強い投球を見せていたが、4回裏に山瀬に犠牲フライを打たれて降板となった。

 絶好調の奥川相手の1点は重かったが、智辯和歌山は6回表に相手の失策からチャンスを作ると、西川の適時打で試合を振り出しに戻した。その裏からはエースの池田陽佑が登板。奥川に負けない熱投を見せた。

 試合は互いに譲り合うことなく、延長戦に突入。終わりの見えない投手戦が続くと思われたが、11回表に奥川が右足を攣るアクシデントに見舞われる。
 その中で相手の黒川が熱中症対策の錠剤を渡して世間から称賛されたことも話題になった。

 選手の体を考えれば早く終わらせてあげたいが、まだまだこの2チームの試合を見ていたい。そんな矛盾した思いを感じながら記者席で戦況を見つめていた。

 12回でも決着がつかず、決着はタイブレークに持ち込まれることになった。無死一、二塁と得点の入りやすいケースだが、奥川、池田ともに送りバントすら決めさせず、得点が入らない。
 体が限界を迎えているはずの奥川はタイブレークになっても150キロ超えの速球を連発。いったいどこにそんな力があるのだろうかと思わされた。

 永遠に続くのではないかと思っていた試合は突然、終わりを告げる。

 14回裏、一死一、二塁から6番・福本陽生が左中間に3ラン本塁打を放って星稜のサヨナラ勝ち。
 負けた智辯和歌山の選手だけでなく、勝った側の奥川や福本の目に光るものがあった。

 勝ち負けを超えた激闘の跡が彼らの表情から見て取れた。彼らが繰り広げた熱戦は間違いなく後世にも語り継がれるだろう。

(記事=馬場 遼

関連記事
【レポート】第101回全国高等学校野球選手権大会三回戦 星稜vs智辯和歌山
記録にも記憶にも残る奥川恭伸のピッチング。奥川は伝説の投手になった
【インタビュー】149キロ右腕・池田陽佑(智辯和歌山)の原点。投手人生のスタートは13歳の誕生日から【前編】

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.31

【鹿児島NHK選抜大会】鹿児島実がコールド勝ち!川内商工は終盤に力尽きる

2024.05.31

夏の愛知大会は6月28日から開幕!決勝戦は7月28日【愛知大会要項】

2024.05.31

【北信越】富山県勢4校が12年ぶりの県勢V狙う、茨木擁する帝京長岡にも注目<地区大会>

2024.05.31

【鹿児島NHK選抜大会】鹿屋農が"強気の勝負"で勝機を引き寄せ4強入り

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.26

【春季関東大会】白鷗大足利が初優勝!最後はタイブレークの末サヨナラ死球で幕切れ!

2024.05.26

【近畿大会注目チーム紹介】実力派監督就任で進化した奈良の名門・天理。超高校級の逸材3人を擁し、緻密な攻守で全国クラスのチームに!

2024.05.26

【近畿大会注目チーム紹介】エース頼み脱却を目指してきた京都国際。「素質はプロ入り左腕と同等」の2年生左腕の台頭と打線強化で京都の大本命に成長!

2024.05.28

交流戦開幕、初戦の注目は髙橋宏斗vs.今井達也の初対決!

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉