ワールドトライアウトで見つけた好投手たち 元NPBの高木や、MIP賞の箭内たち
高木勇人投手
11月30日、[stadium]明治神宮球場[/stadium]で開催されたワールドトライアウト。このトライアウト、非常に有意義なものがあった。なぜかというとNPBに在籍していた投手、野手が参加してくれたこともあって、投手でいえば、球速、投球術、制球力、変化球の精度、リズムなど総合力を比較しながら課題が見えてくる。
そういう意味で高木勇人(埼玉西武・30歳)はモデルのようなピッチングだった。コンパクトなテークバックから打者よりで離せるリリースポイントが特徴。140キロ前後と特別速くないのだが、無理なくストライクを入れられる制球力の高さはずば抜けていた。
そしてテンポもよく、120キロ前半のスライダー、100キロ前後のカーブをコントロール良く投げられる。この投球の組み立ての上手さがあって一軍でも投げられたと思う。ただ高木レベルでも今年は一軍で登板できたのは2試合。NPBを目指すには相当なレベルがないといけないだろう。
まずスピード部門でいえば、元楽天の横山貴明(福島ホープス)と内田聖人(元JX-ENEOS)は速かった。横山は右サイドから常時140キロ中盤(最速146キロ)の速球は威力があり、スライダーの切れも悪くなかった。横山レベルでも戻れないのだから、NPB復帰のハードルは非常に高い。
内田も常時140キロ中盤で最速148キロ。140キロ以下はなく、平均球速、速球の勢い自体はドラフト指名レベルだった。ただこの日は制球に苦しみ、0.1回を投げて3四球に終わった。
この年限りで選手人生にピリオドを打つという内田。これまでの野球人生で学んだこと、また速球を投げる方法は誰よりも追求してきた選手だけに若い選手たちに伝えてほしい。
MIP賞を獲得した箭内翔太投手
若手投手だと、189センチの大型右腕・渡辺 明貴は高校野球を経験することなく、独立リーグを経験することなく、クラブチームでプレーする逸材。粗削りで、高めに浮くことは多いが、常時140キロ前半(最速145キロ)の速球は見ごたえがあった。19歳の大型右腕ということで、注目が集まるが、NPBを目指すにはあと2年間でどれだけ総合力を高められるか。
そしてMIP賞を受賞した箭内翔太(徳島インディゴソックス・東日本国際大昌平)は21歳ながら、完成度が高かった。ワールドトライアウトで投げた投手では、一番可能性がある投手だと思う。
右サイドから投げ込む直球は140キロ前後だが、ストライクが取れてコーナーギリギリに強いボールを投げられる。さらに110キロ後半のスライダーで空振りを奪うピッチングだった。ピンチの場面でも強く、修羅場を潜り抜けるところはさすが、徳島インディゴソックスで最多登板を果たした中継ぎ投手らしい内容を示してくれた。
NPBを目指すとなれば、高速変化球系で打たせて取れるボールがあるともっとピッチングの幅が広がると思う。ツーシーム、縦スライダーなど。ピッチトンネルを極めることを目指してもらいたい。今も昔も、NPBは馬車車のように投げられるサイドハンドは需要がある。
その需要を満たす投手になれるか、来季のピッチングを注目していきたい。
(記事=河嶋 宗一)
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