高校時代は0勝。189センチの大型右腕・松井友飛（金沢学院大）はロマン溢れる逸材だ

松井友飛（金沢学院大）

　明治神宮大会大学の部は慶應大が優勝を飾った。

　大学野球の魅力は高校時代、実績がなかった選手が飛躍するところだろう。その視点で見ると、金沢学院大の松井友飛（2年・穴水）だ。

　189センチ90キロと、まさにスケール抜群のピッチャーだ。ランナーがいないところからセットポジションから始動し、左足を勢いよく上げていき、右足の膝を適度に伸ばしてバランスよく立ち、縦振りで投げ込んでいくストレートは常時130キロ後半～140キロ前半ながら勢いがあり、130キロ近いカットボール、120キロ前後のスライダー、120キロ前後のチェンジアップ、110キロ前半のカーブも大きく曲がる。1つ1つの球種は抜群。

　初戦の九州産業大戦では1.2回を投げ、4失点だったが、準々決勝の関西大戦では5回を投げ、6奪三振、2失点と負け投手になったとはいえ、潜在能力の高さを発揮した。試合後、全国のレベルの高さを発揮したとはいえ、この2試合で、スケールの大きさを見せつつ、課題を再確認した大会となった。

　自宅に近い理由で、穴水に進学。最速139キロ右腕として注目されたが、まだ実戦力がなく、1勝することもなく最後の夏を終えた。当時のメンバーで大学でも野球を続けている選手はいない。

　そして金沢学院大に進むと、体づくりと球種を増やし、この春にカットボールを習得し、飛躍的に投球の幅を広げた。

　試合終了後、金沢学院大の主将・比嘉翼（4年・健大高崎）から「また帰ってきてほしい」とメッセージをいただいた。松井は来季へ向けて、
　「4年生に勝たせてあげられなかったことに、　悔いが残っているので、来年へ向けて切り替えて、しっかりとレベルアップして、全国の舞台で帰っていきたいです」
　憧れはダルビッシュ有。北陸の大器は来年、再来年とドラフト上位候補と呼ばれるような存在になっていくのか、注目していきたい。

（文＝河嶋 宗一）