今年の甲子園は奥川恭伸など好投手だけではない!甲子園で大活躍を見せた井上広大、藤田健斗、木下元秀の将来性に注目!
履正社の甲子園初優勝で幕が閉じた今年の甲子園。惜しくも準優勝に終わった星稜の奥川恭伸など好投手に注目が集まったが、今回は、前評判以上の活躍をみせ、ドラフト戦線に滑り込んできた選手たちを紹介したい。
履正社のスラッガーが大暴れ
井上広大 写真:共同通信社
今夏の甲子園で、最も評価が上がったのは、履正社のスラッガー・井上広大だ。
大阪大会で4本塁打を放った井上は、甲子園でもその長打力を発揮。
初戦の霞ヶ浦戦では、鈴木寛人のカットボールをとらえ、レフトスタンドへ今大会第1号ホームランを放つと、2回戦の津田学園戦では、前 佑囲斗のの145キロの速球を合わせ、レフト線を破る二塁打。
さらに、3回戦の高岡商戦では、右サイドハンドの荒井大地のカーブに苦しんでいたが、右中間に意識を置き、カーブにタイミングを合わせて、本塁打を放った。準々決勝の関東一戦でも、4打点の大活躍。そして、決勝戦の星稜戦では逆転3ランを放ったが、これも相手投手が連続四球でランナーをためたところから、ストライクを取りにきたスライダーを逃さなかった一発だった。
井上の打撃のストロングポイントは、修正能力が高いことだ。一打席ごとに、相手投手に合わせてフォームと、打つポイントの微調整を行うことができる。さらに、相手バッテリーの配球を読むことが上手い。
井上が今大会残した3本塁打14打点の成績は、プロ注目投手や、技巧派右腕たちから打ったもの。井上の存在を存分にアピールした大会となった。
今年のドラフト市場を追っていくと、投手の顔ぶれは揃っているが、スラッガーが少ない。好投手から打ち続けた井上の評価は、間違いなく高騰しているだろう。これまで履正社は多くのスラッガーを輩出しているが、井上も、その先輩たちに肩を並べるような選手に育つ可能性は十分だ。
[page_break:4投手をまとめた藤田健斗 ポテンシャルの高さを示した木下元秀]4投手をまとめた藤田健斗 ポテンシャルの高さを示した木下元秀
藤田健斗(中京学院大中京)
次に紹介したいのは、藤田健斗(中京学院大中京)だ。昨秋まで東海地区屈指の強肩捕手として注目を浴びていたが、全国的にその名が広がったのは今年の4月、高校日本代表候補の研修合宿だ。
佐々木朗希の163キロを捕球したキャッチャーとして話題となった。佐々木の球を受けただけではなく、超高校級の選手と一緒にプレーした経験をキャプテンとしてもチームメイトに伝えた藤田は、攻守のまとめ役としてチームをけん引。この夏、甲子園ベスト4入りに貢献した。
藤田は、スター性があるというよりは、どちらかというと地味な選手。それでも藤田の魅力は数多い。勝負強く、コンタクトに打率が残せる技術があり、キャッチャーとしてもスローイングタイム1.8秒~1.9秒台の強肩。さらに、キャッチング技術の高さも光る。甲子園で登板した4投手の特性を理解した配球は実にスキルが高かった。
将来的には、阪神、巨人、横浜DeNAで活躍した鶴岡一成や、オリックスでプレーする山崎 勝己のようないぶし銀タイプのような捕手になるのではないだろうか。
もう1人。甲子園で株をあげたのが、木下元秀(敦賀気比)。甲子園では、3試合で12打数7安打の活躍を見せたが、打撃技術が非常に高い。力みのない構えから、ボールを手元まで呼び込んで振り抜くスタイル。
下半身主導でタイミングを取ることができるため、捉える瞬間、前膝の割れができ、さらに目線のブレも少なく、高確率でボールを捉えることができる。今大会、本塁打こそなかったが、それは木下への攻めが厳しかったから。引っ張れるようなボールがあれば、本塁打にできる技術を持った選手であった。ボールに逆らわず、広角に打ち返せる打撃は素晴らしかった。
木下は、敦賀気比のOBである西川龍馬(広島)にパワーをつけたタイプ。コンタクト力も優れながら、本塁打も打てるタイプ。木製バットにも早く対応できるタイプではないだろうか。本塁打がなかったので、あまり記憶には残っていないかもしれないが、持っているポテンシャルは高い。
今年のドラフトで、彼らの名前が呼ばれることに期待したい。
(記事=河嶋 宗一)
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