Interview

甲子園に出場した先輩たちに追いつくだけでなく越える 注目のスラッガー・安田陸人(益田東)【前編】

2019.07.14

 昨夏ノーシードから島根大会優勝を果たした益田東。下級生時代から公式戦出場を続けていた3年生たちに割って入り、唯一2年生でレギュラーを掴んでいたのが、一塁手の安田陸人だった。

 現チームでは主将も務め、名実ともにチームの柱として奮闘している。今回、主将として心掛けていること、主砲としての意気込み、連覇がかかる高校最後の夏の抱負を語ってもらった。

2年生で経験した甲子園はグラウンドの広さに驚いた

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安田陸人

―― 昨年は唯一の2年生レギュラーとして甲子園(試合レポート)に出場。先輩たちとのプレーはどうでしたか?

安田陸人(以下、安田) 最初は自分が完全に気後れしてしまって……(苦笑)。最初のころ(1年秋)は3年生と普通に話すだけでも緊張していたんです。でも、3年生たちが本当に優しい方々で。下級生の自分がプレーしやすい環境を作ってくださいました。

―― 昨夏の島根大会を勝ち進むなかで「甲子園にいける!」と確信したタイミングがあれば教えてください。

安田 開星戦(3回戦)に勝利したタイミングで感じた、と話す先輩方が多かったんですが、自分は最後の最後まで「これでいける!」とは思わなかったんです。決勝戦(石見智翠館戦)の9回になったとき、「この回を抑えたら甲子園なんだよな……」とようやく感じたくらいでした。2アウトになったときに、二塁手の藤本さんと「これを抑えたら本当に甲子園なんですよね?」と話していたほどで。

―― 目の前の一戦、ワンプレーに集中していたんですね。甲子園の印象はどうでしたか?

安田 グラウンドの広さが一番印象に残っていますね。ベンチや室内練習場など、色々な設備もすごくて、驚いてばかりでした。

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チームの為にキャプテンとして去年の先輩たちを越える

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春までは捕手も務めた。後輩捕手にアドバイスを送る

―― 新チームでは主将を任されています。今までの野球人生で主将の経験はありましたか?

安田陸人(以下、安田) いえ、今回が人生初の主将なんです。実は新チーム発足直後は別の選手が主将をやっていたんですが、途中から引き継いだ形になります。

―― どういった形での交代でしたか?

安田 新チームが始まって少し時間が経ったころの練習試合後、監督室に呼ばれて、「今日から主将だ」と言われての交代でした。それまでは、試合でチームをまとめる「ゲームキャプテン」を任せてもらっていましたが、本音を言うと、すごく驚いて動揺した面もありました。

―― 安田主将の表情やチームメイトへの気配りを見ていると、非常に“優しさ”が伝わってきます。

安田 ありがとうございます!(笑) ただ、その分人に対して強く指摘することがあまり得意ではない面もあるので、そこは変えていかなければならないとも感じています。

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打撃練習

―― 主将としての立ち振る舞いを考える上で意識しているのは、昨年の先輩たち?

安田 そうですね。迷ったときは、昨年主将だった荻野竜志さん(現・びわこ成蹊スポーツ大)がどういった姿でチームを引っ張っていたのかを思い出すようにしています。荻野さん以外では、昨年ゲームキャプテンをされていた首藤舜己さん(現・大阪産業大)の練習に取り組む意識も参考にさせていただいています。

―― 昨年の先輩たちに追いつこうという意気込みが強く感じられます。

安田 自分としては追いつくだけでなく、越えたいと思っています。そうすることがチームへの貢献とも思うので。

―― 先輩たちとは今でも連絡を取っていますか?

安田 はい! 自分から質問をさせてもらうこともありますし、先輩たちから連絡をいただくこともあります。春の大会で負けたときは先輩方から「なにしてんねん」と連絡があって……(苦笑)。今度はいい報告ができるようにがんばります。

―― 印象的なアドバイスやメッセージがあれば教えてください。

安田 卒業式の日に、荻野さんから手紙をいただきました。そこに「嫌いな人がいたとしても、好きになる理由を探せ」というアドバイスがありました。「あまり好きではないな」という人だったとしても、いいところ、見習うべきところは必ずある。主将として、「自分には合わない」と拒絶するのではなく、相手の長所を探して、受け入れていくことが必要だと学ばせていただきました。荻野さんからの手紙は、今でも迷ったときに繰り返し読んでいます。

 前編はここまで。後編では県内屈指の長距離砲として注目される安田選手にご自身の打撃について伺いました。後編もお楽しみに!

【後編を読む】一人一人の人間的成長で、もう一度ノーシードからの大逆転を目指す 安田陸人(益田東)【後編】

文=井上 幸太

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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