Column

東海大札幌(北海道)「我慢」を胸に、熾烈な競争の中レベルアップを図る冬

2019.02.22

 東海大札幌より東海大四と言われるとピンと来る方が多いかも知れない。北海道を代表する古豪である。

 東海大札幌(当時は東海大四)といえば、2014年の[stadium]甲子園[/stadium]の大会が印象深い人もいるかも知れない、小さなエース西嶋亮太東海大四→JR北海道クラブ)を中心に[stadium]甲子園[/stadium]まで駆け上がった。西島の投げるやまなりの超スローカーブに[stadium]甲子園球場[/stadium]全体がどよめいた。 現在のチームは、中学2年、1年生の時にその選抜を見て、東海大札幌に憧れて入ってきた世代である。 

 大脇 英徳(おおわき・ひでのり)監督も
 「選抜の[stadium]甲子園[/stadium]を見て、ここでやろうと思って入学してきた子達なので運動能力は高いものはあるんでしょうね。小林珠維(こばやし・じゅい)もそうですけど。野球の技量は例年に比べれば高いです」

と個々の選手の能力が高いことは認めている。

悔しい思いをした秋季大会


北の大地に現れた大型右腕・小林珠維(東海大札幌)

 個々の能力が高く期待をされたチームは、もちろん「選抜出場」を目指した。当時の心境を、現在寮長をしている、丸石 隼伸(まるいし・たかのぶ)は、「先輩方の想いを胸に、まずは秋の北海道の頂点、神宮大会、春の選抜大会出場を目標に全員で勝ちに行くことを決意して新チームをスタートしました」と回顧している。 

 秋の大会が始まる前に、チーム全員で五厘刈りにして気合をいれて望んだ秋季大会は自分たちの思いと周囲の期待とは裏腹に支部予選の代表決定戦で札幌光星高校に7対5で破れた。

 丸石は「[stadium]甲子園[/stadium]に行くんだという気持ちが強かった分負けたことをしばらく受け止められませんでした」と語っている。

 主将の白川 航也(しらかわ・こうや)は、「キャッチボールだったり、当たり前のことを当たり前にできなかった」 と秋の大会を振り返っている。

 大脇監督は「「俺らは力があるんだよ」みたいな過信してるところはあって、それが秋の予選負けにつながってると思っています。「やっぱり謙虚な気持ちでこの夏迎えられれば道は開けるのかなと。そういう意味では必要な負けだったと、あの負けがあったからこの夏というようにしたいですね」と敗戦を分析しているとともに、夏への糧にすることが大事と話してくれた。

 丸石もチームはすでに前を向いていると言っている。

 「2年生に残されている[stadium]甲子園[/stadium]への挑戦は後1回しかありません。何がなんでも夏の南北海道を制し、[stadium]甲子園[/stadium]に出場する。そして日本一になる!その想いを胸に夏圧倒的に勝ち上がるための心・体、技量を養うオフシーズンにしたいです」と語ってくれている。

 では夏の[stadium]甲子園[/stadium]を目指すチームの現在地を見てみたい。

[page_break:さらなる成長へ!熾烈な競争の中レベルアップを図る]

「我慢」という課題を持って挑む冬


ボックスを使ってトレーニングする選手達

 秋の敗戦を経験して冬を迎えたチームのテーマとして大脇監督は「基本に忠実に、コツコツと取り組みこと、チーム力を向上させること」と話してくれた。

 また、夏までのチームの課題として『我慢』というワードを上げてくれた。

 「我慢ができるようになると、ゲームの中でも冷静に対応できます。今はまだチームのアップダウンというかモチベーションの波があるんで、やっぱりじっと『我慢』して耐えれる集中力があれば、ゲーム展開もぶれないで行けます。勝つ時はぐっと勝つけど、負けるときや全然打てないとか、相手によって波がある。どんな相手でも、じわじわ とかかっておいでという言う、底力がでてくるかどうかですね」

 もちろん、投手陣にも、『我慢』を求めている。

 「ピッチャーだったらボール一個ずつの出し入れ。アウトローのストライクと二つぐらい外れたところに出し入れができるような技術的な練習をさせてます。ただ、技術的なことよりもどれだけ我慢できるのかというか犠牲や我慢ができるかということを常に求めていますね。自分の嫌いなことがあっても ぐっと 、そこでしょうね 」

 個々の能力が高いチームだけに、好不調の波さえ小さくできれば勝ち上がれるという強い意思を感じた。

チーム内の競争も熾烈に


東海大札幌のブルペン

 また、この冬チーム内の競争も熾烈になってきている。

 その1つは、コンバートである。前チームから試合に出ていた主将でサードの白川が、捕手にコンバートした。

 本人は、「肩の強さを見てほしいです。この冬はスローイングの安定と、(捕球してから2塁に到達するまでの時間を)1.8秒台が出せるように頑張ります」と捕手としての目標を口にしている。

 「打つ方で結果を出せる選手」と大脇監督が評する白川が捕手にコンバートすることで、チームにはどのような化学変化が起こるのか。もちろん今までホームを守ってきた横地 純弥も譲る気はないはずである。

 また大型右腕・小林がいる投手陣も、夏までに誰が1番をつけるかはまだ決まっていない。

 「ピッチャーは他にも鈴木 一茶というのがいます。後は、左の朝比奈 虎太朗というのがいたり、金枝 翔太というのがいたり結構いっぱいいます。なのでこの夏、小林が一番をつけるとはまだ決めていません。1年生にも左の大洞 元樹という子もいます。誰かが小林を超えて1番をつけることもありえますね」

 誰がこの競争をだれが抜け出してくるか、大脇監督は注意深く見守っている。

 最後に、大脇監督が選手にメッセージを残してくれた。


「進む我らに勝利あり」

 この言葉は選手に届いているに違いない。シーズンインからの東海大札幌の活躍を期待したい。

編集後記
主将の白石、寮長の丸石はチームのアピールポイントを「団結力です」、小林は「一体感があるところ」といずれもチームワークの良さを話してくれた。「我慢」を覚えたチームが、チームワークとともに春からどのような戦いを見せてくれるのかワクワクが止まらない!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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