キーワードは校章の稲穂!?荒木大輔を冷静にさせた当時の教え
栄北でコーチをしている小山 寛陽氏
キーワードは校章の稲穂!?荒木大輔を冷静にさせた当時の教え
「荒木は誰にくっついたり、誰かの陰に隠れたりするやつで、おとなしい性格でしたよ。」
1980年に甲子園準優勝をはじめ、春夏合わせて5度の甲子園出場を果たしている荒木大輔氏。大ちゃんフィーバーを巻き起こした荒木の意外な一面を語ってくれたのは、現在は栄北でコーチをする小山寛陽氏。
荒木氏より1つ年上の小山氏は、関東一や埼玉栄で指導経験を持ち、教え子には関東一で現在は監督している米澤貴光氏がいる。
そんな小山氏と荒木氏は小学校からの付き合い。同じリトルに所属し、世界一を経験。さらに中学でも同じシニアでプレーをし、日本一を達成。その後、2人は早稲田実業でともに汗を流した。
「リトルで世界一、シニアでも日本一になっているので特別驚きはなかったです。荒木もこれだけの成績を残してもおとなしい性格だったので、横道に逸れることがなかったです。」
当時、プロが使うビジター用クラブハウスにバスを止めなければ移動ができないくらい人気があった荒木氏。ただおとなしい性格だったために浮かれることはなかったそうだが、その後に小山氏は「あとは当時の教えがあったからだと思います。」と話す。
その当時の教えが「実れば実ほど頭を垂れる」という言葉だった。
これは稲穂が実った時に、穂先が下に垂れている様子を用いて、新聞や雑誌など周りから評価に惑わされてはいけない。天狗になってはいけない。逆に謙虚でいなければいけないことを伝えてきたのだ。
しかしどうして稲穂だったのか。それは早稲田実業の校章にある。
実は早稲田実業の校章は稲穂が描かれている。だから稲穂が実った時の様子と選手たちの心構えを掛けて「実れば実ほど頭を垂れる」なのだ。
荒木氏は現在、北海道日本ハムファイターズの2軍監督兼投手コーチを務める。
「現役終わっても、プロの世界で指導者ができるんですから、彼は凄いですよ。それだけ名前と実力、そして人ができている人格者ですよ。大した男です。」と称賛の声を述べた小山氏。
世間を賑わせた荒木氏が野球に対して素直に取り組めたのは、「実れば実ほど頭を垂れる」という言葉の存在が大きかったのだった。
記事=編集部