エースとしての自覚を胸に勝てる投手を目指す!報徳学園エース林直人
夏の甲子園で8強に進出した報徳学園で、投手陣の一角として活躍したのが林直人(2年)だ。3回戦の愛工大名電戦では先発し、7回2失点の好投でチームを勝利に導いた。新チームではエースとなり、近畿大会出場に大きく貢献。近畿大会1回戦の近江戦でも2失点完投勝利を挙げ、センバツ出場に前進した。名門のエースとしてチームを引っ張るこれまでの野球人生や今後の目標などを聞いた。
報徳学園で甲子園出場を夢見て入学
1年秋からエースとして活躍をみせる
――野球を始めたきっかけは何ですか?
林直人(以下、林):兄が野球をやっている姿を見て自分もやりたいと思ったからです。小学2年生からリトルリーグで野球を始めて、4年生から軟式のチームに移りました。
――投手を始めたのはいつからですか?
林:本格的に始めたのは小学6年生くらいからです。それまでは外野などをやっていました。
――中学時代(ヤングリーグの兵庫伊丹に所属)もずっと投手ですか?
林:はい、そうです。1軍で投げ始めたのは3年生になってからでした。エースではありませんでしたが、夏にはヤングリーグの全国大会で優勝しました。
――全国制覇もして、様々な選択肢がある中で報徳学園を選んだ理由は何ですか?
林:家から近いですし、甲子園を狙えると思ったからです。10年前に甲子園で糸井(辰徳)さんのお兄さん(慎太朗)が出場していた報徳学園の試合を見に行ったことも思い出して、報徳学園には縁があると思いました。今は自宅から通っています。
――報徳学園のことはよく知っていたと思いますが、実際に入ってみて感じたことは何ですか?
林:ボールには触れるんですけど、1年生の最初の頃はランニングが多くて満足に練習できなくてランニングばかりの生活でした。以前から噂には聞いていましたが、本当にきつかったですね(笑)
――1年秋からベンチ入りしましたが、メンバー入りのために頑張ったことはありますか?
林:自分の良さを練習試合で出して監督やコーチにアピールすることを心掛けました。どんどん攻める投球をするようにしていました。また、自分は投げる時に吠えるのですが、吠えることで首脳陣にアピールしました。
――1年秋はエースナンバーも背負いましたが、初めての公式戦は振り返ってみてどうでしたか?
林:自分の力のなさがよくわかりました。3回戦の明石商戦で負けてセンバツを逃したのは僕のせいでもありました。僕にとっては最初の大会ということで緊張もあって自分の力をあまり出せていなかったと思います。
――秋の悔しさを踏まえて冬場はどのようなことに取り組まれましたか?
林:去年の秋は体重が66㎏しかなかったので、この冬はいっぱい食べて体重を増やすことを頑張りました。食べる以外でもしっかりウエイトもして、下半身を追い込んで強化しました。その結果、体重が10㎏増えました。体重が増えたことでピッチングが安定して、球筋やコントロールも良くなりました。
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報徳学園で甲子園出場を夢見て入学
――報徳学園に入ってから指導者や先輩に教えてもらったことは何ですか?
林:渡邊(友哉)さんのように緊迫した場面でバシッと抑えることができていないので、渡邊さんのような投球を練習試合から心掛けてやるようにと(大角健二)監督から言われています。
――中学まで学んでこなかったことで報徳学園に入ってから新たに学んだことはありますか?
林:礼儀や挨拶の仕方を教わりました。中学時代は挨拶する時の声が小さかったんですけど、高校に入ってからは挨拶練習があって、その時の癖で今は良い挨拶や返事ができるようになったと思います。
――そういう所でプレーに役立っているところはありますか?
林:あまりないですね(笑)
――今年の夏は東兵庫大会を制して甲子園に行きましたが、東兵庫大会はどうでしたか?
林:後ろに良い投手がいたので、計算せずに初回から全力でいける感じでした。自分も遠慮なく先輩に「よろしくお願いします」という感じでいけたので楽でした。
――甲子園出場を決めた瞬間はどんな気持ちでしたか?
林:秋、春と負けて悔しい思いをしてきて、絶対にこの代で日本一になるという気持ちで練習してきたので、優勝した瞬間は「やったー」という言葉がずっと出ていて、涙も出てきて、とても嬉しかったです。
――甲子園では3回戦の愛工大名電戦で先発しましたが、甲子園で投げてみてどうでしたか?
林:とても緊張しましたが、とてもレベルの高い打者と対戦できて良い経験になりました。
――あの試合では自分の力は出せましたか?
林」:10割は出せていないと思うんですけど、試合を作れるくらいの力は出せたと思います。
福井国体の時の林直人
――3年生と一緒に出た甲子園でしたが、3年生はどんな存在でしたか?
林:ベンチでとてもいい声掛けができていて、試合でのベンチの雰囲気はとても良かったです。その良い雰囲気がプレーに繋がっていたと思います。
――甲子園に出た経験を新チームではどう活かそうと思いましたか?
林:自分と2年生二人(大崎秀磨と西井星矢)が甲子園を経験しているので、自分たちが引っ張っていって甲子園に連れて行くという気持ちはとてもありました。
――新チームでは自分がエースになるという自覚はあったと思いますが、新チームになって変わったことはありましたか?
林:先輩がいなくなり、自分が一人で投げ切る試合が絶対に増えると思いました。でもメンバーに入っている投手も良い投手なので、僕がダメな時は後ろの投手が何とかしてくれると思いますが、それでも自分がエースとして投げ切って絶対に勝たないといけないと思います。
――ここまでの秋の戦いはどうですか?(兵庫県大会3位決定戦前の10月10日に取材)
林:2回戦の姫路東戦では点差を広げて勝てましたが、全然、内容がよくなかったです。それでも3回戦の川西緑台戦でいい勝ち方ができて、どんどんチームは成長できていると思います。
――投球フォームで意識していることはありますか?
林:足を上げてから着地する時に左足に体重を残して、前についても体を横に向けてそこからしっかり腕を振るという意識をしています。
[page_breakエースの自覚と覚悟を胸に林直人の今後の目標を語る]エースの自覚と覚悟を胸に林直人が今後の目標を語る
チューブを使いトレーニングを行う
――今日もチューブを使ってフォームの確認をしていましたが、そういうところを意識していたのですか?
林:そうです。
――変化球は何を投げますか?
林:カーブとスライダーとチェンジアップとフォークとカットボールです。相手によってストレートを軸にする時とカーブを軸にする時があります。
――球速の最速は何㎞ですか?
林:140㎞です。
――報徳学園にはこれまでにもたくさんのプロ野球選手を輩出するなど素晴らしい投手がたくさんいましたが、報徳学園のエースはどういうものだと捉えていますか?
林:僕が中学生の時に報徳学園のエースは凄いと思っていました。実際にその立場になってみて、去年の秋は嬉しい気持ちだけでしたが、今はエースとしての自覚が出て気持ちが変わって、絶対に自分が投げ切って勝つという気持ちが出てきました。
報徳学園エース林直人の今後の目標
――将来はどんな投手になりたいですか?
林:勝てる投手になりたいです。
――目標にしている投手はいますか?
林:特にいないです。
――理想の投球スタイルはありますか?
林:理想としては無駄な四球をなくしていきたいです。三振は取れる試合と取れない試合があるので、ゴロを打たせて取る投球をしたいです。
――高校生活最後の1年はどんな1年にしたいですか?
林:絶対に苦しい時が来るので、練習ではとことん苦しんで、最後の夏には必ず甲子園に出て日本一を目指して達成感を味わいたいです。
文=馬場 遼