試合レポート

国士舘vs昭和一学園

2018.10.14

追いつかれても、すぐに取り返した国士舘が接戦を制する

国士舘vs昭和一学園 | 高校野球ドットコム
国士舘・白須仁久志君

 秋のチームは、試合を重ねていくごとに、見違えるように成長していくという。この両チームは、ともに指揮官が、そんな実感を味わいながら大会を戦ってきている同士である。

 夏のメンバーから経験のあるのはリードオフマンの黒川君だけという国士舘。前年のチームに比べるとやや粒が小さいという現実は否めないところではあろう。だから、一次ブロック予選でも圧倒的な強さを示して勝ってきたというワケではなかった。それでも、試合を経験していきながら、チーム力は徐々に向上していっているという。

 これに対して昭和一学園は就任して5年目となる田中善則監督としても、「これまででチーム力としては一番あると感じているし、今後の伸びシロも大いに期待出来そうで楽しみなチーム」と感じているチームだ。それだけに、強豪に一泡吹かせたいという思いも強かったはずである。

 そんな昭和一学園が2回に先制する。ここまで打者4人がすべて三振だったのが、5番松村君、6番土屋君の連続二塁打で1点。さらに風戸君も三遊間を破る安打で一死一三塁と追加点のチャンスを迎えたが、その後は国士舘の長身投手白須君も踏ん張って連続三振で切り抜けた。角度のあるストレートも効果的だった。昭和一学園は結局ここまで打者9人が安打か三振という形になった。

 1点を追う国士舘は、早い回で追いつきたいところだったが、4回に先頭の3番冨田君が中前打したが後続がなく好機をつぶしかかったところで、6番鎌田君が右線へ二塁打して同点とした。

 さらに国士舘は5回にも四球と遠山君、黒川君のバント安打で無死満塁として松室君の内野ゴロの間に三塁走者が生還してリードを奪った。ただ昭和一学園の風戸君もその後も一死二三塁とピンチだったが、次打者を三振で抑えたところで館君につないで、館君も4番黒澤君を三振に切って取って凌いだ。

 国士舘も、5回まで10三振を奪っていた先発の白須君だったが、永田昌弘監督は「先発完投するという投手ではないので、どこかで交代させなければいけないなと考えていた」ということで、迷うことなく6回からは山崎君につないだ。

 その山崎君に対して昭和一学園は7回、二死二塁から9番山田航大君が三塁線を破る二塁打で同点とした。昭和一学園としては、この回は、ここで終わって次の回の1番からの打順で勝負してもいいと思っていたところだけに、貴重な同点打となった。

 同点に追いついただけに、昭和一学園の館君としても、この裏の国士舘の攻撃はしっかりと押さえたいところだったが、さすがに国士舘は勝負強い。7回は二死二塁に二塁打の山崎君を置いて5番森中君が右線三塁打。さらに続く鎌田君も中前打して森中君も帰してこの回3点。

 結局これが決勝点となって、国士舘昭和一学園を振り切った。

 「秋は、試合ごと(チームの力が)変わりますからねぇ」と、国士舘の永田監督は苦しい戦いを勝ち上がれたことで、また一つチーム力が上がっていったということを実感していたようだ。

 一方、昭和一学園の田中監督は、「珍しく長打が多く出たんですけれどもね…」と苦笑しながらも、「ここまで、(夏の準優勝の小山台など)ある程度力のある相手と戦いながら、勝ってこられたことでチームとしても試合をしながら一つひとつ自信は持ってきていると思います。今日の試合も、強い相手に臆することなく戦えたとは思います。ただ、学校としては大会で勝てていないチームですから、何か一つベスト8以上の実績を挙げていかないと…」と、次へ向けて一冬超えた成長を期待して欲しいという強い思いを示していた。

(文=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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