Interview

戦国東都で最優秀防御率獲得!帝京高で学んだ高校時代 清水昇(国学院大)【前編】

2018.10.01

 最速151キロのストレートと多彩な変化球を駆使し、東都大学野球リーグを代表するピッチャーへと成長した清水昇投手(国学院大)。ストレートの球質やコントロールなど、現在の高い完成度をいかにして作り上げてきたのか、高校時代を振り返りながら話していただいた。

帝京で学んだ3年間

戦国東都で最優秀防御率獲得!帝京高で学んだ高校時代 清水昇(国学院大)【前編】 | 高校野球ドットコム
インタビューに答える清水昇(国学院大)

 高校野球の名門・帝京高(東京)で3年間を過ごした清水投手。
 「中学生の頃、帝京は強豪のイメージが強かったので『自分の実力では厳しいかな』と感じていたのですが、練習を見学させてもらった時に前田(三夫)監督から出身地を聞かれて『東京です』と答えたんです。そうしたら『親孝行をするためにも東京出身なら東京の高校で甲子園を目指せ』と言われて入部することを決めました」

 帝京では多くのことを学んだ。
 「前田監督から一球の重みについてよく注意されていたのですが、最初の頃はきちんと理解できていなくて、勝負どころで甘く入った球を打たれてしまい怒鳴られたこともあります。でも、そうやって悔しい思いをしていくうちに、すべてのボールがただの100分の1球じゃないことが分かって、練習から特に1球目を集中して投げるようになりました。」

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帝京高校時代の清水昇

 また、チームメートの意識の高さに刺激を受けた。
 「帝京では選手同士でお互いを指摘し合うことが多くて、ミーティングでも監督やコーチよりも選手が発言していることの方が多いくらいでした。試合後も帰りのバスの中や部室で自然と反省会が始まって、よく話し合いをしていましたね。そういう選手が揃っていて、勝ちたいという思いも強かったので普段の練習から密度が濃く、気が付いたら『もう、こんな時間か』と思うことが多かったです。」

 そんななかで、最も印象に残っている練習はタイヤを使ったトレーニングだという。
 「冬のトレーニングで、トラックの大きなタイヤをヒモで腰にくくりつけてダッシュをするのですが、1年生の頃はフラフラになっていて、自分よりも体の小さい先輩方が最後まで走りきる姿を見ては『すごいな』と感じていました。でも、自分も3年生になった時はしっかりと走ることができたので、体力が付いてきたことを実感できました。」

 ただ、目標としていた甲子園出場はならず。プロ志望届も提出することなく、東都大学野球リーグの国学院大学へ進学することとなった。

[page_break:力の抜き方を学び成長した]

力の抜き方を学び成長した

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メディシンボールでトレーニング中の様子

 国学院大では力の抜き方を学んだという清水投手。
 「高校時代は何をするにしても全力でしたが、やはり1試合で100球以上を投げるなかですべてを100%の力でやるのは難しい。だから、70~80%でも抑えられるように力の抜き方を覚えるように指導されました。イメージとしては、軸になる体の芯の部分は力を残して、それ以外の周囲の部分は力を捨てる感じでやっています」。

 その一方で、ここぞという場面で大きな力を一気に出せるような練習にも取り組んでいる。
 「メディシンボールを使うのですが、メディシンボールを両手で持って左右の両サイドから投げて壁に当てたり、体幹を意識しながら地面に投げつけたり、後方へ大きく投げたり。そうやって瞬間的に120%の力を出力できるようなトレーニングをやっています。」

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清水昇投手

 球速については高校時代に伸び悩んだものの、大学に入ってからは順調に上がっている。
 「中学時に関東大会で141キロを出したのですが、高校では思うように球速が出ませんでした。当時は練習量が多いうえに、ジムへ通っていたこともあって帰宅は23時頃。それから食事を摂るのですがあまり喉を通らず、なんとかプロテインでカバーしていたのですが、体重が入部当初の80kgから1年秋には68kgへ減ってしまったことも影響したかもしれません。
 その後は体重を戻していって、さらに大学ではバラバラだったフォームをバランス良く投げるように修正しました。元々は投げ終わった後に体が一塁側へ流れていたのですが、右足を上げて左足一本で立った時にしっかりと左足に乗る。そして、右足を踏み出すと共に重心を前方へスムーズに動かしていくことで無駄な動きをなくし、力がボールへ伝わるようにしたんです。また、高校時代は野手投げの名残があったので大きなフォームで投げることも意識しました。」

 すると、大学1年の秋には147キロを記録。2年秋に150キロの大台に乗ると、今年8月には自己最速の151キロをマークするに至った。

 前編はここまで!後編では磨きをかけたボールのキレや変化球。さらにはコントロールアップの方法。さらには今夏の大学日本代表の秘話やドラフトへの想いを直撃しました。お楽しみ!!

文=大平明

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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