Column

ミレニアム世代のトッププロスペクト Vol.25「藤原恭大」

2018.08.07

 ミレニアム世代の逸材をトッププロスペクト方式で紹介。今回もドラフト候補としてハイパフォーマンスが期待される逸材を追っていく。

超高校級ドラフト1位候補・「藤原恭大」

ミレニアム世代のトッププロスペクト Vol.25「藤原恭大」 | 高校野球ドットコム
藤原恭大 (大阪桐蔭)

 早くから2018年のドラフト1位候補と言われていた。走力は万全でないと囁かれて臨んだセンバツ大会は決勝までの通算成績が打率.364(チーム4位)、打点7(3位)と高水準で、走塁も迫力があった。

 そのプレースタイルを「走攻守が高いレベルで揃っている」と簡単にまとめると大したことがないように思われそうだ。まず脚力の迫力を紹介しよう。昨年秋に右ヒザを故障しながらセンバツ大会では次のような各塁到達タイムを計測した(私の俊足の基準は一塁到達4.3秒未満、二塁到達8.3秒未満、三塁到達12 秒未満)。
◇一塁到達 4.19秒(4/1)、4.20秒(4/3)
◇二塁到達 7.76秒(3/26)
◇三塁到達 11.68秒(3/31)

 5試合、22打数で俊足のタイムクリアを4回しか計測していないのはもちろん物足りない。右ヒザ故障の影響と思われるが、長い距離を走る二塁打、三塁打のときの7秒台、11秒台はさすがの速さで、もし万全だったらどのくらいのタイムで走るのかわくわくする。

 ディフェンス面では手抜き、凡プレーを見たことがない。印象深かったのは昨年夏の甲子園大会3回戦、智弁和歌山戦の1回表だ。一死二塁の場面で3番打者のセンターライナーを前進して好捕すると、離塁していた走者をノーバウンドの好返球で捕殺している。野球界では「左投げの外野手は肩が強くない」という真偽不明のデマをよく耳にするが、藤原の肩を見るとそれが正しくないのがわかる。

 バッティングは3年になった現在より2年のときのほうがよかった。2017年夏の甲子園大会では、早い段階で上げた右足を長く滞空し、投手のボールにしっかりタイミングを合わせていた。それが春のセンバツではせっかちに始動、ステップして、打ち気にはやっている姿が確認できた。まだ体が万全ではなかったのだろう。

 センバツ大会後の大阪大会は右ヒザに配慮して欠場するが、近畿大会ではスタメン出場し1回戦では好投手が揃う明石商から1番打者として5打数5安打の乱れ打ち、準決勝決勝では4番で起用され、それぞれヒットを放っている。

 この近畿大会の好調を関東で披露したのが5月27日、[stadium]日体大健志台球場[/stadium]で行われた練習試合日本体育大戦だ。高校生と大学生がレギュラーメンバーを起用して対戦するのは珍しいのではないか。私は初めて見た。相手の日本体育大だが、野手はほとんどリーグ戦に出場しているメンバーを起用し、投手はドラフト1位候補の松本航東妻勇輔こそ登板しなかったが、リーグ戦の登板経験がある森博人(2年)、吉田大喜(3年)、春田優成(3年)、北山比呂(3年)を起用。6日後の明石商戦(これも高校生との練習試合)では、観客が少なかったこともあり目の前でスコアラーが計測するスピードガンの表示がよく見え、それによると森は146キロ、吉田は143キロ、北山は149キロを計測している。これらの本格派を相手に、3回表は森から二塁打、7回には春田からソロホームランを放っている。

 バッティングフォームは小さい始動と慎重なステップを取り戻し、打球方向は二塁打が左中間、ホームランがライトと、レベルの高い大学生投手に対して左右広角に打ち分けている。ちなみに、二塁打のときの二塁到達は8.30秒で、第5打席の一塁ゴロでは4.16秒という速さだった。走攻守すべての面で〝超高校級″と評価できるドラフト1位候補といって間違いない。

文=小関順二

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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