柳野友哉(神戸中央シニア)高い向上心で侍ジャパンの4番を掴んだ男!
昨年11月に愛媛県松山市で行われたU-15アジアチャレンジマッチ2017で、侍ジャパンに選ばれた柳野友哉。同大会では2試合目から4番に座り、7打数3安打2打点の活躍を見せた。決して大柄ではないが、パンチ力のある打撃が持ち味で、世代を代表する打者の一人である。今回は柳野選手に昨年に春夏合わせて17人の甲子園出場選手を送り出した名門チームで揉まれた経験や、侍ジャパンで学んだこと、進学が決まっている大阪桐蔭での意気込みなどを伺った。
同期と切磋琢磨した3年間
柳野友哉(神戸中央シニア)
―― 野球を始めたきっかけを教えてください。
柳野友哉選手(以下、柳野) 7~8歳年上の兄がいて、小さい頃に兄が野球をしているのをよく見に行っていました。兄が野球をしている姿を見て必然的に自分もやりたいなと思いました。それがきっかけで小学1年生から近くの軟式野球チームに入りました。
―― 小学生の時はどこを守っていましたか?
柳野 小学生の時はたまにピッチャーもしていましたが、基本的にはずっと内野手をやることが多かったです。
―― 長所のバッティングを磨くためにどういう所を頑張ってきましたか?
柳野 今までスイングスピードを上げることを意識して毎日のようにバットを振ってきました。僕はそんなに体が大きくないので体の大きい選手に負けないように、体全体を使って振る意識を持ってスイングはしてきました。
―― スイングスピードを測ったことはありますか?
柳野 スイングスピードは測ったことはないです。スイングスピードはそんなに速くなくてパンチ力があると思うので、それが自分の長所かなと思います。
―― 神戸中央シニアは食育にも力を入れてますが、ご自身の中で食事面で取り組まれたことはありますか?
柳野 1年生の時は体作りを頑張ってやってきました。お母さんも勉強してくれていて、栄養を考えたごはんを作ってくれていました。なので、それをしっかり食べるようにしていました。
―― 食育に取り組んだことで体の変化はありましたか?
柳野 神戸中央シニアに入ってから体重はかなり増えました。中学に入った時は150㎝、47㎏でしたが、今は168.5㎝、74㎏くらいです。
―― 神戸中央シニアはチームとして加圧トレーニングにも取り組まれているそうですが、どんなことをしているのですか?
柳野 専用のベルトを締めて、腕立てやスクワットなどをしています。遅筋だけでなく、速筋も鍛えられるような筋トレを調べてきてくれるコーチがいるので、そのコーチの指示に従ってみんなでやってきました。
―― この神戸中央シニアに入った理由はやはりトレーニング内容やレベルの高さにあったのでしょうか?
柳野 元々はいくつかのチームの体験に行くつもりでしたが、最初に神戸中央シニアの体験に来て自分で感じたものがあり、「ここや!」とすぐに思って入るのを決めました。
―― どういう所に「感じるもの」がありましたか?
柳野 練習の雰囲気が良いなと思ったところです。
―― 3年間でここまで来れたことを考えると神戸中央シニアを選んで大正解だったのではないですか?
柳野 それは凄く思います。この学年は人数も多くて(37人)、みんな上手い人ばかりでレギュラーを取るのも大変でした。最終的にはレギュラーを取れましたが、その中で自分を追い込んで仲間と毎日頑張っていくというのが凄く良かったです。
―― レベルの高いチームでレギュラーを取るために頑張ったことは何ですか?
柳野 僕の長所はバッティングだと思うのでバッティングを磨きました。
―― 今までに一番思い出に残っている大会はありますか?
柳野 夏の最後の全国大会となった日本選手権です(結果はベスト4)。関西と全然違う緊張感があり、不調な選手もいましたが、そこをみんなでカバーして戦い抜けたのが一番野球が楽しくできた瞬間でした。
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侍ジャパンでは4番を経験
柳野友哉(神戸中央シニア)
―― 昨年は侍ジャパンも経験してその中で4番も打ちましたが、その経験から学んだことはありますか?
柳野 清水隆行監督達がバッティングのことをキッチリ教えてくれましたし、僕は守備が段々苦手になってきて不安になることがあったのですが、臨時の古城茂幸コーチが教えてくれて凄く良い経験になりました。色んなことを吸収できたということが僕にとっては大きかったと思います。
―― 高校は大阪桐蔭に進みますが、入学を控えている今、取り組んでいることは何ですか?
柳野 守備が苦手なのでノックが受けられる時はなるべく入っています。ノックができない時は家でもできる足の運び方を一生懸命やっています。
―― 動きを参考にしている選手はいますか?
柳野 参考にしている選手はいないですが、チームで守備の上手い選手にどういう練習をしているかを聞いてみて、それをやってみたりしています。
―― 大阪桐蔭の試合は見たことありますか?
柳野 甲子園やテレビで試合は見たことがあります。見ていて別の世界だなと感じます。
レギュラーになって全国制覇を目指す
―― 高校での目標はありますか?
柳野 目標はレギュラーで甲子園に出て、全国制覇することです。今までセカンドで出ていたのでセカンドで出たいなというのがあります。後はクリーンアップを打てたら打ちたいと思います。
―― 高校ではどういう所を磨いていきたいですか?
柳野 やっぱりどんな場面でも強く振れるという自分の長所をしっかり伸ばしたいです。打撃だけでなく大阪桐蔭の選手は守備も走塁も全て揃っているので、守備と走塁を磨いていきたいです。
―― 大阪桐蔭にはいつから合流予定ですか?
柳野 4月1日に入寮する予定です。
―― 大阪桐蔭に進学を決めた理由は何ですか?
柳野 中学生になってからずっと大阪桐蔭に憧れていました。でも段々レベルの高さがわかってきて無理かなと思っていましたが、進路希望の面談で山田(高広)監督から「行ってみないか」と言われて行けるなら行きたいと思いました。自分がどこまでできるのか試したいし、そこからどれだけ成長できるのか挑戦してみたいので大阪桐蔭を選びました。
―― 同級生に誰が来るかは把握していますか?
柳野 一回、試験の時に会っています。みんな大きかったです。
―― 高校卒業後の進路は考えていますか?
柳野 もちろん、プロに行けたら行きたいです。もし無理だとしても神戸中央シニアの先輩である太田英毅さん(智辯学園)が立教大学に入学されるので、太田さんのいる立教大学にもいきたいなと思います。太田さんに憧れている部分もありますし、強い所に行きたいというのもあります。
―― 柳野選手にとって太田選手は憧れの先輩なのですね。
柳野 やっぱりYouTubeや甲子園でのプレーを見ていて凄いなと思います。太田さんは勝負強くて大事な場面で打てるバッターという印象があります。
―― プロ野球選手で目標にしている選手はいますか?
柳野 僕が好きなのは山田哲人選手です。
―― やはり打てるセカンドという点が目標にしている理由でしょうか?
柳野 そうですね。
―― 最後に高校での意気込みをお願いします。
柳野 高校でしっかり甲子園に出ることがお世話になった人への恩返しだと思うので、レギュラーになってお世話になった人を甲子園に呼んで、いいプレーというか一生懸命やっている姿を見せたいです。
名門の神戸中央シニアで揉まれ、侍ジャパンを経験してさらに成長を遂げた柳野。中学3年間で培った自信と経験を武器に4月から昨年のセンバツ王者である大阪桐蔭に進む。高校ではシニア時代以上に激しいレギュラー争いが待ち受けているが、彼の高い向上心ならその高い壁も乗り越えられるだろう。チームには大阪桐蔭山田健太という強打の二塁手としての格好のお手本がいる。山田のように力強い打撃を武器にして甲子園で導く姿を見れる日はそう遠くないだろう。
文=馬場 遼