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3年ぶり秋春東海連覇を狙う静岡。追う東海のツワモノたち

2018.05.15

今大会の中心となっていくであろう静岡と東邦

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近年県内では圧倒的な安定感を示している静岡

 

 春季東海地区大会が東海4県の県大会の上位2校の出場で争われる。今春のセンバツに東海地区から選出された3校のうち、静岡東邦の2校が出場しているが、この両校を中心とした展開となっていくであろう、今大会を占ってみた。

 

 やはり、大会はセンバツ出場の2校を中心として展開されていくこととなるであろう。

 近年県内では圧倒的な安定感を示している静岡だが、この春もやはり盤石の安定感を示した。準々決勝では好投手のいる知徳に競り勝ち、準決勝でも勢いのあった市立沼津を下し、決勝では近年では最も競り合っている相手とも言える東海大静岡翔洋に大勝した。センバツでも投げた春 翔一朗君をはじめ、静岡鈴木 翔也君の投手陣は安心して見ていられる。打線も、好リードオフマンの村松 開人君を筆頭として、上位と下位はソツがない。昨秋に続いての東海地区大会連続優勝を狙う。今大会も自信の連続出場で、優勝候補の筆頭と言っていいであろう。

 

 対抗する相手となるのは、愛知県大会では2位となったものの、やはり層の厚い東邦だろう。センバツでは強力打線の爆発が期待されながらも、不発に終わり花巻東に初戦敗退してしまった。ちょっとパワーヒッティングに頼ってしまったという反省もあって、さらに確実性をあげて行くようにチームの底上げを図っている。森田泰弘監督は、春季県大会では「もっと選手層を厚くしていかないと、今のままでは連戦となる夏を考えていくと、不安だらけ」と言っていたが、県大会では様々な選手を試して使っていきながら底上げを目指していく姿勢も見せた。ことに、夏の連戦に耐えるための投手陣は、センバツ後にエースとして台頭してきた西 有喜君と、やや調子を落としていた扇谷莉君がどれだけ復調出来るかというところだ。さらには、そこに続く投手として左腕の植田 結喜君などにも期待している。今大会でも、どのような投手を起用してくるのかが注目される。また、まだ2年生ではあるが中軸の石川 昂弥君の打撃にも注目が集まる。

 

 この両校を追いかけるのは中京大中京だ。昨秋に続いての県大会優勝だが、シュアな打撃で定評のある藤田 龍明君を中心とした攻撃力が看板だ。投手陣はいずれも2年生で安定感のある左腕・不後 祐将君、後藤 里玖斗君、秋は1番をつけていた193㎝97kgという大型投手の赤塚 健利君らが競い合う。リードする藤田 健斗捕手も注目されている。「くらいつけ~一球に魂をこめて」というのがチームのモットーとして掲げているが、その精神をぶつけていきたい。

 岐阜県の2位校としては帝京大可児が11年ぶりに出場する。どんな戦いを見せてくれるのか興味深い。かつて豊川で監督を務めて愛知大会で2年連続決勝進出を果たした実績のある田口聖記監督が就任して4年目。図抜けた選手はいないものの、総合力としては最もあると手ごたえを感じている。

[page_break:出場校の魅力と実力]

出場校の魅力と実力

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昨夏悲願の甲子園初出場を果たして、チームも自信を得ている津田学園

 

 三重県からは昨夏の代表校の津田学園と常連のいなべ総合学園という、一昨年と同じ顔ぶれとなった。津田学園は昨夏悲願の初出場を果たして、チームも自信を得ている。メンバーは大幅に入れ替わっているが、佐川竜朗監督が期待する左腕河村信吾君が残った。また、センスのいい上下大地君、石川史門君なども注目される存在だ。

 県大会ではライバル菰野に対して準決勝はタイブレークとなったが勝利したいなべ総合学園は、やはり勝負強いという印象だ。タイブレークでは13回に無死一二塁の設定で、尾崎英也監督は送りバントという手堅い対策をとるのではなく、強硬策を指示。選手たちもそれに応えて打線も4連打するなど一気に爆発して菰野の好投手を攻略して一挙7点を奪った。勝負どころでの集中力はさすがといっていいであろう。

 

 面白い存在となりそうなのは、愛知県大会を制しただ。春の東海大会は初出場となるが193cm91kgという大型左腕の小栗 大誠君はプロのスカウトからも注目を浴びている逸材だ。やや変則気味の左腕ということもあって、初めて対戦する相手は戸惑うのではないか。また、チームとしても勢いに乗っており、今大会で弾みをつけていきたいところだ。今年の愛知大会は東西に分かれ、いずれも混戦と言われているだけに、記念大会で初の甲子園というメモリアルを勝ち取りたいところでもあろう。

 

 静岡県2位の東海大静岡翔洋は昨年に続く出場となっているが、元巨人で捕手としてドラフト1位指名を受けてプロ野球経験のある原俊介監督が就任3年目。高い意識の野球が浸透してきて、潜在能力は高い。昨春は初戦で東邦に大敗してしまっているだけに、その雪辱の意味も含めて愛知1位のに挑む初戦が注目される。

 

 いずれにしても、記念大会への夏に向けての、最後の公式戦である。チームとして試したい部分と、県代表としての実績をあげて自信を深めていきたいという思いとが重なり合っていく。そんな大会でもあり、見どころは満載である。

 

(文=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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