Interview

市川悠太(明徳義塾)「全10試合完投!鉄腕ロード 第1章が完結!」

2017.11.14

 第48回明治神宮大会明徳義塾の優勝で終わった。MVPはもちろんこの人。エース・市川 悠太だろう。3試合すべてを完投。計6失点。さらに決勝戦は94球、4安打完封と安定感抜群のピッチングで、優勝に導いた。公式戦10試合すべて完投勝利を挙げた市川は、なぜ1人で投げ切りたいと思ったのか。それは高知県人としてプライドがあった。

実は満身創痍でのピッチング それを微塵と感じさせない気迫がこもったピッチング

市川悠太(明徳義塾)「全10試合完投!鉄腕ロード 第1章が完結!」 | 高校野球ドットコム
市川悠太(明徳義塾)

 まさに市川ワールドだった。創成館打線に対し、「実は練習試合で対戦経験があり、10対3で勝ちましたけど、8回まで投げて被安打10と打たれているイメージしかなかったので、なんとしても抑えたかった。しっかりと振ってくる打線だと思うので、しっかりと休んで明日に備えて修正したい」と話した市川。今日のピッチングはこれまでの2試合と比べても最高のピッチングだった。

「今日は本当に良かった。何が良かったといえばストレートです。ストレートも球威がありましたし、コントロールもよかった」

 ストレートは135キロ~139キロと決して速いわけではない。だが、回転数が高く、球威があり、コントロールされたストレートに、これまで神宮で快音を響かせた創成館打線が沈黙した。

「今日はストレートが良いので、相手もどんどん打っていくのですが、それがホップフライやゴロになって球数低く抑えることができた」と語るように、9回まで投げて94球。4安打、3四死球とまさにエコピッチングで秋の頂点に立った。これで高知県大会からすべての試合を完投勝利。まさに鉄腕というべき道のりである。

「新チームが始まった時からすべて自分が投げることが決まりました。監督にも言われましたし、自分もそのつもりでした」

 そして神宮大会でも4日間で3試合を完投勝利。それでも、「連投は大丈夫ですし、もともとスタミナはあるほうなんで」という市川だが実は満身創痍だった。高知大会中に痛めた右足内転筋が神宮大会になって再発した。そして準決勝の静岡戦では、右手の爪が割れた。それでも「気にしたら投げられないので、爪の方は気にしなかったら大丈夫でした」とケロリといいのける市川はただモノではない。

 1人で投げたい。投げ切りたい。そのエネルギーはどこからくるのか。それは、高知県人として甲子園に導きたい思いがあった。

[page_break:高知県人の僕が甲子園に勝てば文句はない]

高知県人の僕が甲子園に勝てば文句はない

市川悠太(明徳義塾)「全10試合完投!鉄腕ロード 第1章が完結!」 | 高校野球ドットコム
市川悠太(明徳義塾)

 明徳義塾に進んだ理由を問われると、「甲子園に何度もいっているチームですし、だけど明徳には県外ばかりが集まっていると。だったら高知県人の僕(高知市立潮江中出身)がエースになって、甲子園にいって勝てば文句ないだろと思って決めました」

 その言葉はすでに現実のものとしている。この夏の甲子園では日大山形戦で好リリーフを見せ勝利に貢献。馬淵監督から教わった「内角ストレート」を強気に何度も投げ込み、強打の日大山形戦を封じた投球は、堂々たるものだった。

 今度は自分がエースとなり、その右腕で、四国大会優勝・神宮大会優勝に導いた。神宮大会の優勝は馬淵監督に捧げるものだった。

「監督が準決勝後に涙を流していて、あれを見て、ホテルに帰って選手たち同士のミーティングで優勝して監督を男にしてやろう』と思いました」
有言実行を果たした市川悠太、そして明徳義塾ナインの男としての株はこの神宮大会決勝戦で大きく上がった。

 しかし市川は「まだ通過点」と話すように、真価が問われるのは来年以降である。神宮大会のピッチングは「自信になったことが多かった」とステップアップへ大きなきっかけとなった。この冬場は「さらに体を大きくしていきたい」と184センチ73キロと細身の体型をさらに大きくしていくつもりだ。

 今年の9月から始まった市川 悠太の鉄腕ロード。そのゴールはもちろん甲子園優勝である。

(文・河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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