試合レポート

西条vs今治工

2017.09.21

西条、延長10回投手戦を制し「新人戦ショック」拭う!

西条vs今治工 | 高校野球ドットコム
西条先発・清木 克洋(2年)

 世が甲子園での熱戦に沸いていた2017年8月12日、新居浜市営野球場での東予地区新人大会2回戦ではショッキングな出来事が起こっていた。「西条0対12新居浜南・6回コールド」。旧チームで史上初、夏の愛媛大会ベスト8に進んだ新居浜南が相手とはいえ、2年生6人がスタメンを張った名門の信じがたい惨敗である。

 それから約1カ月が経過したこの日、西条のスタメンには7人の1年生が並んだ。2年生スタメンは4番主将の戸田 教介(一塁手・179センチ81キロ・右投左打・西条市立西中学校出身)と、5番エースの清木 克洋(投手・175センチ70キロ・左投左打・新居浜市立大生院中)の2名のみ。菅 哲也監督は「秋が終わった後は再び1年生と2年生で競争させる」ことを前提にしつつ、大きなショック療法をチームに与えた。

 はたして、その効果は最後に実を結ぶ。中学時代の捕手から1年夏前に投手となり、現在では斎藤 佑樹(現:北海道日本ハムファイターズ)の早稲田実業時代を思わせるフォームから最速139キロ(西条控え選手スピードガン計測)のストレートと、カット系のスライダーを武器にする県内屈指の右腕・檜垣 柊志(2年・182センチ74キロ・右投右打・今治市立立花中出身)に対し、彼らは初回、戸田の先制打以降は0を並べながらも毎回走者を出す粘りで徐々に檜垣のスタミナを奪いにいくことに成功。その間、清木も外のストレートとスライダーをうまく用いながら、2回の押し出し四球を除いてはほぼ完ぺきな投球を展開する。

 そして迎えた10回表、先頭打者の1番・秋山 怜央(1年・二塁手・165センチ56キロ・右投左打・新居浜市立川東中出身)の左前打をきっかけに二死一・二塁とした西条は、5番・清木が技ありの左前適時打。その裏、清木は先頭の6番・檜垣に二塁打を浴びるなど二死三塁とされるも最後は気迫の投球で9奪三振7安打2四球で117球完投。2年生が1年生をけん引するという「短い間で力をつけてくれた」と指揮官も拍手を贈る内容で、西条は「新人戦ショック」を拭う県大会出場を決めた。

 最後に今治工・檜垣について。上記に書いた通り現状で「県内屈指」であることは間違いない。ただ、8奪三振の一方で6四死球・8安打を与え129球を投げさせられてしまったことは「精神的甘さがある」と柳原 裕次監督が指摘する部分がそのまま出てしまった感がある。県内屈指を「四国屈指」「全国屈指」に変えるために何が必要なのか?これから春を迎えるまでに球速UPだけではない部分で、様々なアプローチをしてほしい。幸いにもその時間は多く残されている。

(レポート=寺下 友徳

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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