試合レポート

日本文理vs新発田

2017.07.16

新発田・川崎、粘投も及ばず…。日本文理、3投手による完封リレーでベスト16へ

 この日から始まる3連休で2試合を戦い、1、2回戦を勝ち抜いてきた32校が一気に8校に絞られる新潟大会。[stadium]新潟市鳥屋野運動公園野球場[/stadium]では、第1シード・日本文理新発田と激突。炎天下の中、昨秋、今春の県内王者の試合を見に、多くの人球場に詰め掛けた。

 

先行の日本文理は初回、先頭の飯田涼太(3年)が、レフト前ヒットで出塁すると進塁打でつなぎ、一死二塁のチャンスを迎える。ここで3番・川村啓真(3年)がレフト線へタイムリーツーベースを放ち、1点を先制。さらに5番・寺杣直泰(3年)のタイムリーで1点を追加。新発田先発の川崎教陽(3年)の立ち上がりを攻め2点を奪う。

 

日本文理は三回にも、3番・川村がセンターオーバーの打球を放ち、新発田の中継が乱れる間に一気に生還(記録はスリーベースとエラー)。さらに続く4番・松木一真(3年)の二塁打を皮切りに相手エラーでこの回2点を追加。リードを4点に広げる。

 

日本文理先発の新谷晴(2年)は、この日も制球力抜群。130km/h中盤のストレートに変化球を織り交ぜ、新発田打線に的を絞らせない。三回まで被安打1、7奪三振の圧巻のピッチングをみせていたが、四回マウンドで投球練習をしていると、突然足を引きずりながらベンチへ。

 

この夏一番の暑さとなったこの日、アクシデントが新谷を襲い、無念の降板となってしまう。だが、先発の突然の降板にも動じないのが日本文理の強さ。緊急登板となった2番手の原田航汰(3年)がこの回もきっちり0点に抑える。中盤は新発田・川崎、日本文理・原田の投手戦。気温がどんどん上昇する中、両投手とも気迫のこもったピッチングでスコアボードに0を刻む。七回、日本文理新発田の守備のミスに乗じて1点を追加。するとその裏から3番手の西村勇輝(3年)を投入。

 西村は簡単に二死をとった後、死球とヒットで一、二塁のピンチを招く。ここで、新発田6番・当摩信之介(2年)がレフト前に運ぶと、二塁走者は一気に本塁を狙う。だが日本文理レフト、星野稜(3年)からの好返球があり、タッチアウト。新発田はチャンスを逸してしまう。西村は八回、九回も0点に抑え、日本文理が5対0で勝利。ベスト16へ駒を進めた。

エキサイティングプレイヤー:川崎教陽(3年・投手)

 初回、4安打を浴び、2点を失った。
下位打線から始まった二回は三者凡退に抑えたものの、三回、日本文理の中軸に完璧に捉えられ、味方のエラーも重なって再び2点を失った。
なおもランナーが残って、一死二塁。

 フッ…
とおもむろにベンチを見た。控え投手が投球練習をしている。
「ここで降りるわけにいかない」
まるでそう悟り、開き直ったかのような気迫のピッチング。
後続を抑え、2点で切り抜けた。

 上背があるわけでも、特筆すべき球威や変化球があるわけでもない。
だが、川崎教陽には大きな武器があった。
度胸。
初回から、強力打線に臆することなく、内角へ攻め続けた。
一般的に内角は、死球になるリスクが高く、甘く入る可能性もあるのであまり連投しない。
だからといって、リスクの低いアウトローばかりを投げると、今度は狙われて踏み込まれて打たれてしまう。
いかに内角球をうまく使うかは、対戦相手が強豪校になればなるほど難しいものだ。

 結果として、初回、三回は点に結びついたわけたが、この攻める姿勢が四回以降のピッチングにつながった。
内外角の低めに丁寧に集め、チェンジアップを有効に使った。
実に14ものアウトを飛球でとったことは、日本文理打線のタイミングを狂わせ、的を絞らせなかったことの証明と言えるだろう。

 そんなエースをバックも盛り立てた。
一年生捕手の佐久間郁(1年)は、ボールが先行しカウントが悪くなるとマウンドへ行き、ポンポンと川崎の背中をたたいて鼓舞。
守備でもセンター・当摩、レフト・増子大智(3年)がファインプレーをみせるなど、チーム一丸となって日本文理に向かった。

 九回(完投)で被安打9、5失点(自責点3)ながら、四回以降でみれば、被安打3、1失点(自責点0)。
回を追うごとに打者有利になる夏の試合で素晴らしい快投を見せた。

 

絶対的王者に真っ向から挑んだ、川崎の、いや新発田の夏の戦いぶりに最大級の賛辞を送りたい。

(取材=町井 敬史)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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