春日部共栄vs叡明
春日部共栄、接戦を制し10年ぶりの春ベスト4へ
完投した高橋大地(春日部共栄)
上尾市民球場の第二試合は、昨秋ベスト4の春日部共栄対昨夏の経験者も多く、前の試合で武南のMAX146km右腕・布川雄大を攻略し勢いに乗る叡明という東部地区同士の一戦、試合は昨夏の直接対決同様、今回も接戦となる。
先発は、叡明がエースナンバーの熊谷和也(3年)、一方の春日部共栄は公式戦初先発の右サイド高橋大地(3年)が登板する。注目は今春から肩の強さを買われキャッチャーにコンバートされた室賀優斗(3年)だ。彼がキャッチャーとしてどれだけの力量なのかという所も、この試合のポイントであった。
序盤は、春日部共栄ペースで試合が進む。
初回、春日部共栄は、熊谷の立ち上がりを攻め立て、先頭の川畑光平(3年)が四球で出塁すると、続く上山夏輝(2年)との所でランエンドヒットの形をとる。上山は三振に倒れるが、川畑は二盗に成功し一死二塁とする。ここで3番・森圭佑(3年)がセンター前へタイムリーを放ち、幸先良く春日部共栄が1点を先制する。
春日部共栄は2回表にも相手ミスに乗じ畳みかける。この回先頭の高橋(大)がライト前ヒットで出塁すると、続く高橋和希(2年)は犠打を試みる。これをキャッチャー室賀が一塁へ悪送球、さらにカバーに入ったライトの三塁への返球が悪送球となり春日部共栄に2点目が入る。これで動揺した叡明内野陣は、3点目もエラーで献上してしまう。さらに二死後、3番・森がライト線へタイムリー二塁打を放つなどこの回一気に3点を奪い4対0とする。
叡明・熊谷はその後も毎回のようにピンチこそ招くが、無失点で切り抜ける粘りの投球を見せ、味方の反撃を待つ。
すると4回裏だった。叡明はこの回先頭の上條幹高(3年)がショートへの内野安打で出塁すると、続く三上ケビン(3年)もライト前ヒットを放ち無死一、三塁とする。ここで5番・坂本和也(2年)がセンター前へタイムリーを放ち、1点を返すのだが、その後の無死一、二塁のチャンスで続く室賀が浅いセンターフライに倒れると、後続も倒れ1点で攻撃を終える。
それでも叡明は5回裏、一死から1番・島田真尋(3年)がレフト前ヒットで出塁すると、続く山﨑流星(3年)もセンター前ヒットを放ち一死一、三塁とチャンスを広げる。だが、3番・上條はセカンドゴロに倒れ併殺かと思われたが、ショートの一塁への送球が悪送球となり叡明が4対2と2点差に詰め寄る。
叡明は6回からマウンドに上がった岩木洋平(3年)が好投を見せる。球威十分の直球を中心に春日部共栄打線を封じ込み、6回以降1安打ピッチングを見せ無失点で切り抜ける。
一方、春日部共栄・高橋(大)も、ベンチ横でエース内藤竜也(2年)がいつでも代われる状態の中、切れの大きいスライダーを武器に6回以降無失点で切り抜けマウンドを譲らない。試合は4対2のまま最終回へと進む。
迎えた最終回、叡明は、この回先頭の三部佑樹(2年)が四球で出塁する。二死後、1番・島田がライト越えのタイムリー三塁打を放ち、1点差で二死三塁と絶好の同点機を迎える。だが、後続が倒れ万事休す。結局相手を上回る11安打を放ちながらもあと一歩及ばず、春日部共栄が4対3で逃げ切り準決勝へ駒を進めた。
春日部共栄は、公式戦初先発の高橋(大)は良く投げたが、打線は3回以降無得点に終わるなど、決して手放しで喜べない試合内容であった。だが、本多監督はあくまで夏を見据えており、今大会は色々な選手に公式戦の経験を積ませることに重きを置いている。今大会もベンチ入りしていない渡部太陽(2年)、大木喬也(2年)の両左腕を含め、夏の大会までに直前の調子の良し悪しを見て、投手野手共にメンバーを何人か入れ替えることを示唆していた。とはいえ、春の準決勝進出は10年振りとなる。次の花咲徳栄戦は総力戦で挑むと意気込んでいた。
一方の叡明だが、ヒット数で相手を上回りながら、序盤の守備の乱れが最後まで響いた形となった。キャッチャー室賀はまだまだスローイングが安定しておらず、守備のミスを引きずってか、この日は持ち味である打撃でも良い所がなかった。夏へ向けて発展途上といった所であろう。だが、彼がこのチームの中心であることに違いはない。キャッチャー室賀に安定感が出てくれば、元々チームの潜在能力は高く昨夏の経験者も多いだけに、この夏更なる飛躍が期待できるであろう。
(取材・写真=編集部)
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