試合レポート

共栄学園vs都立片倉

2017.04.08

地獄の練習を乗り越えてついにつかんだシード権!

共栄学園vs都立片倉 | 高校野球ドットコム
勝ち越し打を打った伊藤大晟(共栄学園)

 シード権獲得を目指す共栄学園共栄学園は埼玉の強豪・春日部共栄と同じ学校法人の学校で、ユニフォームも春日部共栄と同じデザインだ。これは原田健輔監督が、春日部共栄の本多利治監督に了承をとって、実現したものである。ちなみに原田監督は、浦和学院OBで、須永英輝投手(元日本ハム)と同期だが、と同じ学校法人の学校であれば、同じユニフォームで戦って、強くしていきたい…。そんな思いで、共栄学園を一歩ずつ強くしてきたのである。

 相手は、強豪・都立片倉

 この一戦は試合序盤から大きく動く展開となった。 

 2回表、共栄学園は、二死一、二塁から1番青木龍也(3年)が左越えの適時三塁打で2点を先制する。

 だが、都立片倉も、一死二塁から8番高橋歩武(3年)の左前適時打で1点を返す。さらに一死一、三塁のチャンスで、インターフェアがあり、同点に追いつく。

 3回裏、都立片倉はバッテリーミスの間に1点を勝ち越し、試合を優位に進めていたが、5回表、共栄学園は第2打席で三塁打を打っていた1番青木の本塁打で同点に追いつく。1番に座っている青木だが、チームでは一番長打力のある選手。青木の公式戦初本塁打は、逆転を狙う共栄学園ナインの勢いを乗せた。共栄学園は攻撃を続け、一死二、三塁と勝ち越しのチャンス。ここで打席に立ったのは代打・伊藤大晟(3年)。「内寄りのボールを思いきり振り抜きました」と思い切って振り抜いた打球はレフト前へ転がり、二者生還して、5対3と勝ち越しに成功。「公式戦で勝ち越し打を打ったのは記憶にない」と伊藤にとっては自信になる一打となった。

 さらに7回表には二死満塁から8番佐久間涼太(3年)の適時三塁打で3点を追加すると、9回表には、7番竹村啓斗(2年)の適時打で9対3と突き放した。投げては、左腕・船久保快都(3年)、遊撃・菊池快都(3年)の継投リレーで、都立片倉打線から9安打を打たれながらも粘り強く抑える。見事、共栄学園が4回戦進出を決め、初のシード権を獲得した。

 原田監督は「うちみたいなチームがシードというのは全く実感がないですね…。今年は打撃のチーム、守備のチームといえるほどの実力はありません」と語るが、それでも一次予選から勝ち上がってのシード権獲得は見事である。
「うちは秋、ブロック予選初戦敗退から始まったチームですので。とにかく春の大会まで冬場の練習は目いっぱいやってきました。その中で、選手たちは本当に真剣に練習ができていたと思います。だからこそ粘り強さが生まれたと思っています」
土日の練習では、朝8時から練習を始めて夜の21時~22時までかかることもあった。猛練習で培ったもの。それは自分たちは戦えるという自信だった。青木はこう言う。

「冬場の練習は本当にきつかったですけど、こうやってホームランも打つことができて、改めてやってきてよかったと思っています」
 次の相手は早稲田実業。主将の大西亨和は「神宮第二でプレーするのは初めてで、多くの人が集まる中で野球ができるのは、僕たちは本当に楽しみにしています。相手は本当に強い相手ですので、挑戦者としてぶつかっていきたい」と意気込みを述べた。

 失うものはない。思い切りぶつかって、[stadium]神宮第二[/stadium]に集まった高校野球ファンをあっと驚かせる野球を見せる。

(文=河嶋宗一

共栄学園vs都立片倉 | 高校野球ドットコム
注目記事
2017年度 春季高校野球大会特集

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.28

春の福岡地区を制した沖学園(福岡)、勝利のカギは異例の「決勝直前沖縄合宿」だった

2024.05.28

【鹿児島NHK選抜大会】錦江湾が1点差勝利!出水工の追い上げ、あと1点及ばず

2024.05.28

【大分】佐伯鶴城は4戦3勝、杵築は4戦で1勝<強化試合>

2024.05.28

【鹿児島NHK選抜大会】川内商工が2試合連続逆転サヨナラ勝ち!雨のため2試合が継続試合

2024.05.28

【北海道】北海が逆転勝利、27連勝で4季連続V達成<春季全道大会>

2024.05.25

【関東】白鷗大足利が初、逆転サヨナラの常総学院は15年ぶり決勝<春季地区大会>

2024.05.25

【熊本】九州学院、熊本工が決勝へ<NHK旗>

2024.05.25

首都2部優勝の武蔵大の新入生に浦和学院の大型左腕、左の強打者、昌平の主軸打者など埼玉の強豪校の逸材が入部!

2024.05.25

【岩手】盛岡大附がサヨナラ、花巻東がコールドで決勝進出、東北大会出場へ<春季大会>

2024.05.26

【春季関東大会】常総学院・中村虎汰郎が二刀流の活躍で決勝進出に貢献!9回にはサヨナラに繋がるヒット!投手としてはセンバツ後に再転向で連日の好リリーフ!

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.29

【岩手】盛岡中央、釜石、水沢が初戦を突破<春季地区予選>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商