Column

3年生座談会 県立小禄高等学校(沖縄)「時間が経つほど悔しさがこみあげてくる」vol.1

2016.09.24

 2007年夏の選手権沖縄大会でベスト4入りを果たした小禄高校。その頃、銘苅主将を始め彼らはまだ小学校3年生。その9年後、自分たちが小禄へ進学し準決勝の扉を開けることになるとは誰一人思わなかっただろう。春先は決していいとは言えなかったチーム状態、且つ攻守の柱だった銘苅主将が夏前の練習試合で大怪我を負ってしまう。その逆境の中、快進撃を続けたナインたちの熱かった夏に迫ってみました。

【座談会メンバー】
大城 旭:1番 ショートとして夏の打率.545。チームナンバーワンの安打製造機として活躍した。座談会メンバーに2年生ながら選出された。

前武當 一斗:昨年秋、3試合21イニングを投げて防御率0.86。この夏沖縄南部工戦で9回から登板し、5イニングを無失点に抑えてチームの勝利に貢献した。

銘苅 梨氣 主将:5月20日の練習試合で守備のときに半月版損傷の大ケガを負ってしまう。夏はレギュラーとして出ることを断念し、主将としてよりチームをまとめていくことを決意。毎試合代打で打席にも立ち、ナインを奮い立たせてきた。

上原 琉依:不動の3番。沖縄南部工戦では3安打、那覇商戦では4安打と固め打ち。毎試合得点を記録するなど、中軸としてまたチャンスメーカーとして活躍した。

上原 優作:長打力抜群の絶対的4番。毎試合安打をマークするなど打率.450。準決勝美里工戦でレフトスタンドへ放り込む3ランを記録した。

主力選手たちが語る思い

銘苅 梨氣(県立小禄高等学校)

――夏の大会を終えての、いまの率直な感想を聞かせてもらえますか?

琉依:甲子園が始まりテレビで観る機会が増えたけど、自分たちがあと少しであの舞台に立てたかも知れないなと。時間が経ったけど悔しいなという気持ちがあります。

大城:夏の大会は3年生に頼ってばかりでした。新チームになって引っ張らなきゃいけない立場になりましたが、3年生がいないのが何だか変な感じと言いますか、偉大な先輩たちだったなぁと感じてます。

前武當:ベスト4に関しては正直そこまで行けるとは思っていなかったので、嬉しさはありました。でも甲子園を観ていたら、あの舞台に立ちたかったなぁと思いました。

優作:毎日目標があって過ごしてきたのは野球があったから。それが無くなった今は目標がなくなり刺激が無いです。成長出来ていないのかな。

銘苅:ケガをしてしまったけど、その分チームメートが頑張ってチームワークも良くなりました。学校や地域の方々の応援で、自分たちの力以上のものが出せてベスト4。自分は満足しています。でも甲子園を観るとやはり悔しさは込み上げてきます。

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[page_break:夏の前半戦を振り返る]

夏の前半戦を振り返る

前武當 一斗(県立小禄高等学校)

――分かりました。では、夏のゲームを改めて振り返っていただけますか。

【1回戦 vs与勝戦】

大城:強いチームでも初戦は難しいと言われてますが、先制し次の回でも得点を重ねられたのが良かったと思います。

銘苅:相手ピッチャーを畳み掛けることが出来たし、ピッチャー陣も踏ん張ってくれたのが勝因かな。自分は中学の夏の県大会でも与勝とやってて。そのときは負けているのでリベンジという気持ちを持っていました。

琉依:右のエースが来ることで練習していたけど、左(伊禮)に変わったときに打てなかった。でもそれを糧として、次の試合以降に誰が来ても良いように備えることが出来ました。その意味でも大きな勝利でした。

銘苅:ベンチで野原先生と昌李(阿波根)を投げさせるタイミングなど話してて。先発が捕まったあとの継投という意味でも、上手く繋げることが出来た試合だったかなとも思います。

与勝
000 000 121 | 4
014 000 10× | 6
小禄
与勝:富名腰、伊禮、西門口、富名腰−玉寄
小禄:上原悠、阿波根−上地
三塁打:長嶺(小)玉寄(与)
二塁打:上地(小)花城(与)

【2回戦 vs沖縄南部工戦】

前武當:練習試合で何度もやってきたのが沖縄南部工業。初回に悠司(上原)が捕まったのも、互いに手の内が分かるからこそでした。それでもこっちは相手エースを打てなくて。1点差にしたけど8回裏に3点を奪われたときには正直ダメかなと思いました。でもクリーンナップの3連打で追い付いてくれて9回裏にマウンドへ上りました。夏に関しては昨年ベンチ入りしたけど投げる機会がなくて。投げたくて投げたくて、ベンチ前でキャッチボールしてからの同点劇だったので、上がった以上は絶対に抑えるぞと。ピンチを招いたけど相手に得点を許さず投げられたのは嬉しかったです。

銘苅:ベンチも9回に一斗を投げさせるぞという気持ちが強くて。全く諦めということは無かったです。

優作:3点差。自分の打順までかなりあったけど、逆に自分まで回ってくることはチャンスということ。その意味でしっかりと準備していました。

銘苅:相手ピッチャーが変わって、1,2,3のタイミングで行けるぞと。それがハマった逆転でした。

大城:前武當さんと同じくヤバイなぁと思ったのですけど、隼太先輩がしぶといヒットで出塁した。自分も続くぞと打席に入ったのですがセンターフライ。ベンチで先輩たちと一緒に声を出してクリーンナップの連打で同点になったときは本当に嬉しかったです。

小禄
000 001 103 000 1 | 6
300 000 020 000 0 | 5
沖縄南部工
小禄:上原悠、前武當−上地
沖縄南部工:具志堅、盛田、島袋、和仁屋−長嶺
三塁打:崎原、長嶺(小)
二塁打:平良、具志堅(南)

 第2回では話題となった浦添商戦など準決勝までの戦いぶりを振り返っていきます!

(取材・写真=當山 雅通

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【僕らの熱い夏2016 特設ページ】

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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