橘vs川崎北
試合ごとに強くなっていかれる好感触の橘、勢いで完封勝ち
好投した橘・下郡君
新チームで挑む秋季大会は、どのチームも最初の目標はブロック予選を勝ち上がって、まずは県大会出場ということになる。
ことに、このDブロックは川崎地区の中堅公立校が見事なくらいに4校集合してしまった。そんな中からどこが抜け出るのかということも見る側としては興味深いところでもあった。この日だけの印象でいえば、現段階としては神奈川橘がわずかにリードしているのかなという印象である。
その神奈川橘は、現在の1、2年生部員24人のうち2年生は7人で、1年生が14人という陣容である。これは、2年前の春季県大会でベスト4に進出した神奈川橘の実績を見て入学を決めた選手たちが現在の1年生世代で多く集まったということもある。
チームの主力としても、この日の先発バッテリーの下郡君と新里君はじめ1年生が占める部分も多くなっているという。それだけに、チームとしての伸びしろも大きいのではないだろうか。そんな要素も感じさせてくれる、この日の神奈川橘の戦いぶりだった。
初回、下郡君が3者凡退で抑えた神奈川橘はその裏、先頭の熊本君がいきなり右線二塁打を放つ。バントですぐに一死三塁を作ると、3番武島君の中前打で帰し先制した。さらに、連続四球で満塁としながら、ビッグイニングにしきれなかったところは、今後への課題となろうが、まずは先制したことで、下郡君はリードを背負っての投球となった。
3回まで下郡君は一人の走者も出さない完全な投球だった。制球がいいので、川崎北の各打者も早めに手を出さざるを得ない状況に追い込まれていた。
そして4回、神奈川橘は二死二塁から3番武島君が小豆畑君の高めに入った球を捉えて左翼へ運ぶ2ラン。これで3対0となり完全に神奈川橘の主導権の試合となった。
中盤以降も、川崎北打線は、下郡君の巧みな投球を捉えきれず、結局終わってみれば2安打のみ。四死球と失策も含めて、出した走者も5人のみ。三塁へ走者を進めることもままならなかった。
「下郡はよく投げてくれました。本当は継投を予定していたのですけれども、まさか、完封してくれるとは思いませんでした。1年生が多いチームですから、(試合を)やっていきながら、一つずつ学んで力をつけていかれればいいと思っているのですが、今日は出来すぎくらい良かったです」と、神奈川橘の福田茂監督も笑顔だった。
神奈川橘としてはもともと男女のバレーボール部が全国レベルの強豪として知られていた存在である。近年は、進学実績も向上して、学校全体の質も上がっていっているという。そんな中で、野球部が活躍することで、男女のバレーボールや剣道部だけではないぞと、学校そのものもさらに活性化していきそうだ。
一方、川崎北の西野幸雄監督は、「小豆畑は悪くはなかったとは思うんですけれども、(性格的に)いい子でねぇ…。その分、気持ちが弱くて、大事なところで攻めていく投球ができないんです」と、好投しつつも踏ん張り切れなかった小豆畑君へはメンタル面の要求を示しつつも、投球そのものは評価していた。もっとも、それよりも、「打てませんねぇ、打てなさすぎますね。まぁ、そんなに打てないとは思っていたのですが…。時間をかけてじっくり、一冬越すまで付き合って、打てるようにしていかないといけませんね」と、早くも打撃力向上が最大のテーマだと、冬から来年春へ向けての課題を見出していた。
(文=手束 仁)
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