試合レポート

西脇工vs柳学園

2016.07.12

打者15人をパーフェクト。西脇工の左腕・竹本が5回参考ながら完全試合を達成

 試合前のノックに力量の差が表れていた。

 ベンチ入り12人で戦う柳学園はほぼ全てのポジションが1人で、背番号10の選手がボール渡しを務めていた。一方、西脇工のノックはテンポが速い。内野手が打球を処理し送球動作に入る頃にはもう次の打球が打たれている。誰か1人でもミスをすれば流れが止まる。木谷忠弘監督のそんなメッセージかもしれない。

 先攻の西脇工は初回、四球で出塁した1番・大野 心平(2年)がすぐさま盗塁を決めると田中 勝大(3年)のバントで三塁に進む。柳学園内野手が前進守備を敷く中、3番・古來 義史(3年)がセンター前に適時打を放ち先制に成功。

 援護をもらった先発・竹本 大将(3年)はストライクを先行させ立ち上がりを三者凡退に抑える。すると打線は2回、岸本 凌太(2年)の適時三塁打と門野地 洋(2年)の適時打で2点を追加。リードを広げられた柳学園はここから守備が乱れる。無死一塁から西脇工の9番・竹本がバントを転がすと三塁ベースをガラ空きにしてしまい、一走・門野は三塁に到達。ランナーつきのゲームノックや紅白戦が出来ない守備の不安を露呈してしまった。そしてバッテリーミスで4点目の生還を許してしまう。大野に2打席連続の四球を与えると1回同様、田中の1球目に盗塁を決められ、さらに2球目にも大野はスタートを切る。この三盗も成功し悪送球が重なると大野は悠々生還。大野1人で、しかも無安打で追加点を奪われた。田中も歩かせたことからもう1点を失いビッグイニングを作ってしまう。反撃したい打線も初回に続いて2回も三者凡退。センターフライ2本と空振り三振で竹本を捉えられない。

 竹本は長い腕をしならせて肘から出るフォームが特徴的な左腕。打者にとっては球の出所が見づらいだろう。変則とまではいかなくとも一筋縄ではいかない相手。選手全員が右利きで左投手対策の練習が行えない柳学園にとっては初めて見る軌道に近いはず。3回以降もリードを広げられると2巡目も竹本攻略ならず。三振6、内野ゴロ3、内野フライ2、外野フライ4で15人連続アウト。13点差がついていたため5回でコールドゲームが成立。参考記録ながら竹本は完全試合を達成した。

 緩いボールも織り交ぜて持ち味を発揮した竹本だが背中につける番号は2桁。エースはキャプテンも務める武次 春哉(3年)だ。この日は13点リードの5回裏、勝敗がすでにほぼ決まっていた場面でレフトの守備位置についたのみだったが、昨秋は後に近畿大会や選抜でも躍進を見せた明石商を1失点に抑えている。小柄だがキレのいい球を投げ込む左腕で明石商の狭間 喜徳監督もその実力を認めている。同じブロックには優勝候補の一角・神戸国際大附がいるが、竹本との左腕コンビで金星を狙う。

(文=小中 翔太

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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