試合レポート

日大桜丘vs都立東村山西

2015.10.12

日大桜丘が走力も発揮してクロスゲームに勝利

都立東村山西の先発・櫻田 修平

 日大桜丘都立東村山西は昨秋、ともにブロック大会で敗退している。しかし今秋は両校とも代表決定戦をコールドで制し、都大会出場を決めた。その勢いを駆って初戦突破を果たすのはどちらか―。

 試合は序盤、投手戦の様相を呈した。日大桜丘の先発・丸木 琳太朗(2年)も、都立東村山西の先発・櫻田 修平(2年)もゼロを3つずつ並べる。コンパクトなテークバックの右上手の丸木は制球力とキレのあるカーブが持ち味。一方、162cmと小柄な左腕の櫻田はストライクを先行しながらいいリズムで投げる。

 均衡が破れたのは4回表だった。日大桜丘は2番・宮島 脩(2年)と3番・伊藤 一憲主将(2年)の連打に盗塁もからめて無死一三塁とすると、一死後に5番・宮澤 圭都(2年)がバントの構えからレフトに適時打を放ち1点を先取した。なおも日大桜丘は一死一二塁と都立東村山西の櫻田を攻め立てるが、ここは櫻田が後続を断って1失点でしのぐ。次の5回は双方三者凡退で、5回が終わった時点で1時間経過していないテンポのいい展開になった。

 次の1点が重くなりそうなムードの中、6回表に試合は大きく動く。一死後、都立東村山西の4番・武井 大地主将(2年)が二塁打を飛ばし、5番の櫻田も単打でつなぎ一三塁とする。次打者が凡退し二死になったが、7番・原田 龍之介(2年)の死球で満塁に。この場面で好投していた日大桜丘の丸木がワイルドピッチ。都立東村山西は同点に追いついた。なおも都立東村山西は、二三塁から8番・加藤 真之助(1年)の適時打で勝ち越しに成功。三塁走者に続き、二塁走者もホームを狙うが、これはアウトのタイミング。ところが捕手が本塁をすべてふさいでしまっていたため、オブストラクションとされ、得点が認められた。


関連記事
・2015年秋季大会特設ページ
・あの学校の取り組みは?!東京都の野球部訪問を一挙紹介!

2015年秋季大会

この試合4本目となるヒットが勝ち越し打となった伊藤 一憲主将(日大桜丘)

 ミスで2点を献上した形になった日大桜丘は7回表、反撃に転じる。無死から5番・宮澤 圭都が三塁打を飛ばすと、次打者・田中 海聖(2年)の内野エラーで生還。エラーで生きた田中は二盗に成功すると、果敢に三盗を仕掛ける。これが相手捕手の焦りを誘い、田中は悪送球で同点のホームを踏んだ。
試合後、就任12年目になる日大桜丘の佐伯 雄一監督は「ブロック大会の後の2週間で走塁を見直そうと、都大会に向けて準備してきました。同点を生んだ田中の三盗はこの1つの成果だと思います」と振り返った。

 これで波に乗ったか、日大桜丘は8回表、無死から二塁打を放った1番・渡部 航祐(2年)が犠打で三塁に進むと、3番・伊藤 一憲主将のこの試合4本目となるヒットで勝ち越しに成功。ただその後、一死満塁から得点が奪えず、リードはわずかに1点。試合はまだどちらに転ぶかわからない。これまでの流れから、そんな感じも抱かせた。
それでも「股関節を痛め、2日前に投球を再開したばかり」(佐伯監督)の日大桜丘丸木 琳太朗が8回9回と都立東村山西の攻撃を3人ずつで打ち取り、接戦に幕を引いた。

 日大桜丘1972年のセンバツで全国制覇を遂げた古豪だ。14年夏には5回戦に進出しているが、完全復活を待つ高校野球ファンも少なくないだろう。むろん今秋も高みを目指している。ただ佐伯監督は秋の戦いを「冬の練習を乗り切るためのモチベーションにしたい」と考えている。そしてオフの取り組みを、来年のさらなる姿につなげるつもりだ。

(取材・文=上原伸一


関連記事
・2015年秋季大会特設ページ
・あの学校の取り組みは?!東京都の野球部訪問を一挙紹介!

2015年秋季大会

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.08

慶應義塾が15安打12得点で強打健在も投手陣に不安 先発小宅は5回途中で降板【香川招待試合】

2024.06.08

慶應義塾は昨夏甲子園優勝バッテリーがスタメン!初回から4番・江戸 佑太郎の1発などで3点を先制!【香川招待試合】

2024.06.08

慶應義塾が四国王者の高松商、英明に連勝!!<香川招待試合>

2024.06.08

昨年春夏甲子園出場・北陸の卒業生進路 エースは筑波大へ! 早速公式戦で上々のデビュー

2024.06.08

夏の神奈川に集った逸材野手20人! 横浜、東海大相模、桐光学園を中心に全国トップレベルが揃う【神奈川注目野手リスト】

2024.06.04

神村、鹿実の壁を破れ! 国分中央は「全力疾走・最大発声・真剣勝負」で鹿児島の頂点を狙う

2024.06.08

慶應義塾が15安打12得点で強打健在も投手陣に不安 先発小宅は5回途中で降板【香川招待試合】

2024.06.05

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在36地区が決定、徳島の第1シードは阿南光!第2シードに池田!<6月5日>

2024.06.06

大阪桐蔭が選抜ベスト8の阿南光ら4チームと対戦!<招待試合>

2024.06.04

【東北】5日に抽選!秋春連覇がかかる青森山田、雪辱期す仙台育英と明桜の対戦相手に注目<地区大会組み合わせ>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得