試合レポート

鳥羽vs岡山学芸館

2015.08.10

鳥羽らしかった1、6、7、8、9回とらしくなかった2~5回

 ヒットで出塁した岩切 海斗(3年)を二塁に置いて4番・小薗 晋之介(3年)がレフトスタンドにツーランホームラン。初回に主砲の一振りで先制した京都鳥羽だが、それ以外の場面にこそ持ち味が詰まっていた。

 一死からライト前ヒットで出塁した岩切は大きなリードをとり、3番・伊那 夏生(2年)はショートゴロに倒れたものの2度のエンドランのサインにどちらも強く叩きつけるスイングを見せた。小薗のホームランの後は梅谷 成悟(3年)がセンター返し、左打ちの南 武蔵(3年)も逆方向となる三遊間を破るヒットでチャンスを作る。各自が自分の仕事をこなし舞台を甲子園に移しても京都大会と同じく地に足をつけた戦いをしているように見えた。

 しかし、2回以降はらしくないプレーを連発する。

 堅守を最大の武器に勝ち上がってきたが、内野の要・南が2失策。先頭打者が出塁、続く打者が送りバントを決めるという攻めを初回から5イニング連続で許す。バント処理ではさすがの好フィールディングを見せていたエース・松尾 大輝(3年)だが、打者としては2打席連続でバントを失敗。打線全体としても打った結果の2併殺は仕方ないにしても、3回は2番から始まる好打順で簡単に打ち上げ三者凡退、5回には一死二塁からサードゴロでランナーが飛び出してしまう走塁ミス。

 攻撃のリズムを作れないでいると、2回に内野ゴロの間に1点を返され、5回二死三塁で岡山学芸館の4番・喜納 智志(3年)を迎えるとあわや逆転ツーランという特大ファールを打たれる。

 スコア上はリードしていたがいつひっくり返されてもおかしくない展開が続いていた。それでもグラウンド整備で一呼吸置いた後半では京都鳥羽らしさを取り戻す。


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第97回全国高等学校野球選手権大会

 6回、ランナーを2人ためると梅谷 成悟がきっちり送りバントを成功させ、南 武蔵のセーフティスクイズは失敗に終わったものの中嶋 洸平(3年)がタイムリーを放ち初回以来となる得点を挙げる。

 7回には岩切 海斗がこの日5度目のエンドランでチャンスを広げランナーを三塁に進めると、相手のワイルドピッチで際どいタイミングながらも田淵 公一郎(3年)の足が勝り生還を果たす。

 8回には先頭の小薗 晋之介がツーベースヒットで出塁すると梅谷が送りバント、南がタイムリー。続く中嶋がレフト前ヒットを放つとスタートを切っていた南は一塁から一気に三塁到達。宮西 絢也(3年)のスクイズで更にリードを広げると、三盗を決めた中嶋を松尾 大輝がタイムリーでホームに迎え入れる。

 9回はランナーを1人出したものの松尾が締め1失点完投。勝負所でインコースを突く投球が光り、8安打を浴びながらも決定打は許さなかった。打線も14安打で7得点を挙げる快勝だったが長打は小薗が放った2本だけ。小技を絡めて小刻みに得点を重ねる攻撃が本来の持ち味。
第1回大会優勝校・京都二中の流れをくみ、主将が選手宣誓をした高校という話題先行の感があったが甲子園で15年ぶりとなる白星を挙げ確かな実力を示した。

(文=小中 翔太


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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