試合レポート

大阪偕星学園vs比叡山

2015.08.08

二死からの粘り強さが生んだ猛攻!大阪偕星学園が悲願の甲子園初勝利を手に!

 両者が持てる力を出し切る好ゲームであった大阪偕星学園vs比叡山との近畿勢対決。特に9回裏二死二塁2ストライクまで追い込まれた比叡山の代打・河合 拓巳主将が放った起死回生の同点打には、47,000人の歓声と悲鳴が交錯した。

 終始、手に汗握る試合展開を見せた両チームの戦いを振り返る。

 先手を取ったのは、甲子園初出場の大阪偕星学園
早いカウントから積極的なバッティングを見せる大阪偕星学園は初回、二死から3番・西岡 大和が相手のエラーで出塁。続く4番・田端 拓海が左翼線への2塁打で二死二、三塁とチャンスを広げる。ここで迎える打者は、大阪大会で大活躍の5番・岸 頼大。岸は打球を中前に弾き返し2者が還り甲子園初得点を得る大阪偕星学園

 しかし、比叡山も序盤から反撃を試みる。
2回裏、6番・原田 崚大朗への死球で出塁すると、すぐさま盗塁で2塁へ。7番・山本 脩平のゴロの間に3塁まで進み二死三塁と好機を演出。続く8番・山崎 僚太が左前へ打球を運び、1点を返す。
3回裏にも、2番・安達 紀貴がセーフティバントで出塁し、盗塁を決めスコアリングポジションに進む。一死二塁として、3番・西川 尚希が右前安打で1点を返し、早々に同点に追いつく。機動力を生かし、少ないチャンスから得点に結びつける。

 互いに毎回のようにランナーを出すも、光田 悠哉山崎 僚太の両投手の要所を締めるピッチングとバックの守備も光り、得点を許さない展開が続く。

 そんな中、大阪偕星学園が二死二塁の場面で、9番・的場 優斗の左翼線への2塁打で勝ち越し、そのまま逃げ切るかと思われた。しかし比叡山は9回裏、二死の場面で代打の主将・河合が2ストライクまで追い込まれるも左前への適時打で同点に追いつき、延長戦に持ち込む。
同点打を放った瞬間、超満員の球場からは比叡山を応援するファンの歓声と、大阪偕星学園を応援するファンの悲鳴が止まなかった。


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第97回全国高等学校野球選手権大会

 延長10回に比叡山は投手を2番手・大原 昌樹から3番手・比叡山西村 太希へと継ぐ。
西村の立ち上がりを攻め立てたい大阪偕星学園だが、5番、6番があっさりとアウトに取られる。しかし、本日の試合での得点は全て二死から奪っている大阪偕星学園は二死から試合を動かす。7番・福田 丈志、8番・光田 悠哉と打線が繋がり二死一、三塁と勝ち越しのチャンスを作る。
ここで打順は、6回に勝ち越し打を放った9番・的場 優斗。勝負強さを発揮し、右中間への2塁打で再び勝ち越しに成功する。

 比叡山は、すぐさま投手を西村から一塁を守る中島 昇悟へと交替。
しかし、大阪偕星学園の勢いを止めることができず、ここから1番・姫野 優也、2番・戸嶋 泰貴、3番・西岡 大和と打線が繋がり、一挙に4点を奪う猛攻を見せた。

 翌10回裏の比叡山の攻撃では、先頭の3番・西川 尚希を内野安打で出塁を許すも、後続を3人で斬って取り試合終了。10回に得点差がつくも、両者が持てる力を出し合った好ゲームであった。

 敗れた比叡山だが、4安打を放ち攻守でチームを牽引した3番・西川を始め、チーム全員が勝利を諦めない姿勢が、9回裏の同点劇を生んだ。

 大阪偕星学園は、9番の的場は二死から2度の勝ち越し打を放った勝負強さが光った。
また、1番を打った姫野は、終盤の2安打の活躍もさることながら、中堅手定位置後ろから軽い送球にもかかわらずノーバウンドで二塁まで届く身体能力、スイングスピードとパワフル感、さらにはスタートの速さと加速度を兼ね備えた好選手で、今後の活躍が楽しみだ。

 チーム全体を見ても、先発選手全員安打を記録する猛攻を見せ、伝統校である比叡山を破り、念願の甲子園1勝目を手にした大阪偕星学園大阪偕星学園は、甲子園初出場ながら、本日の1勝で大阪府代表の春夏通算成績が350勝の大台に乗った。

 勝利した大阪偕星学園九州国際大付との対戦が決定した。

(文=佐藤 友美


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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