常総学院vs取手松陽
延長12回の死闘。常総学院が意地のサヨナラ勝ち!
最高気温36度が予想されたこの日、[stadium]土浦市営球場[/stadium]で行われた茨城大会3回戦第1試合は、春のセンバツで8強(試合レポート)入りし、春の茨城県大会(試合レポート)を制した第1シード・常総学院が登場。対するは、プロ注目右腕・内村悠斗(3年)や昨夏打率.762と大ブレークした強打者・川村文耶(3年)らを擁するダークホース・取手松陽だ。
今大会屈指の好カードというだけあって、平日にも関わらず、試合開始までに観客席のほとんどが埋まる盛況ぶりだった。
先攻・取手松陽の先発はエース・内村が、後攻の常総学院の先発もエース左腕・鈴木昭汰が任され、ガチンコのエース対決が実現した。鈴木は今大会初登板だ。
2回表、取手松陽は先頭の4番・宇尾野広大(3年)がレフト前ヒットで出塁するが、5番・内村の送りバントはサード・荒祐広(2年)の好守に阻まれゲッツーとなる。
2回裏、常総学院は先頭の4番・石井大貴(3年)がレフト前ヒットで出塁するが、5番・荒原祐貴(3年)はエンドランをファーストファールフライに打ち損じて一死一塁。6番・皆神裕平(3年)も続けてエンドランを仕掛け、ショートゴロで二死二塁。さらにワイルドピッチで二死三塁とチャンスを広げるが、7番・鈴木は空振り三振に倒れる。
3回表、取手松陽は一死から8番・佐藤孔兵(2年)がレフト前ヒットで出塁し、送って二死二塁のチャンスを作るが1番・石田雄大(2年)はサードゴロに倒れる。
3回裏、常総学院は一死から9番・荒がライト前ヒットで出塁し、盗塁で一死二塁。1番・宇草孔基(3年)はストレートの四球で一死一、二塁とする。ここで2番・陶山勇軌(1年)はライト前ヒットを放ち二走・荒は本塁に突進するが、ライト・古田島成龍(1年)のノーバウンドストライク返球にタッチアウトとなる。その後、陶山が盗塁して二死二、三塁と常総学院のチャンスは続く。迎える3番・和田慎吾(3年)の放った打球は浅めのライトフライかと思われたが、強風に押し戻されてセカンドとライトの間に落ちる。これで二者が生還し常総学院が2点を先制する。
(取手松陽0-2常総学院)
先制を許した取手松陽はすぐに反撃に出る。4回表、先頭の2番・平和真(3年)がライト前ヒットで出塁し、3番・川村は四球。先ほどヒットを放っている4番・宇尾野は初球できっちりと送って一死二、三塁のチャンスを迎える。ここで5番・内村はレフトオーバーのツーベースを放ち同点に追い付く。
(取手松陽2-2常総学院)
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5回裏、常総学院は先頭の8番・髙瀨将太郎が四球で出塁し、二死三塁までチャンスを広げるが、2番・陶山勇軌はショートフライに倒れる。
6回表、取手松陽は3番・川村文耶がライト前ヒットで出塁し、4番・宇尾野広大が送って一死二塁とするが、後続は連続三振に倒れる。
6回裏、常総学院は先頭の3番・和田慎吾が四球、4番・石井が死球で送って一死二、三塁と勝ち越しのチャンスを迎える。ここで6番・皆神裕平はカウントノーボール1ストライクからスクイズを敢行するが空振り三走・和田は挟まれタッチアウトとなりチャンスを生かせない。その後、打者・皆神は四球を選び、盗塁を決めて二死二、三塁とする。ここで7番・鈴木昭汰はライトへの大飛球を放つが、風に押し戻されてフェンス手前に落下。右中間寄りにポジション取りしていたライト・古田島成龍は猛ダッシュでダイビングキャッチし、勝ち越しを許さない。
8回表、取手松陽は二死から3番・川村がライトに会心の弾丸ライナーを放つが、風に押し戻されて失速。ライト・和田がフェンスに激突しながら捕球する。
8回裏、常総学院は二死から5番・荒原 祐貴がセンター前ヒットで出塁すると、代走・8766(3年)が盗塁を決めて二死二塁と勝ち越しのチャンスを迎える。しかし6番・皆神はファースト・川村の好守備に阻まれファールフライに倒れる。
9回表、取手松陽は4番・宇尾野がこの日2本目となるレフト前ヒットで出塁し、送って一死二塁とするが、後続は凡退する。
9回裏、常総学院は一死から8番・髙瀨 将太郎が四球で出塁し、送って二死二塁とサヨナラのチャンスを迎える。続く1番・宇草 孔基は敬遠で二死一、二塁とするが、2番代打・箭内幹太郎(3年)は空振り三振に倒れ延長戦に突入する。
10回表、取手松陽は二死から1番・石田雄大がショート内野安打で出塁するが、2番・平はセカンドゴロに倒れる。
10回裏、常総学院は二死から5番・竹内が三遊間を抜くヒットで出塁するが、6番・皆神はセンターフライに倒れる。
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11回表、取手松陽は二死から5番・内村悠斗がレフト前ヒットで出塁するが、6番途中交代・小笠原尚哉(3年)は空振り三振に倒れる。
11回裏、常総学院は先頭の7番・鈴木 昭汰がライト前ヒットで出塁し、送って一死二塁。9番・荒 祐広はショートゴロで二死三塁とする。ここで1番・宇草 孔基は2度目の敬遠。宇草が盗塁を決め二死二、三塁とする。しかし、2番途中交代・大谷弘平(3年)はサードゴロに倒れる。エース鈴木がランナーとして長時間過ごしたが決めきれない。
12回表、取手松陽は先頭の7番・高須樹(2年)がレフト前ヒットで出塁し送って一死二塁。さらに9番・山元聖也(2年)もレフト前ヒットで一死一、三塁と勝ち越しのチャンスを迎える。しかし、続く1番・石田雄大はフルカウントからショートフライに倒れ二死一、三塁。2番・平はファールで粘った末に四球を選び二死満塁とし、強打者の3番・川村文耶を迎える。川村は2球目を完璧に捉え、打球はセンターの少し右中間寄りにグングン伸びるが、強風に押し戻されてフェンス間際で失速。センター・8766のグラブに収まり、強風がここでも大きく影響する。
この日は台風11号が日本列島に近づいている影響で、ライトからホームに向かって南寄りの強風が吹いている。後で確認したところ、この日の土浦市の最大瞬間風速は南東11.4(m/s)を観測した。打球を押し戻すには十分すぎるほどの強風だったのだ。
ピンチを脱した常総学院が12回裏、ついに勝負を決する。
先頭の3番・和田 慎吾が四球で出塁すると、4番・石井 大貴はライト前ヒットで無死一、三塁とする。5番・竹内は敬遠で無死満塁とし6番・皆神裕平を迎える。皆神はカウント1ボールノーストライクからセンター定位置より少し前のフライを放ち、三走・和田はタッチアップでホームに突入。センター・宇尾野広大はバックホームするが、カットマンを使ったため間に合わず和田が生還。
(取手松陽2-3×常総学院)
常総学院・鈴木昭汰は176球、取手松陽・内村悠斗は179球。両者一歩も譲らない延長12回の死闘は、常総学院がサヨナラで制し4回戦進出を決めた。
4回戦では投手陣豊富な東洋大牛久と対戦する。
(文=伊達 康)
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