試合レポート

関東一vs早稲田実業

2015.04.19

関東一乱戦を制す、スーパー1年生・清宮初本塁打

公式戦初本塁打を放った清宮幸太郎(早稲田実業)

 通常春季大会を取材するメディアは、そう多くない。しかしこの試合は、放送各社のカメラがずらりと並び、大勢の記者が詰めかけた。スタンドはもちろん、超満員。多くの観客やメディアの目当ては、早稲田実の注目の1年生、清宮幸太郎である。この試合、その清宮が、センター越えの本塁打を放ち、場内は沸いた。ただしこの試合を制したのは、関東一の方だった。

 2回表早稲田実は、7番渡辺大地の犠飛で1点を先取したものの、先発の宮崎廉太が乱調であった。
3回裏関東一は、四球で出た2番黒田駿汰、3番伊藤雅人の中前安打、4番森山将の二ゴロなどにより還りまず1点。ここから5番五十嵐滉希、6番松永遼介に連続四球で満塁となり、7番井橋俊貴、8番で今日先発の田邉廉の連続死球、9番鈴木大智が四球で、3人続けて押し出し。

 ここで早稲田実は投手を宮崎から、1年生の服部雅生に代える。服部もボールが3つ続くが、1番オコエ瑠偉が3ボール1ストライクから打って出て、中飛に終わった。
オコエ自身、「判断が悪かったです」と、認める場面であった。

 関東一は4回にも1点を追加し、試合は、クライマックスとも言うべき5回を迎える。
関東一が4点リードしていた5回表、早稲田実は2番玉川遼の二塁打で2人が還り2点差。なお二、三塁に走者を置いて、3番清宮が打席に立つ。
1ボールからの2球目、豪快に振り抜いた打球は、打った瞬間に本塁打と分かる、強烈な打球であった。この3ラン本塁打で早稲田実が6-5と逆転に成功した。

 打たれた関東一の先発・田邉は、「とにかくスイングが速かった。単調な配球で、真っ直ぐでストライクを取りに行ってしまいました」と語る。田邉はひょっとしたら記録に残るかもしれない、清宮の初本塁打を喫したわけだが、「逆に気持ちが良かったです。気持ちを切り替えられます」と、力強く語った。

 打たれた方にしてみると、不用意にストライクを取りに行ったのは、今後の反省点でもある。それにしても、本塁打を打てば逆転の場面で、高校1号本塁打を放つのだから、清宮はやはり並ではない。

【準々決勝】関東一vs早稲田実業の試合画像を見る!

2015年度 春季高校野球大会 特設サイト
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

3本の安打を放った伊藤雅人(関東一)

 試合はその裏、関東一が走者2人を置いて、9番鈴木の三塁打で逆転。さらにオコエ四球の後、2番黒田の右前安打で鈴木が生還したばかりでなく、三塁を狙うオコエに対して、中継の二塁手が三塁へ悪送球。オコエも生還した。このプレーあたりから、何かが切れたように、関東一の猛攻が始まる。この回関東一は、6安打、3四球で8点を入れた。

 それでも6回表、早稲田実は清宮の弾丸ライナーの中前適時打や、4番加藤雅樹の3ラン本塁打などで4点を入れて、食い下がる。

 一方の関東一は6回に1点、7回にもオコエの右前安打などで3点を入れる。この日オコエは、2安打、2四死球、3盗塁の活躍。
早稲田実の加藤捕手は、ともに西東京地域のシニアリーグでプレーしていたので、「中学生の時から、よく知っています。(加藤に対して)盗塁は失敗したことがないです」と、自信をみせた。

 そしてこの試合は、主将の伊藤雅人の右前適時打で決着がつき、18-11で関東一が7回コールドで勝った。

 試合後、記者は早稲田実の方に殺到したため、勝利チームである関東一の方には3人だけ。米澤貴光監督は、「清宮君すごいですね」と、清宮の話から口にした。

 関東一にしても、勝ちはしたが、投手陣には課題が残った。
それでも、不振が続いていた主将の伊藤が3安打と、当たりを取り戻したことは好材料だ。「一生懸命やっていましたから」と語る米満監督としても、一安心の活躍であった。

 伊藤は「今まで、打とう打とうと、体が前に突っ込んでしまいました。逆方向に打とうとしたことが良かったです」と語る。3本の安打は、いずれもセンターから右であった。

 終わってみれば、関東一の安打は16、早稲田実は10。与四死球は、関東一は7であるのに対し、早稲田実は13。失策も関東一が1であるのに対し、早稲田実は4。早稲田実は、素質のある選手がかなりいるものの、あまりに多い、四死球と失策が夏への課題となる。

 関東一は、次は小倉全由監督率いる日大三との対戦。久々の師弟対決である。

(文=大島裕史、写真=青木有実子

【準々決勝】関東一vs早稲田実業の試合画像を見る!

2015年度 春季高校野球大会 特設サイト
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.08

慶應義塾が15安打12得点で強打健在も投手陣に不安 先発小宅は5回途中で降板【香川招待試合】

2024.06.08

慶應義塾は昨夏甲子園優勝バッテリーがスタメン!初回から4番・江戸 佑太郎の1発などで3点を先制!【香川招待試合】

2024.06.08

夏の神奈川に集った逸材野手20人! 横浜、東海大相模、桐光学園を中心に全国トップレベルが揃う【神奈川注目野手リスト】

2024.06.08

昨年春夏甲子園出場・北陸の卒業生進路 エースは筑波大へ! 早速公式戦で上々のデビュー

2024.06.08

慶應義塾が四国王者の高松商、英明に連勝!!<香川招待試合>

2024.06.04

神村、鹿実の壁を破れ! 国分中央は「全力疾走・最大発声・真剣勝負」で鹿児島の頂点を狙う

2024.06.08

慶應義塾が15安打12得点で強打健在も投手陣に不安 先発小宅は5回途中で降板【香川招待試合】

2024.06.05

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在36地区が決定、徳島の第1シードは阿南光!第2シードに池田!<6月5日>

2024.06.06

大阪桐蔭が選抜ベスト8の阿南光ら4チームと対戦!<招待試合>

2024.06.04

【東北】5日に抽選!秋春連覇がかかる青森山田、雪辱期す仙台育英と明桜の対戦相手に注目<地区大会組み合わせ>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得