日本大学三島高等学校 小澤 怜史投手【後編】 「甲子園に行くために身に付けなければならないもの」
前編では、小澤投手から最速148キロを計測するまでになったフォームのメカニズムについて語っていただきました。後編では得意となる打撃、身体作りについての取り組み、この冬の取り組みについて伺いました。
体の成長に比例して打撃も良くなった中学時代
投球練習をする小澤 怜史投手(日大三島高)
――シーズン中、大事な試合が日曜日にあるとしたら、1週間はどんな感じで過ごすのですか?
小澤 怜史投手(以下「小澤」) 月曜日から毎日、30球くらい投げ込んで、試合前日は調子が良ければ20球程度で終わらせ、納得がいかなければ、40球ほど投げます。投げて、完投した時、翌日については、あまり投げないようにしています。
――これまで大きなケガをしたことは?
小澤 ありません。たまに肘が少しだけ痛くなるくらいで。違和感がある時は、風呂上がりに、肩と肘のストレッチを欠かさないようにしています。
――現在、小澤投手が、投手として独自にやっている練習はありますか?
小澤 独自でというのは特になく、もっぱらチーム全体で行うメニューをこなしています。自主練習の時も、軽くキャッチボールをする程度でしょうか。
――オフの期間の平日練習の流れはどんな感じなのでしょう?
小澤 ノック、バッティング、そしてピッチング、その後にランやたまに体幹もやって、最後にストレッチをして終わりです。終わるのはいつも9時頃です。朝は自主練という形ですね。
――身体作りのためには食生活が大切だと思います。1日の食生活を教えてください。
小澤 朝昼晩の三食は基本で、晩飯時は2杯です。授業の合間、練習の合間におにぎりを2個、パンを食べて、身体を大きくすることを意識しています。
――小澤投手は2年夏の大会で、10安打を放って打率5割をマークするなど、打っても左の強打者です。打者としての経験が、投手で生きている部分はありますか?
小澤 自分が打者なら、こういうカウントでここを攻められるのは嫌だな、というところを投げることはあります。
――もともと打撃は良かったのですか?
小澤 小学時代は当てにいくような打撃をしていて、そんなにヒットは打てませんでした。
バットが振り切れるようになったのも、ヒットが増えてきたのも中学生になってからです。僕は中学入学時、身長が160センチに満たなかったのですが、3年間で20センチくらい伸びまして。体の成長に比例して、打撃も良くなり、飛距離も伸びた感じでしょうか。中学時代は六番を打ってました。
――打撃についても自分で考えながらレベルアップを図っているのですか?
小澤 ピッチング同様、打撃もベースは小学時代に作ってもらったのですが、中学の時から、自分でフォームの修正はしています。中学時代は僕の場合、投手だったので、そちらの指導が優先されて、打撃指導はあまりされなかったというのもあります。
[page_break:カットボールを修得したのは自分も打ちにくいから]カットボールを修得したのは自分も打ちにくいから
小澤 怜史投手(日大三島高)の大きな手
――現在の球種を教えてください。
小澤 ストレートに、カットボール、スライダー、カーブ、フォークです。カウントを取るのがスライダーで、決め球は、カットボールかフォークの場合が多いです。
――高校に入ってから覚えた変化球はありますか?
小澤 カットとフォークです。変化が大きくなったり、緩い感じになってしまうことがあるので、まだまだですね。
――なぜカットとフォークを修得しようと考えたのですか?
小澤 僕はもともと、球速のある変化球を投げるのは得意ではなかったんです。でも、球速があって小さく変化する、カットのようなボールで芯を外さないと、金属バットでは飛ばされてしまうと。僕自身が打者として、カットボールが打ちにくいというのもあります。そしてフォークは、落ちるボールが必要だと思ったからです。
――目指すストレートはどんなボールですか?
小澤 球速は150キロくらいで、でも打者からすると、それ以上に感じる、スピンがよくかかった伸びのあるボールです。言うならば、ダルビッシュ投手(レンジャーズ)のストレートでしょうか。実は変化球もダルビッシュ投手の握りを参考にしています。ただ、そもそも体が違うので、自分に合う部分を取り入れさせてもらっています。
――打者としてはどんな選手を目指してるのですか?
小澤 僕は大きいのを打てる選手ではないので、ヒットを狙って、よければ長打という感じでつないでいければと。打つのは好きですけど、将来的にも投手として勝負したいと思っています。
――小澤投手から見て、“静岡の高校野球”は何か特徴がありますか?
小澤 突出している選手は少ない印象がありますが、その分、束になってかかってくるチームや、勢いがつくと危険な感じがするチームが多いように思います。
――最後に来年の目標を聞かせてください。
小澤 高校野球をしているからには甲子園に行きたいので、みんなで甲子園に行きたいです。苦しいことがあっても、そこで負けないで、上を目指していきたいと思います。
実は取材前、川口監督から「小澤はあまり喋りませんけど、宜しくお願いします」と釘を刺されました。しかし、いざ取材が始まると、小澤主将兼投手は、決して饒舌ではないものの、こちらの質問に1つ1つ丁寧に、そして誠実に答えてくれました。小澤投手、貴重な平日練習の時間を割いてくれて、どうもありがとうございました。ますますの活躍を期待しています。
(インタビュー・上原 伸一)