試合レポート

今治西vs明徳義塾

2014.11.02

今治西、明徳義塾を2年連続うっちゃりセンバツへの扉開く!

今治西vs明徳義塾 | 高校野球ドットコム

今大会初登板初先発した明徳義塾・國光 瑛人(1年)

 今治西の見事な逆転劇であった。

 この試合、「立ち上がりは打たれるのをビビっていて、固くなった」今治西先発・杉内 洸貴(2年・右投右打・175センチ64キロ・今治市立立花中出身<第15回BFAアジア野球選手権大会15U日本代表・第7回15U全国Kボール秋季大会愛媛県選抜>)は、明徳義塾3番・佐田 涼介(右翼手・2年・181センチ73キロ・明徳義塾中出身)に連続タイムリーを許すなど4回までに4失点を喫する。

 一方、今治西打線も「相手は予想していないはず」と、馬淵 史郎監督が満を持して送り込んだ秋季大会初先発・國光 瑛人(1年・右投右打・180センチ73キロ・龍野ボーイズ<兵庫>出身)の最速137キロストレート、スライダー、チェンジアップに苦しめられ、4回まで1死球のみのノーヒット。

 4回まで2年連続のセンバツ出場以前に、昨年秋季大会で負けを喫した今治西へのリベンジを狙う明徳義塾の勝利は、十中八九固いと思われた。

 とはいえ、劣勢を跳ね返す粘りは秋季大会における今治西の真骨頂である。「一発当たればなんとかなる」。大野康哉監督の淡い期待は、5回表に確信へと変わっていく。

 口火を切ったのは1年生トリオである。5番・山内 敦也(左翼手・1年・右投左打・176センチ64キロ・えひめ西シニア出身<シニア関西大会優勝・ジャイアンツカップベスト8>)がチーム初ヒットを放つと、6番・髙尾 陽輔(三塁手・1年・右投右打・今治市立日吉中出身・第8回15U全国Kボール秋季大会愛媛県選抜)も続いた無死一・二塁の得点機。ここで続く杉野 彰彦(右翼手・1年・右投右打・173センチ70キロ・第8回15U全国Kボール秋季大会愛媛県選抜)は、2人にストレートを狙われていることに気付いた國光が投じた初球スライダーを逆に狙い撃って左越適時二塁打。


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決勝打を放った4番・藤原 睦来(中堅手・2年主将)

 ここで勢いを得た彼らはなおも、二死満塁から「流れをつなごうと思って、ストレートを狙っていた」2番・中内 理貴(遊撃手・2年・右投右打・168センチ61キロ・宝塚ボーイズ<兵庫>出身)が三遊間を破る2点適時打。さらに相手守備の乱れも絡んで一気に同点に追い付いた。

「大事なところでミスが出た」(馬淵監督)。その痛恨の想いは相手の目先を変えるため、7回からマウンドに上がった中野 恭聖(1年・右投右打・172センチ75キロ・えひめ西シニア出身<シニア関西大会優勝・ジャイアンツカップベスト8>)にも伝播。もちろん、その隙を試合巧者は逃さない。

 8回表、今治西は先頭打者の中内が遊撃内野安打で出塁、送りバントで進めた一死二塁から4番・藤原 睦来(中堅手・2年主将・右投右打・184センチ86キロ・今治市立大三島中出身<第7回15U全国Kボール秋季大会愛媛県選抜>)が「狙っていた」内角スライダーを引っ張ると、打球は三塁手のグラブを弾く強襲安打。さらにボールがレフト線へ転々と転がる間に中内が生還し、今治西はついに4点差を跳ね返したのである。

 かくして、最終回一死満塁のピンチを切り抜けた今治西は2年連続、明徳義塾超えでの決勝戦進出を達成。

「新チーム結成当初から考えると『まさか』です」と本音を吐露した大野 康哉監督の目には「上甲 正典監督が亡くなるなど、最近暗いニュースが続いていた愛媛の野球界に明るい話題を届けたい」責任を果たせた想いから来る光るものがあった。

(文=寺下 友徳)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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