試合レポート

慶應義塾vs金沢総合

2014.03.29

慶應義塾vs金沢総合 | 高校野球ドットコム 

本塁打を放った名幸(慶應義塾)

慶應義塾が3本塁打の豪打を見せ、1位で県大会出場を決める!

 慶應義塾金沢総合の一戦は、慶應義塾が自慢の攻撃力を見せた試合となった。
金沢総合は選手11人のチームだが、チーム力は想像以上に高い。個の選手を見ても、エースの松本は手足が長く、しなやかな腕の振りから投げ込む速球、変化球キレともにまとまっており、簡単に打ち崩せる投手ではない。

 だが慶應義塾はその松本の直球、変化球に対応をしていく。まず1番木村がライト線の二塁打を打ち、3番柳町 達が左中間を破る三塁打で先制。柳町はスクイズで生還し、慶應義塾が2点を先制する。

 そして3回表、打席には4番名幸 大成が立った。振り抜いた打球はバックスクリーン一直線のホームラン。あまりの打球速度、弾道の高さにセンターは見送るだけ。素晴らしいホームランであった。名幸に限らず、慶應義塾の打者はパワーのある打者が多い。

 

 その要因としては選手のフィジカル的なパワーよりもテクニカル的なバッティングフォームがより長打を生み出しているといえる。慶應義塾の打者の特長として、スタンスを広く取る。次にグリップをやや下げて、ボールを待ち構えている。そして始動が遅く、ギリギリまで引きつけて、アッパースイングに近い軌道で振り抜く。結果として引き付けて打ちにいくので、速球でも、変化球でも、ある程度見極めが出来る。慶應義塾打線は松本の甘く入る変化球を逃さなかった。変化球が打者の手元で低めに変化した時は慶應義塾打線も空振りをしていたが、一つ高く入れば、痛打にしている。

 試合は、続く4回表にも2番三枝の適時打、3番柳町の適時打で2点を追加。さらに5回表には代打で登場した背番号13の橋本がライトへ本塁打を放ち、5回までに9対1と大きくリードする。


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力投を見せた松本(金沢総合)

 そして6回裏、一死二塁の場面で、再び名幸に打席に回った。甘く入ったスライダーだった。打った瞬間、名幸は確信したのか、ゆっくりとグラウンドを回った。打球はレフトにあるフェンスを超えそうな特大本塁打だった。名幸はパンチ力ならば、神奈川県でも代表するスラッガー。甘く入った球を見逃さず強く振り抜く豪快なスイングは恐怖感がある。その後、パスボール、代打・春日井の適時打でサヨナラとした慶應義塾。リーグ戦3試合で、41得点。自慢の攻撃力で県大会へと駒を進めた。

 勝った慶應義塾は打線ばかりがクローズアップされたが、投手陣でも楽しみな選手がいる。この試合で先発を任され好投した背番号11・勝 智規。勝はオーソドックスな右投手。ストレート、スライダー、チェンジアップをコントロール良く投げ分け、試合が作れる好投手だ。

 また勝とはタイプは違うが、面白いのが髙橋 伶介(新2年)。背番号25だが、昨夏からベンチしている投手で右スリークォーターから実に勢いある直球を投げ込むことができている。常時135キロ~130キロ後半は計測していそうなストレートと、スライダーをコンビネーションで3奪三振。楽しみな速球派右腕である。

 
 敗れた金沢総合は4回に4番臺野の二塁打でチャンスを作り、5番杉山の適時打で1点を返した。3番の松本も初回に二塁打を放っており、クリーンナップで4安打と慶應義塾の投手陣に食い下がった。
投げた松本も悪い投手ではないが、甘い球を見逃さない打線と対戦したことは夏に繋がっていくだろう。少人数ながら、力を蓄えて、夏では一味違う野球を見せてほしい。

(文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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