立命館宇治vs西城陽
伊達(西城陽)
厚かった私立の壁
2950、京都府工、峰山と有力公立校を破りベスト4進出を果たした西城陽、しかし勝てば近畿大会出場が決まる前日の準決勝で龍谷大平安に大敗。3位決定戦でも私立の強豪・立命館宇治の前に序盤から苦戦を強いられることになる。
初回の攻撃を三者凡退で終えた西城陽、準決勝に続いて先発を任されたのは伊達。その立ち上がり、立命館宇治の1番・上西をサードゴロに打ち取るがサード・山田が悪送球。先頭バッターの出塁を許してしまうと送りバントを決められ一死二塁。3番・伊藤の左中間への大きな当たりはセンター・竹本が捕球するが、今度は4番・林の打球がライトの頭上を襲う。大野が懸命に背走しジャンプして捕球を試みるがグローブに収まり切らない。先制のタイムリー二塁打となりいきなりビハインドを背負う。
西城陽の2回の攻撃は4番・小川、5番・大野がいい当たりを放ちながら共にライトフライに倒れると6番・山田も初球を打ち上げセンターフライ。わずか7球で攻撃を終了した。相手に流れを渡したくないその裏の守備だったが伊達が踏ん張れない。ヒット、死球、送りバントで一死二、三塁のピンチ。9番・中奥をセカンドゴロに打ち取り二死としたがここから死球、四球を与えてしまい、押し出しで2点目を献上。二死満塁でクリーンアップを迎えると伊藤の痛烈な打球が一塁線を破り三者が生還。伊藤に3点タイムリー三塁打を浴びた伊達は林に四球を与えた所で降板。背番号1の山中にマウンドを託す。二死一、三塁のピンチを凌ぎたかった山中だが5番・村井にタイムリーヒットを打たれ2回にして早くも6点のリード奪われる。3回にも先頭バッターへのデッドボールをきっかけにエンドランを決められると、タイムリーエラーが重なるなど3失点。
濱口(立命館宇治)
3回まで立命館宇治の先発・山上の前に1人のランナーも出せなかった西城陽打線は、2順目に入った4回にチャンスをつかむ。1番・荒岡、2番・板倉の連打と3番・竹本のフォアボールで無死満塁。4番キャプテンの小川のバットに期待がかかったが低めいっぱいに決まったストレートに手が出ず見逃し三振。5番・大野はセカンドほぼ正面のセカンドゴロで併殺打に倒れ無得点。その裏、更に2点を失うと3番手として1年生サウスポー・白数がマウンドに上がる。一死一塁から後続を抑えた白数は、5回もヒットこそ打たれたが盗塁失敗もあり結果的には3人で攻撃を終了させる。
白数の好投に応えたい打線は6回に再び無死満塁のチャンスを作ると竹本の併殺打の間になんとか1点を返す。その後も白数は好投を続け、5回以降の立命館宇治の攻撃を1点に抑えた。打線は、11点を追う最終回に大野がタイムリーヒットを放つがいかんせん序盤の大量失点が重すぎた。
ヒットの本数は西城陽が8本に対し立命館宇治は10本。大きな差は無いが西城陽の守りに目を向けると与四死球10に失策5。四死球でランナーをため甘い球を痛打される、エラーで進塁を許しヒットで還されるという悪循環。対して無失策の立命館宇治は、2度無死満塁のピンチを背負ったがどちらも狙い通りの併殺打で切り抜けた。大飛球を追って背走した外野手がファインプレーで捕球した立命館宇治とグローブに当てるのが精一杯だった西城陽、球際の強さも明暗を分けた。
立命館宇治を率いるのは名将と名高い卯瀧監督、試合後は「今日は序盤から良く打てて良く勝てました」と表情を崩していた。4回までに11点を奪う攻撃に納得する一方「まだまだ勉強して練習せなあかんところもあります。ピッチャーには思ったところに投げられるようになってもらいたい」と課題にも言及。年によっては京都から3校出場できる近畿大会の出場枠だが、今年度は2校のみ。センバツ出場の道は断たれ次の公式戦は半年後の春季大会となる。「残ってるのは悔しさだけだと思いますんで、それを持って夏に向けて練習出来たら」と実りの夏を目指し冬の練習を思い描いていた。
(文=小中 翔太)