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汗とテーピング

2013.08.15

右のようにテープの端をカットして丸くするとはがれにくい

こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

暑い時期にプレーをしているとどうしても汗をかいてしまいます。以前にケガをしたことのある部位や予防のためにテーピングを使って患部をサポートすることがあると思いますが、この時期はどうしても汗ではがれやすく、その効果がうまく発揮できないことも。

今回はテーピングを巻く際の汗対策についてお話をしたいと思います。

テーピングには患部の固定を行う、筋肉の動きをサポートするなどさまざまな用途で使われます(参考コラム:患部を支えるテーピング・装具)。特に固定を目的としたテーピングはその持続効果が数十分ともいわれ、長時間つけているとテーピングがゆるくなり、固定力が弱まるといわれています。こうした特徴に加え、汗でテープがはがれやすくなってしまうとあっては、汗をかくアスリートにとってはかなり困った問題です。汗をかくまえにテーピングを巻いてしまうと、実際にプレーするまで時間が空いてしまい、効果が弱くなっているといったことも考えられます。

こうした汗をよくかく時期にテーピングを利用する場合は、まずこの3つをチェックするようにしましょう。

●テーピングを貼る部位の汗をよくふくこと
基本中の基本ですが、テーピングを行う前にはタオルなどでよく汗を拭き取るようにしましょう。特に伸縮テープなどを使って患部に直接貼る場合などは、テープがはがれてしまうのでお手上げです。また出来ればテーピングを行う部位は事前に剃毛しておくと、より粘着力がアップします。

●必要に応じて粘着スプレー(タックスプレー)を利用する
チームでテーピングを準備している場合など、利用する機会が多いときは、粘着スプレーを利用することも一つです。伸縮テープを直接皮膚に貼る場合は、まず粘着スプレーをテーピングを貼る部位全体にかけて十数秒ほど時間をおき、手で皮膚を触って粘着性が出てきたのを確認した後に、その上からテーピングを行うようにします(テーピングをした後に粘着スプレーをかけると、逆にテープの粘着力が弱くなってしまうので注意が必要です)。

●テープの端を丸くカットしておく(面取り)
直接テープを皮膚に貼る場合、伸縮テープの切れ端をはさみで丸めて角を取っておくと、はがれにくくなるのでオススメです。角が残っているとテープが角からめくれやすいのですが、丸めておくとはがれにくく意外と長持ちします。

テーピングを行った後、はがれることが気になるようであれば、その上から弾性包帯やサポーターで軽く覆っておくようにすると良いでしょう。


暑い時期のテーピングはかぶれやすいので皮膚のケアをしっかりと

伸縮性のテープを直接皮膚に貼る場合は、あまり強く引っ張りすぎないようにすることも心がけたいところです。また皮膚から汗がじんわり出てどうしてもはがれやすい場合は、タオルで汗を拭いた後に濡れタオルや氷などで、テープを貼る部分の皮膚を冷やしてからテーピングを行うと、はがれにくい印象があります。

こうしたテーピングは、機能解剖を理解した専門家やトレーナー指導の下に行うことが理想です。私は積極的に選手にテーピングの巻き方を指導しますが、自己流で巻くのではなく、病院や治療院の先生などに教えてもらうと良いでしょう。どうしても直接アドバイスが受けられない場合は、テーピングを扱った書籍などで学ぶことも大切です。

テーピングを行う部位の皮膚は繰り返し巻いたり、貼ったりしていると、皮膚そのものが荒れてしまう場合がありますので、必要な時に行うことを心がけ、テーピングを外した後は皮膚を保護するクリームやパウダーなどでケアをするようにしましょう。またこれはあくまでも補助的なものと位置づけ、痛みが強い状態でテーピングを行い、ムリをしてプレーを続けるといったことは避けるようにしましょう。

【汗とテーピング】
●汗をかきやすい時期のテーピングははがれやすい
●テーピングを貼る部位はタオルなどでよく汗を拭き取る
●必要に応じて粘着スプレーを利用する(テープではなく、皮膚に直接ふきかけること)
●テープの端をカットした「面取り」を行う
●テープを強く引っ張りすぎないこと。皮膚を濡れタオルや氷で冷やすことも効果がある
●テーピングを繰り返し行う部位は皮膚が荒れやすいので、しっかりケアをすること

(文=西村 典子

次回、第75回公開は08月30日を予定しております。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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