遠軽高校甲子園壮行交流戦
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▲試合前の遠軽ナイン
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さまざまなところと縁があることに感謝して大事にしたい遠軽
第85回センバツ大会に21世紀枠代表として、悲願の初出場を果たした遠軽。近年、北海道大会では上位の常連にもなっており、その力は評価されていた。実際、昨秋の北海道大会もベスト4に進出しているのだから、その力は十分にある。史上最北の地からの甲子園出場ということで話題になっているが、1年生エースの大城君が安定した力があるということで、甲子園でもかなり戦えるのではないかと注目している人も多い。
そんな評判から噂が噂を呼んで、遠軽が関東に来ているので是非見てみようというファンも多く集まって、この日はことのほか多くの人が集まっていた。ことに、甲子園8号門クラブとして有名になっている、眼の越えたファンの人たちも何人か顔を見せていた。
遠軽・大城君
甲子園出場が決まった遠軽だが、学校のグラウンドは雪と氷で凍っていてほとんど使えない状態である。だから、実戦感覚を掴むために、関東遠征を組んだのだが、第一次合宿としては2月23日から1週間、慶應義塾の七條義夫部長が遠軽出身ということで、いろいろ協力して東芝グラウンドやJX-ENEOSグラウンドの仕様が可能となった。また、三菱重工横浜の副社長が遠軽出身ということで三菱グラウンドも借りて、土の上での練習を積んだ。そして。いったん帰省後、練習試合解禁日前日の7日に再び神奈川入りして、横浜隼人の水谷哲也監督の手配などで8日の藤嶺藤沢、この日の横浜隼人、明秀日立との変則ダブル、さらに翌日の大宮西と広尾の試合などが組まれた。
水谷監督は、「(自分の母校の)国士舘大が北海道遠征をした時に、遠軽高校にいろいろお世話になったんで、今度は遠軽さんがこちらに来られたので、これは遠軽とは縁がある(笑)ということで、いろいろ協力させていただきました」ということで、例によって水谷監督の人脈の広さで遠来のチームの手助けをしているのだ。
遠軽としては創部以来、初めての道外遠征試合ということになるということだが、佐藤貴之監督は、「今回、いろいろと段取りをしてくださった方々には、本当に感謝しています」と、真っ黒に日焼けした顔をほころばせていた。
ただ、前日の藤嶺藤沢には4―2と勝利したものの、この日の試合ではエース大城君が投げたものの、2本の本塁打を浴びたり、守りが崩れて記録に表れた失策だけでも4回に3つも出てしまうなど、まだ実戦感覚を掴み切れていないことを露呈してしまった。
それでも、2試合目の明秀日立との試合になると、各打者の振りもシャープになっていき、シーソーゲームの末、終盤に荒谷君の本塁打や、青木君の右中間三塁打、四番柳橋君の中前タイムリー打などで逆転した。また、一番センターで2試合目には投手として先発した鴨野君のセンスのよさを見ることができた。
「徐々にですけれども、実戦感覚も掴みかかってきたような気がしています。帰ったら、いろいろな行事もありますけれども、気を引き締めて(甲子園へ)向かいたいと思います」と、佐藤監督も手ごたえも感じている様子だった。
ところで、明秀日立は昨年9月から、青森県の光星学院を全国レベルの強豪に作り上げた金沢成奉監督が就任。久しく遠ざかっている、県北から甲子園へという期待を担っている。
(文=手束仁)