Column

正しいテイクバック~なぜ肘が上がらないのか?~

2013.01.10

久保田正一本気の心技体

 新年、明けましておめでとうございます。昨年は、北は仙台、南は沖縄まで幅広く活動させて頂きました。これも皆さんのご協力あってのことだと思います。本年も全国を飛び回りたいと思っております。
 

なぜ肘が上がらないのか?

 

 前回は肘が上がっている、の定義を説明させて頂きました。

『踏み出し足が着地するまでに、肘が両肩まで上がっているか?』でしたね。

 今回は、肘が上がらない選手がなぜ肘が上がらないのか?を説明させて頂きます。これには少し体の構造の知識が必要です。しかしそんなに難しくはありません。小学生でも分かるように、分かり易く説明させて頂きます。

 まず『肩甲骨』を覚えましょう。肩甲骨とは腕の付け根にある骨で、背中の肩側にある骨です。左手で右の背中の肩側に手をつけてみましょう。その辺が肩甲骨です。(写真1)

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写真1
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肩甲骨の向き

 この肩甲骨がこれからかなりキーポイントになりますので必ず覚えて下さい!

肩甲骨(けんこうこつ)』です!

 そしてこの肩甲骨のポイントですが、何がポイントになるのか?それは、

『肩甲骨の向き』なんです。

 肩甲骨は板のように平べったい骨なので、ちゃんと向きがあるのです。この向きが非常に重要なポイントとなります。

 写真2は体を上から見た写真ですが、赤い線が肩甲骨の向きとなります。(写真2)

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写真2
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 左手で右の肩甲骨を触って頂ければ分かるのですが、やや斜め前を向いていますよね。肩甲骨と言うのは逆ハの字をしているのです。これは肋骨があるからなのですが、人間であれば皆さんこの向きをしています。

 なぜこの向きが重要になるのか?それは、肘はこの肩甲骨の方向より前方に上げなければ上がらないようになっているのです。

 逆に言うと、この肩甲骨の向きより後ろに肘を引くと、肘は上がらないようになっているのです。

 なぜかという説明は専門的になりますので省略させて頂きますが、解剖学的に、肩甲骨の向きより後ろへ肘を引いた状態では肘は上がらないようにできています。

 写真3をご覧下さい。これは肩甲骨の向きよりも肘を後方へ引いた状態になっていますよね?この状態では肘は両肩の高さまで上がることはありません。

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写真3
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 ですからこの肩甲骨の向きが非常に重要になりますし、自分の肩甲骨の向きがどの方向を向いているのか?これが分からなければどの方向に肘を上げればいいのかが分からないのです。


 前回紹介した肘下がりの選手を見てみましょう。(写真4)

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写真4
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 肩甲骨の向きよりもだいぶ後ろへ肘を引いているのが分かるかと思います。

 良く肘が下がっていると『インナーマッスルが弱い』などと病院で言われ、チューブトレーニングを勧められている選手も少なくありません。しかし私がこれまで見てきた『肘下がり』の選手たちのほとんどがインナーマッスルの筋力低下なんかではありません。

 この『肩甲骨の方向より後ろに引いて上げようとしている』これがほとんどの『肘下がり』の原因なのです。

このことは選手・指導者向けの専門誌でも紹介されていますので、最近は『テイクバックは小さく、後ろに大きく引くな』と言う指導をよく聞くようになりました。しかし私はこの考えに反対なのです。

 『後ろに大きく肘を引く』こと自体は決して悪いことではありません。

 次回はこの言葉の真理、そしてどうすれば肘があがるのか?これについて説明させて頂きます。

久保田 正一 新年の一言

 新年早々仙台でこのコラムを書いています。仙台野球肘研究会への参加と自身のセミナー、そして一昨年福岡まで指導に来てくれた、花巻東出身の選手に会いに。大学野球を終了した彼との再会。花巻東と大学野球で培った野球観、人生観について話をしたいと思います。

 そして皆さん、今年の目標は決められましたか?私の目標を紹介します。

2013年3大目標
・有料メルマガ配信(各試合の投球フォーム(プロアマ問わず)、投球内容に関して独自に分析)
・ネットでのフォームチェック再開(動画を送って頂ければネットでフォームチェック、指導を行います)
・野球塾開設(投球フォーム・ピッチング・打撃・守備・走塁、野球の全てを学べる野球塾を開設します)

 達成できるでしょうか?いや!します!(笑)

(文・写真:久保田 正一) 

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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