沖縄尚学vs興南
宇良淳投手(沖縄尚学)
選抜を二度制した沖縄尚学か!?
春夏連覇を果たした興南か!?
名門対決のセミファイナルは意外な結果となった
さしずめ神奈川で言えば横浜ー東海大相模。大阪で言えば大阪桐蔭ー履正社と言うところだろうか。
おそらく沖縄県のファンが一番見たいカードである、興南高校ー沖縄尚学高校の私学対決が第39回高校野球新人中央大会の準決勝で実現した。
ここまで興南は那覇北地区予選5試合で22得点3失点、中央大会15得点6失点。
対する沖縄尚学は那覇南地区予選5試合48得点2失点、中央大会14得点0失点。
焦点は今の時点で攻撃力に勝る沖縄尚学打線に対し、押しも押されぬ興南エース花城凪都がどういったピッチングを見せるのかであった。
試合は2回、沖縄尚学・名嘉が引っ張ってライトオーバーのツーベースヒット。先頭打者の長打で先制のチャンスを掴んだ同校。その後ニ死一・三塁として打席には逆らわないバッティングに定評がある宇良淳。
フルカウントからのストレートに対し、バットをコンパクトに合わせてレフト前へ先制打を放った。
対する興南は4回までにヒット僅かに2本。沖縄尚学・宇良から二塁すら踏めない状態であったが、2回戦の八重山商工戦で左越えに大会第2号本塁打を放った仲座が宇良のストレートを引っ張り、レフトオーバーの二塁打で出塁。その後ニ死一・二塁としたが1番宮里がファーストファールフライに倒れ同点とすることは出来なかった。
6回の沖縄尚学は死球とヒットで無死一・二塁とチャンスを得る。しかし興南・花城に焦りは無く、早目に追い込み犠打を考える暇を与えない。その後投ゴロに斬り三塁をフォースアウトにした。だが踏ん張りどころで6番久保柊人の右前タイムリー2点目を喫してしまう。
名嘉昇司(沖縄尚学)
そして運命の7回。ボテボテの内野安打とショート強襲ヒットで一死一・二塁とした沖縄尚学。ここで打席に夏の選手権大会で4番を務めた柴引が入る。
内角にやや甘く入った球を強振。打球はレフト前弾むタイムリー。さらに4番、5番と連続タイムリーが飛び出し花城をノックアウト。
その後興南は3人の投手をマウンドに送るが勢いのついた沖縄尚学打線を止められず8回にも1点を加えられ屈辱のコールド敗退。
昨年の1年生大会優勝に続く同世代の大会連覇が消え去ってしまったのだった。
完投した沖縄尚学・宇良淳は、真っ直ぐのスピードとキレで興南打線を圧倒。
宇良淳
「スライダーは若干コントロール出来なかったけと、今日はインコースのストレートが一番良かったです」
その言葉通りに興南バッターは宇良の真っ直ぐに詰まらされファールフライなどを繰り返した。
伊志嶺監督
「(7回の大量得点など7得点を奪った打線について)送りバントのミスなどあったのですけど、それをみんなでカバーしたことが、こういった展開になったのだと思います」
確かに名門らしからぬバントミスが2回、6回、7回と三度もあった。だがその後のメンバーでカバーし合おうという気概が、あの7回のクリーンアップの3連打へと繋がり、永遠のライバル興南を圧倒したのだった。
以外にもこの新人大会では勝っていない沖縄尚学。だがこの日の勝利で新チームとなって始動してから地区予選も合わせて合計8試合全勝無敗、総計69得点で失点は僅かに2と抜群の安定感を誇る。
そんなナインの視界は既に、2006年以来となる6年振り2度目の優勝を見据えているに違いない。
明日の決勝戦が楽しみだ。
(文=當山雅通)
沖縄尚学 | 興南 | |||
守備位置 | 氏名 | 打順 | 守備位置 | 氏名 |
遊撃 | 諸見里 | 1番 | 遊撃 | 宮里広 |
中堅 | 知念佑 | 2番 | 二塁 | 徳元佐 |
一塁 | 柴引佑 | 3番 | 一塁 | 宮城洸 |
左翼 | 名嘉昇 | 4番 | 左翼 | 下里駿 |
捕手 | 具志堅 | 5番 | 投手 | 花城凪 |
三塁 | 久保柊 | 6番 | 中堅 | 島袋志 |
右翼 | 崎山朝 | 7番 | 右翼 | 仲座光 |
投手 | 宇良淳 | 8番 | 三塁 | 大城博 |
二塁 | 平良勇 | 9番 | 捕手 | 具志堅 |