試合レポート

日本文理vs星稜

2012.06.04

日本文理vs星稜 | 高校野球ドットコム

勝負を分ける四球・柄沢友哉(日本文理)

悪夢

決して打ちこまれたわけではない。なのに、重くのしかかった1回裏の6失点。星稜のエース・森山恵佑(3年)にとっては、悪夢の立ち上がりだった。

勝負を分けたのは、日本文理の1番柄沢友哉(3年)に与えた四球だった。
柄沢に対し2球続けてボールだったが、何とかフルカウントまで持っていった森山。だが、ここからファウルで3球粘られた。10球目、ついに根負けして四球を選ばれる。
「立ち上がりが課題で、自分でも意識していたが…」と唇を噛みしめた左腕。打たれるならまだしも、四球という事実に、頭では解っていても気持ちは動揺していた。
2番の野口竜義(3年)は、定石通りの送りバント。しかし小フライになったことで、森山とキャッチャーの鹿屋陸(2年)がお見合いしてしまい、打球は二人の間にポトリと落ちた(記録は内野安打)。
 

動揺が野手にも伝染する。3番早津勇人(3年)の内野ゴロが悪送球となって、日本文理に先制点が入った。さらに4番小黒一輝(2年)のタイムリーで2点目。
続く5番松浦悟(3年)は、2球目を内野ゴロとするが、これが自打球でファウルに。その後は結局タイムリーを浴びた。
この回、押し出しなどもあり、気がつけば6失点。やや呆然とする森山の表情が、まさに悪夢を物語っていた。


日本文理vs星稜 | 高校野球ドットコム

悔しいマウンドになった森山恵佑(星稜)

課題だと解っていたはずの立ち上がり、でも取れているはずのアウトが取れないことで、気持ちと体、頭がバラバラになってしまう。ほんのちょっとしたボタンの掛け違いが、あっという間に大きな点差となって跳ね返ってきた形なのだろう。
2回の先頭打者として打席に入った森山のスイングは、完全に本来のものではなかった。
「(6点を取られて)バッティングでも影響した」と肩を落とした背番号1。

3回途中からライトにまわり、2年生左腕・畑中希龍のピッチングを見守ったが、「バッティングのことしか考えていなかった」と、ゲーム全体を見る視野を見失っていたようだった。
それでも林和成監督は、コールド負けの危機にあった7回に「エースですから」と再びマウンドに上げた。

 指揮官の『エースとしてこの状況を凌いでみろ』という無言のゲキに応えようと、リ・スタートの気持ちでピッチングを開始したが、最後は4番の小黒にライトオーバーへ運ばれ、9イニングを戦うことができなくなってしまった。
「秋(まで)と一緒で、負ける時のパターン」と手厳しかった林和成監督。

しかし、これは春の大会。まだ終わりではない。人間がやる野球である以上、思うようにゲームを運べない時はある。これを良い経験とだと捉えると同時に、思ったように試合が出来ない時に、どうやって立て直すか。それを残り1カ月でしっかりと考えていってほしい。

スターティングメンバー
星稜
5丸山雅史、7越中塁、2鹿屋陸、3山本大貴、1森山恵佑、6北村拓己、8今村優太、4山本善貴、9山中雄飛
日本文理
8柄沢友哉、4野口竜義、2早津勇人、9小黒一輝、3松浦悟、5薄田寛也、6四戸憂斗、7岩野佑貴、1田村勇磨

(文・写真=松倉雄太)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.16

涙の甲子園デビューから大きくレベルアップ!前橋商の192センチの剛腕・清水大暉は、高速スプリットで群馬県大会19回1失点、22奪三振の快投!<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.05.16

【2024年春季地区大会最新状況】全道大会は出場校決定、関東と東海は18日に開幕

2024.05.16

U-18代表候補・西尾海純(長崎日大)、甲子園で活躍する幼馴染にむき出しのライバル心「髙尾響には負けたくない」

2024.05.16

【秋田】夏のシードをかけた3回戦がスタート、16日は大館鳳鳴などが挑む<春季大会>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?