試合レポート

昌平vs聖望学園

2012.04.26

昌平vs聖望学園 | 高校野球ドットコム

激闘を制した昌平

昌平、延長15回3時間35分の熱戦を制す。

 息詰まる投手戦で迎えた延長15回の攻防が明暗を分けた。昌平先発の右腕斉藤は、低目への変化球と見せ球に高目の速球を組み合わせ、強打の聖望学園打線を1点に抑えてきた。
 引き分け再試合目前の15回表、2番巻口をショートゴロ、3番小林をサードゴロに打ち取り簡単に2死を取る。だが4番小島に四球を与え、5番田中のライト線へのヒットで2死ながら1、3塁となった。
 6番は途中出場の左打者・寺田。1球目がボールになると、昌平ベンチは勝負に出た。ここまで、218球を投げてきた斉藤から左腕の山崎にスイッチ。その山崎はカウント2ボール2ストライクから、低目の変化球で空振り三振に仕留めた。

 その裏昌平最後の攻撃。1死の後、7回に左中間二塁打を放っている4番田倉が1ボール2ストライクから聖望学園・川畑の速球を左中間へ運び二塁打となった。

 聖望学園ベンチは続く5番野本を敬遠し、併殺狙いの策を取る。続く6番はサードに回った先発の斉藤。カウント3ボール1ストライクから斉藤が放った打球は、聖望学園にとっては狙い通りのピッチャーゴロ。しかし二塁封殺へのタイミングが遅れ、間一髪で一塁がセーフになった。併殺崩れで2死1、3塁とピンチが残った聖望学園
 打席は7番の梶原。1ボール2ストライクと追い込んだ川畑。4球目、低目の変化球でショートゴロに打ち取った。これで引き分けと誰もが思ったが、ショートが一塁へ悪送球。三塁走者の田倉が生還し、昌平がサヨナラ勝ちで激闘の終止符を打った。
 3回途中からマウンドに上がり、敬遠以外は無四球と抜群の制球を見せてきた聖望学園のエース川畑。まさかの結末にマウンド上で呆然と膝を落とした。一方、その横で勝利に抱き合う昌平ナインの姿。激闘の果ての光景はあまりにも好対照だった。


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スコアボード

 結局、昌平の2点は何れもエラー絡みでのもの。2回はサードエラーからの1死2塁でタイムリーを浴び、15回は決勝点を与えるタイムリーエラー。何れも日頃の練習で十分に鍛えた聖望学園らしく無いミスだが、試合展開を見ればこのミスは敗因にはならないだろう。

 大振りが目立ち、高目の『見せ球』に強振を延長15回まで繰り返してしまった打線。細かく見ると、4回の1死2塁、6回同点直後の2死2塁、8回1死2塁、9回2死2、3塁、12回の相手ミスで貰った2死2、3塁、15回2死1、3塁とすべてのチャンスを『見せ球』に手を出しフライを打ち上げていた。前半から「高目を捨てろ」とベンチから再三指示が出ていたが、最後まで活かされなかったのは、強打への過信があったからなのだろうか。同じ選手がバントを2度もキャッチャーフライで失敗した攻撃など、繋ぐ野球で1点を取りに行くスタイルが最後まで見られず、相手投手の好投を差し引いても課題が残った。14残塁があと1本の出ない試合展開を象徴していたようだった。

 一方の昌平は、「横綱に挑戦」の姿勢で臨んだのが十分に生かされた試合となった。1点を確実に取る作戦。大振りせずコンパクトに鋭く振り抜き、低いゴロを打つ事に徹していた。更に好投手攻略の基本の逆方向狙いも見事に決まった。失策は1と守備陣も安定。15回の攻防、三振で終わった聖望学園と低いゴロを打ちエラーを誘った昌平の決勝点が見事に証明している。ベンチの指示が選手に理解され活かされた試合だった。

(文=滝島利夫)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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